第三帝国と音楽家たち (音楽選書 77)

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  • 音楽之友社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784276370777

作品紹介・あらすじ

本書は私たちが生きた時代、20世紀における「音楽と政治・権力」の問題に光をあてる試みである。

感想・レビュー・書評

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  • ナチ・ドイツにおける音楽を学ぶには最適の書。前衛音楽、ユダヤ人音楽家、ジャズ、退廃音楽展といった、この時代の音楽政策をめぐるキーワードを十分に理解することができる。本書では語られていな部分も多くあるものの、この書を読めばナチ時代の音楽を正しく理解できるだろう。

    おそらく一般の読者からして最もイメージと乖離しているだろうことは、「ナチ・ドイツにおける音楽政策は全く一貫していなかった」ということだろうと思う。ナチの権力構造はひどく複雑で、ヒトラーの一極集中という構造にはなっていかったことは、近年の研究で明らかになっていることだ。そしてこれは音楽政策にもまたあてはまることである。

    特に音楽は「形のない」芸術であるがゆえに、また民衆の嗜好と政府の理想とが乖離していたゆえに、権力側が統一した見解を示すことが難しかった。こうした巨大権力の「リアル」を、音楽政策にも見出すことができるという点を本書は指摘しているように思う。ナチ・ドイツだけでなく、芸術一般に関心のある人、独裁政権や権力そのものに興味のある人にもおすすめの本です。

  • 注、図像史料あり

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著者プロフィール

1958年生まれ。東京大学大学院教授、表象文化論。音楽評論家として朝日新聞ほかで演奏会評を執筆。日本音楽学会会長。主著に『前衛音楽の漂流者たち──もう一つの音楽的近代』(筑摩書房)、『フェッルッチョ・ブゾーニ──オペラの未来』(みすず書房)、『戦後の音楽』(作品社)、『オペラの20世紀──夢のまた夢へ』(平凡社)など。

「2023年 『日本の作曲2010-2019』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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