クリエイターワンダーランド 不思議の国のエンタメ革命とZ世代のダイナミックアイデンティティ
- 日経BP (2024年2月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784296001842
感想・レビュー・書評
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エンタメ社会学者の、丹念な取材・独自の観点が相変わらず冴えわたる他の追従を許さない著作。歴史的背景から変遷プロセスを含め、最新の動向までがエビデンスベースできちんと記されている。各項目における筆者の評価・所感の表現が刺さること多数で、ズキズキワクワクしながら物語を読むかのような感覚にも浸ることができる。日本のクリエイターたちのインサイトに寄り添った筆者のやさしい眼差しが温かくて熱い。
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めちゃくちゃ面白い。
エンタメを享受する側が、
受動的だったのが能動的になっている話が納得すぎる。
音楽で言えばニコ動、小説でいえばなろうなど二次創作文化が日本にはあるが、それは日本があらゆるものを二次創作してきた背景があるからこそ蔓延したものであり、「構想力」よりも「解釈力」という二次創作者のインサイトも面白かった。 -
著者の別の作品(エンタメ全史)を読み、文体や著者自身が本を書き上げるために数百以上の参考文献や専門家へのインタビューを通して平等な視点から文章を記しているスタイルに共感し、本作も読みました。
本作の中でキーワードとなる中心となるコンセプトがダイナミックアイデンティティ。画一的な価値観にまとまりがちな日本において、決められたパーテーションにとらわれない世界観の創作と、消費のスタイルが始まっているという主張を多くの事例を通して紹介いただきました。
また、2項対立になりがちな、男女、大人と子供、生産者と消費者、クリエイターとユーザなどが現在はあらゆるエンタメを通して境目が曖昧になり、2項では表現出来ない事象も分かりやすく解説されています。
vチューバなどがなぜ今、流行しているのかを歴史的な変遷と共に書かれており今起きている事象の整理にもつながりました。
記載されるテーマの中心であるyoutubeや、小説家になろう、ボーカロイドなどインターネット2.0時代のものから2020年代から始まっている新たなテーマまだ幅広く取り扱われており、この一冊でテレビやエンタメなどの状況を整理する事ができると思います。