エンタの巨匠 世界に先駆けた伝説のプロデューサーたち

著者 :
  • 日経BP
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296001262

作品紹介・あらすじ

エンタメ史に輝く伝説的ヒット作を生み出したプロデューサーたちへのインタビューを通じて、時代を突き抜けた「すごい方法論」を一挙公開!
国宝級の名作から、世界的な問題作まで、秘話満載

土屋敏男(『電波少年』の元・日テレプロデューサー)
鳥嶋和彦(『ドラゴンボール』『ドラクエ』の元・少年ジャンプ編集長)
岡本吉起(『ストⅡ』『バイオハザード』『モンスト』のゲームクリエイター)
木谷高明(『BanG Dream!』『新日本プロレス』のブシロード創業者)
舞原賢三(『仮面ライダー電王』『セーラームーン』の映画監督)
齋藤英介(サザン、金城武、BTSの音楽プロデューサー)

本書は、日本のエンタメが最も輝いていた時代の最先端にいたプロデューサー、ディレクター、クリエイターたちへのインタビューを通して、伝説的なヒット作品を生み出した思考回路を解明するという試みである。彼らは初めから才気走った異能者だったわけではない。普通のサラリーマンからキャリアをスタートして、「使えない新人」だった時代を経て、突き抜けた仕事をするようになった。自我をうまく包み込みながら、組織の中で成果を出し、自らを発露させていった人々である。

感想・レビュー・書評

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  • 頭が良い人間は説明がシンプル

  • J-Waveラジオ深夜に聞いて興味を持った。
    あの大ヒットを生みだしたのは、どんな人だったのか?どんな気持ちで仕事してたのか?という好奇心。

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    ・「最近の若いやつには、尖ったやつがいなくってさ」という経営者や管理職の言葉を、私は何度聞いてきたことだろう。むしろそう呟く役職者こそが、尖りを許容できずに、その人材に場も裁量も与えることをしていないケースが大半だった。多くの場合、「尖り」はすごい実績をあげた人間に付随される「結果的な」称号でしかなく、それは成功した人間にしか成功の機会を与えないという組織的な自己撞着に陥る呪いでもあった。p.3

    ・成功を生み出すことができていない組織は、「尖っている」と思われる人材によって生み出される摩擦と不安こそが、脱皮に必要不可欠な成長痛だと捉えなおす必要があるだろう。p.4

    ・「尖った人材」は育てるものではなく育つものだ。「尖った人材」に、場を与え、本人の悪戦苦闘を見守れる組織の許容性こそが、今の日本企業に必要なものなのだ。p.5

    ・今あるものを超えたいと思って作る人間にとって、最初に予算だとかそういった枠って阻害要因にしかならないんですよ。p.17

    ・若い時にイケてる奴のほうが逆にダメになりませんか?おとなしくても、虎視眈々と上司の背中をみて、盗んでいる奴が伸びるんです。p.22

    ・僕の周りで儲かる人が出ればいいなという気持ちでやってました。p.73

    ・会社のお金を使って、会社の人間とご飯を食べて、会社の文句を言っている、という人間が多くて、なんてつまらないんだろうと思っていた。だったら会社のお金を使って、外の人間と面白いことをやろう。そればっかり考えてた。p.74

    ・「成り行きで作るサンデー(小学館)、編集が強く物語で引っ張るマガジン(講談社)、作家ととことんまで打合せしてキャラクターを作るジャンプ(集英社)と。p.79

    ・自分が編集長だった時に一番何が嫌だったかと思い出した。「余計なことを言って邪魔をする」。これだけはしないようにしましたね。現場が仕事をしやすいようにするにはどうしたらいいか、というのを考えた。それで何をするかっていうと、半年に1回、よく顔を合わせる編集長と副編集長は除いて、下のメンバーと30分ずつ1対1で話をする、というのをやってました。p.82

    ・ものごとって、本来はすごく簡単なんです。問題なのは、自分の都合でしかものを見られなくなること。p.89

    ・「サラリーマンには栄転しかない」p.138

    ・協調性を追い求めすぎて、「出された問題を解ければよい」というタイプが多いのが日本です。だから他人が決めたルールの中で、ずっと懸命に頑張りすぎてしまう。ルールはそのルールメーカーが有利なように作られている。他人が決めたルールの中で競争したって勝てっこないんです。自分自身で考える力が最も重要です。p.165

  • 『推しエコノミー』『オタク経済圏創世記』の著者であるエンタメ社会学者 中山淳雄氏が、伝説的なヒット作を生み出した6人のプロデューサーに直接インタビューして、伝説のヒット作を生み出した思考回路に迫る一冊。
    13年間ヒットが出せなかった土屋さんや、実はマンガが好きじゃなかった鳥嶋さんなど、ヒットを出すまで(出してからも)の苦節は様々。
    それぞれの方の考え方や取り組む姿勢には学ぶべきものが多いにある。
    鳥嶋さんの「ユーザーを見てクリエイター(作品)を育てる」などは、ビジネスの現場では、部数、売上、利益などにフォーカスしてしまいがちな中、当たり前のことであるだけに、しっかりと心にとめておきたい。
    一方で、こういった天才、巨匠をしっかりと生み出すための組織の許容度がとても重要だと思った。
    そして、中山氏が主張するこれからのエンタメビジネスの成長のためには、やはり世界を見据える必要があるし、そのための方法論としては欧米にあこがれるだけではなく東南アジアや近隣のアジア圏で展開を進めていくことも必要だと思う。

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著者プロフィール

ブシロード執行役員、早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師1980年栃木県生まれ。東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでバンクーバー、マレーシアにて新規事業会社を立ち上げる。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、モバイルゲーム、イベント、プロレス)を海外展開。著書に『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)、『ヒットの法則が変わった いいモノを作っても、なぜ売れない? 』(PHPビジネス新書)、『ボランティア社会の誕生』(三重大学出版会、日本修士論文賞受賞作)がある。

「2019年 『オタク経済圏創世記 GAFAの次は2.5次元コミュニティが世界の主役になる件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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