テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図

著者 :
  • クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
2.71
  • (0)
  • (3)
  • (5)
  • (5)
  • (1)
本棚登録 : 73
感想 : 5
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784295402008

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • グラフ(データ)がそこそこあるのは良いけど。。。

  • 10年後にAIやロボットなどのテクノロジーの普及により、産業がどのように変わっていくかを過去から現在の産業や企業などの売上、就労者数、年収などの比較や変化から説明している。
    証券アナリストの著作ゆえに、「テクノロジー自体よりもテクノロジーの導入により統計的な数字がどのように遷移するか」が中心的な議論となっている。

    ・製造業・小売業・卸売業・情報通信業・銀行業・サービス業など主要産業はこれからどうなるのか?
    ・平均給与が高い業界、低い業界はどこか?
    など、統計的な分析が主眼である。

    ー感想ー
    期待を下回った。最新のテクノロジーが産業を代替していく様をシリアスに、しかも現実身を帯びながら描いてくれるものと期待していた。マッキンゼーの公開レポートの方が本書のタイトルにふさわしい内容であったと記憶している。

  • # 書評☆3 テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図 | 政府統計情報の雇用情勢に基づく将来の産業展望

    ## 概要
    テクノロジーにより産業が大きく変わってきた。近年もAIやIoT,ロボットなどのテクノロジーにより,今後の産業構造が大きく変わる可能性が出てきている。

    この本ではそうしたことを踏まえ,政府の統計情報を元に,過去と現在の雇用情勢・人口統計,給与などを比較考察し,今後産業がどうなっていくのか,そのトレンドを考察していた。

    政府の統計情報を元に,雇用情勢や給与などを業界ごとに比較し,それぞれの業界の特徴や傾向を細かく比較していたのが印象的だった。

    現在の日本では働き手不足であり,今後もそれは続く。AIにより仕事がなくなるどころか,それらを使ってでもどうにか労働力を確保せざるをえない状況になっていることがわかった。

    ## 参考
    > ### p. 87: 非正規雇用労働者の比率が高まる3つの理由
    > 1. 若年世代の人口減による労働市場への参加人数が減少してきている
    > 2. 55歳以上の男女が非正規雇用労働者として労働市場に参加してきている
    > 3. 非正規雇用が中心となっている女性の働き方

    非正規雇用労働者の大半は女性か55歳以上というのが驚いた。なんとなく若者の非正規雇用が多いのかと思っていたが,そうではなかった。そもそも,少子高齢化で若い働き手は減っており,AIに仕事を奪われるどころか働き手自体が足りていないということがわかった。

    > ### p. 107: 就業人数の多い産業ほどロボット・AI導入の影響は大きい
    > 図表3-1は、「労働力調査」のデータをもとに、2018年3月とその10年前の2008年3月の主な産業別就業者数を示したものである(※2 http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.html)。

    労働者数でいうと,製造業,卸売・小売業,医療・福祉が多く,医療・福祉に関しては10年前と比べて就業者数が30 %以上増加している。こういうトレンドがわかって参考になった。

    > ### p. 142: トヨタ自動車の国内生産台数はすでに減少トレンド
    > 自動車メーカーとしては、「自動車を生産し販売する」というモデルから、「輸送サービス事業」に転換することが急がれる。
    >
    > 実際2018年5月に開かれたトヨタ自動車の決算説明会での豊田章男社長のコメントが印象的だ。
    >
    > "私は、豊田を「自動車をつくる会社」から、「モビリティ・カンパニー」にモデルチェンジすることを決断いたしました。「モビリティ・カンパニー」とは、世界中の人々の「移動」に関わるあらゆるサービスを提供する会社です。" ※17 http://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/financial_results/2018/year_end/speech.pdf

