バート・マンロー スピードの神に恋した男

  • ランダムハウス講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784270001820

感想・レビュー・書評

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  • インバカーギルには、ニュージーランドを訪れたバイク乗りが避けては通れない聖地がある。この町は世界最速のライダー、バート・マンロー(Burt Munro/1899‐1978)が暮していた町であり、彼の博物館もある。
    なんとその博物館は広いホームセンター E. Hayes & Son Ltd の中。そして、この人物、速いだけでなく実にユニーク。口八丁で人から好かれ、仲間にも恵まれる。そして、1920年製のオートバイで世界記録を樹立し、これが未だに破られていないのだ。

    ● バート・マンロー(Burt Munro/1899‐1978)とは
    ● バート・マンローの博物館はなんとホームセンター内
    ● 映画『世界最速のインディアン』(The World’s Fastest Indian)
    ● 書籍『バート・マンロー スピードの神に恋した男』 ジョージ・ベッグ 著 を読む

    映画を観て、更に興味が沸いた方には、こちらの書籍もお薦めである。特に、バイク好きで、エンジンに関心がある方なら必読の書とも言える。バートの人生のほとんどがエンジンや車体に手を加えることに費やされていることがわかり、そのエンジンへの工夫も事細かに書かれている。

    バートが参加するレースはスピードレースなので、他車とコース上で競うような接戦はない。しかし、その分孤独との戦いとなる。マシンとの一体感がすべてであって、超高速で走り、狭い流線型のボディの中で、エンジントラブルや火災への不安を抱えながら、振動で揺れる車体にしがみつきながら走る。

    エンジントラブルの際はクラッチを切り、感覚ひとつでバランスをとりながら操作するとある。超高速走行でのブレーキは御法度で大破を意味するし、そもそもブレーキは効かないほどのスピードである。だから、クラッチをきり、これ以上のトラブルを防ぎつつ速度を落とす。バートは長年の経験から、少しでも挙動や音がおかしいと、次にインディアンに何がおこるか正確に予測できると言う。だからギリギリのところまで記録に挑戦し、危なくなるとクラッチを切り、難の免れていたらしい。

    溶けたタイヤがゴーグルに張り付き、全く前が見えない中で時速200km超で走行したという話もでてくる。こういったギリギリの命をかけてのスピードへの挑戦だったことは、本を読むことからが一番感じられた。

    そして、バートの生い立ちも詳しくこの本からわかる。1930年、バートはバイクの販売員で身を立てていた。その時は不景気の最中であり、金の採掘目当ての人々がセントラル・オタゴにニュージーランド中から集ったという。その時、バートは持ち前の口八丁な話術とユーモアで、不良在庫になりそうなマシンを全て売り切ったと言う。昔から人から愛されるキャラクターは健在だったのだ。

    詳細はコチラ↓
    海外ツーリング-ニュージーランド編 番外1 / バイク乗りの聖地インバカーギル、映画『世界最速のインディアン』バート・マンローの博物館へ
    https://jtaniguchi.com/%e6%b5%b7%e5%a4%96%e3%83%84%e3%83%bc%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%82%b0-%e3%83%8b%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%83%bc%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%89-%e3%83%90%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%9e%e3%83%b3%e3%83%ad%e3%83%bc/

  • 愛車のバイク、インディアン・スカウトで最速記録を出したニュージーランド出身のバート・マンローの事跡を綴ったもの。バートはアンソニー・ホプキンス主演の「世界最速のインディアン」のモデルとなった人物だ。恐らく、映画になる前はよほどのバイク好きでない限りは彼の名前を知らなかっただろう。

    彼の生涯は本当に規格外と言わざるを得ない。彼は生活の全てを、スピード記録更新のために捧げてきた。それは若い頃に限らない。60歳、70歳になってもそれは変わらない。来る日も来る日もバイクと部品の改造に取り組み、記録更新のために試行錯誤を続けた。その情熱と執念は、異常と言うほかない。偉人や科学者に通じるものがある。

    とは言え、バートはとても社交的で明るい人物だったらしく、悲壮感漂うような物語では決してない。年齢を重ねてもバイクで無茶をする、元気なおじいちゃんの物語といったところだ。映画もそういう作りになっているが、本書の方がバートの事跡について詳細に記されている。バイクの専門知識も出てくるが、そこは理解できなくても読める。

    それにしても、これほど熱中できるものがあるのはうらやましい限りだ。スピード記録の更新は決して金にはならない活動だが、それでも純粋に挑戦を続けたバートには尊敬の念しかない。普通の人なら、どこかのタイミングで挑戦をあきらめるか、趣味として続けるかのどちらかだろう。生活を捧げてまで熱中できるのは才能だ。

    バイクに興味がない人でも、いくつになっても夢を追い続けていきたい人には是非オススメしたい。

  • 映画『世界最速のインディアン』
    この作品の中で語られた一人のロングライダースの
    スピードに捧げて来た人生を綴った一冊です。
    とにかく豪放で快活。
    失敗にもくよくよせず、そして立ち止まらずに
    常に前を向き、人生のアクセルをワイドオープンで駆け抜けた
    カッコよすぎるジィさんです。
    その行動のワイルドさには笑うしかないほどです。
    特に凄いのは
    歳を重ねる毎に錆びるのではなく
    輝きがどんどん増していっている所です。

    夢に向かうぶれ無い姿勢がそうさせているのでしょうね!

    改めてこの人は、ず~っと“オトコの子”だったんだな!!
    って感じがします。
    この方の生き方、今の日本人が無くしてしまった
    大切な何かを教えてくれますよ。

    しかしこの人の人生はドラマになります、最高の♪

  • 始めは映画の「世界最速のインディアン」というタイトルに惹かれ、予備知識なく見始めた。まさかこんな男が実在するとは。
    デラックス版のDVD-ドキュメンタリー映像付と本書を同時に購入。
    実際のバートは映画のアンソニー・ホプキンス以上に魅力溢れる人だった。
    彼の様に人生を楽しんで生きれば良いのさ。
    勇気を貰った。

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