死に場所は誰が決めるの? EVウイルスT型悪性リンパ腫の夫を看取った妻の記録
- 文芸社 (2016年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784286147123
感想・レビュー・書評
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いろんな意味で泣きそうになりました。
ご主人と奥さまの闘病生活やそれ以前の家族仲睦まじいやり取りを拝見させていただいているようで、とても愛情を感じる本だと思います。この本を出版されることとなったきっかけでもある現代の日本の医療現場と患者、その家族との間にあるどうしようもない『死』に対する考え方の相違をとてもリアルに感じることができました。
同じ保健師として、また、以前ターミナル期の現場で看護師をしていた身としては考えなくてはならない大きな問題だと思いました。
数多くの末期患者と接し、少しでも生命を保つことが医療従事者としての務めだと言われれば間違いないでしょうが、『果たしてそれが患者や患者を支える家族の望むことなのか、そこの理解を病院側はできていないのではないか?....いや、できていない。する気もない。』と強い訴えがひしひしと伝わりました。尊厳死が先日もニュースに取り上げられていましたが、日本でも、死をもう少し柔軟に考えてもよいのではないかと感じます。
生きることは正しいことでも間違っていることでもないと思います。同じように死を選択することは正しくも間違いでもないと思うのです。
ここで頭のかたい人は自殺肯定をしたと非難するかもしれませんが、自殺と尊厳死とが同じだと感じる方はいないでしょう。
それは全く別の問題ですので、省きます。
家族のいる家に帰って家族に見守られながら死にたいと望む人がほとんどな中、それができるひとが何割いるのでしょう。
入院したら治るまで出られない病院は末期患者にとっては牢獄と相違無いにちがいありません。
奥さまの最期が在宅で、望むかたちでのものであって本当によかったと読了後に胸を撫で下ろしました。このテーマは、日本の医療体制が変わらない限り、常にあり続けてしまうテーマでしょうから、私たちは旦那様のような想いをされるご本人やご家族がいなくなるよう考えることをやめてはいけないなと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示