    日本を代表する製造業であるトヨタ社の大きな方針転換の発表だった。

    > ### p. 184: どの産業が侵食され、人間の何が評価されるか
    > ロボット・AIといった新たなテクノロジーや機械によって人手が代替される可能性がある産業には、次のような特徴が見られるのではないだろうか。
    > 1. 成長市場で人手が足りない産業: 運輸業、福祉
    > 2. 就業者数が多い産業: 製造業、卸売業、小売業
    > 3. 平均給与が高い産業: 金融業、保険業
    > 4. 平均給与が低く、人手を集めにくい産業: 農業、林業
    >
    > こうして見ると、完全に安泰な産業など存在しないのではないかと思えるが、対人でサービスを行う「サービス業」や、専門性・創造性が必要とされる「学術研究/専門・技術サービス業/教育/学習支援業」は、最後までテクノロジーに代替されにくいと考えられる。

    AI・ロボットにより人手が代替される産業とそうでない産業の考察が参考になった。

    > ### p. 210: 企業にとってもきちんとメリットのある「副業文化」
    > 簡単にいえば、企業にとっては次のようなメリットがある。
    > * 社員が外部との接点をこれまで以上に持つことができ、ひいては社内のビジネス機会が増える可能性がある
    > * 仕事環境の自由度を求めると同時に、社員の成果をより突き詰めることができる
    > * 社員全員分のオフィスを用意しなくともいい

    企業に副業を推進する際の,企業側のメリットの参考になった。

    ## 結論
    政府統計情報をベースにしており,信頼性の高い考察が展開されていた。

    マーケティングや今後の新事業の検討,就職活動での業界選びの参考になりそうだと感じた。

    パーマリンク: <https://senooken.jp/blog/2018/11/20/>

  • 若い世代の採用問題は、これまで見てきた出生数の減少だけにはとどまらない。「若い世代が家を出たがらなくなっていること」が採用問題に拍車をかけている可能性が高いのだ。若者が外出しなくなっていることを知る上で、面白いデータがある。国土交通省の「平成27年全国都市交通特性調査」によれば、20代(20~29歳)の若者の1日の移動回数は、1992年の2.4回から、2015年には1.8回に減少している。ちなみに、70代は1.5回から1.9回へと増加しており、70代のほうが20代よりも移動回数を見ればアクティブだといえる。

    買う物次第ではあるが、アマゾンとゾゾタウンで欲しいものが手に入るという前提に立てば、買い物に出かけることを娯楽までに転換させるか、または1万円近くの意味がある行為として意味を持たせなければ、人は「買い物にでかける」ということに疑問を感じ始めるかもしれない、ともいえる。

    ここで第二章の冒頭で触れた、オックスフォード大学のオズボーン/フレイの論文「雇用の未来」を思い出してみたい。その論文の中で、もっともコンピューターに置き換えられにくい職業は何だったか?
    第一位は「レクレーション・セラピスト」だった。
    日本では聞きなれない職業だが、レクレーション・セラピストのSOCをもとに「ONET Code Connector」の仕事内容を見てみよう。ちなみにONET Code Connectorは、米国の労働省が運営しており、職業内容を定義したデータベースを管理している。
    「(レクレーション・セラピストは)病院、(自立した生活が困難な人向け等の)ナーシングホームやその他機関における患者の為に医学的に認定されたプログラムを計画、管理、調整を図る。(そのプログラムには)スポーツ、旅行、芝居、社会活動、美術工芸を含んだ活動がある。(レクレーション・セラピストは)患者の状態を評価したり、適切なレクレーション活動を薦めたりすることがある」

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

泉田良輔(いずみだ・りょうすけ)証券アナリスト慶應義塾大学商学部を卒業後、日本生命・国際投資部、フィデリティ投信・調査部や運用部でポートフォリオ・マネジャーや証券アナリストとして勤務。米国株と日本株の調査と運用に携わる。その後、GFリサーチを起業し、ナビゲータープラットフォームやOneMile Partnersを共同創業。現在はLIMO(リーモ)などの金融に関するネットメディアを立ち上げ、資産運用に関する情報発信を続ける。日経BizGate「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」の連載をはじめ、『日本の電機産業』(日本経済新聞出版社)、『Google vs トヨタ』(KADOKAWA)、『銀行はこれからどうなるのか』『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)の著書がある。メディアでコメントすることも多く、英国のFTやThe Economist、米国のBloombergなどで産業動向分析が世界に発信されている。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了。

「2021年 『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

泉田良輔の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×