1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション

著者 :
  • 日経BP
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296108817

作品紹介・あらすじ

ジョブ型雇用は成果主義の二の舞か?
生産性を上げる救世主か?

人事制度の不毛な論争に終止符を打つためにすべきことを
評価・賃金でトップクラスの指導件数を持つ著者が断言する

●本書を読めば、こんなことが学べます
・「働かないオジサン」を生まない仕組み
・在宅勤務社員の正しい評価方法
・社員同士が進んで教え合う企業風土
・「できる社員」も「できない社員」も伸ばす方法
・ジョブディスクリプションの記入要素

感想・レビュー・書評

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  • 前回からさらに一歩踏み込んだ本。
    日本古来のメンバーシップ型から安易にジョブ型雇用に変えるべきでない。日本は「助け合う」という特徴がありそれが廃れてしまう。成果だけでなく成長度にも注目したジョブディスクリプション型が日本に適している。成果主義、目標管理、歩合給、年功序列、テレワーク評価での問題点を解決する方法も述べている。
    いずれにせよ人事制度は常に社員を見ながら見直していく必要がある。
    弊社は大丈夫だろうか。。。

  • ジョブディスクリプションに個人の成長を入れ込もうねというお話だった。他の会社の皆さんの実例とかを読めるかなと思ったけど、そういう本ではなかった。

  • ジョブ型に注目が集まっているが
    どんな制度だろうと
    ・社員の成長を促す
    ・定量的に正しく評価する
    ことが出来なければ意味がない
    当たり前のような事だが
    これができるようにすることの大切さ
    方法論を述べた良書。
    方法論は千差万別なので
    これが正解とは書いてないが、考え方は共感できる。

  • 思っていた内容と違った

  • 成長シートというツールで社員の成長を支援するというのは参考になりそう。新入社員の一年目に導入してみて効果を検証して広げてみると面白いかもしれない。

  • 本来大事にすべき、人事の基本を学べる本です。
    ジョブ型雇用の導入の必要性が説かれる事が増えましたが、その本質と、メリット・デメリットをしっかり認識されている方はまだ少ないのではと感じます。
    人事制度を正しく分解すれば、評価(成長支援)、ステップアップ(昇進昇格)、賃金、教育の4つの制度があります。
    全体最適を考え、すべてを一緒に見直すことが必要ですが、どうしてもステップアップと賃金に目が行きがちです。
    従来の日本型雇用が持っていた、成長支援としての評価と教育の重要性がわかります。
    なかなか人材を育成できないという悩みを持つ経営者、管理職の方が、その解決をヒントを得られる1冊ではないでしょうか。

    【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】
    「成果が高い社員が何をしているか、どのような重要業務をしているかを即答できる経営者は少ないが、その社員をその会社が育て上げたのは間違いない事実。なぜ優秀かを可視化し、それをもとに全社員を指導し、全社員を優秀にすることが必要。」
    「社内で優秀な社員に注目し、その社員をもとに、ゴールにたどり着くまでにどのような手順を踏んでいけばいいかを明らかにする。プロセスを書き出して可視化し、何を成長とするかを決めれば、小さな成長を見つけられるようになる。見つけられるかは、意識次第。」
    「よく経営者が間違えるのは、ダメな社員が優秀な社員のレベルまで達したら褒めようと思っていること。やる気がないのではなく、やり方がわからないだけなので、それを教え、少しずつでも成長させていく。小さな階段を上がるごとにほめて、その分給料を少しずつ増やすのが人事制度の根幹。」
    →確かに、最初から何でもできる優秀な社員はほとんどいないはずで、そういった社員は、よい育てられ方をされて、成長していったのは間違いないのだと思います。自分の棚卸しが大事なように、育て方も棚卸ししてみる。そして、ベストプラクティスとして、今後の人材育成に生かし、成長を待つ。現在の人材育成ではあまり意識されていないかもしれません。今後の経営には、そういった人材育成の視点が大事だと認識しました。

    【もう少し詳しい内容の覚え書き】

    ・経営環境が悪化し、多くの企業が不況に陥る時、必ずと言っていいほど人事の仕組みに関わる議論が巻き起こる。それは、企業の根幹は人だから。会社運営の大きな費用の一つが人件費。賃金を下げたい時、名目として人事の仕組みを利用する。
    ・企業において人のことで悩んでいる人、特に経営者の真の想いは「業績を上げてくれるように、みんな一人一人が成長してほしい。成長してくれたらそれに見合うだけの賃金を出したい」。誰だって賃金を下げたくないし、辞めさせたくない。そうならないよう解決することをまず考える。なぜ社員が成長しないのかの根本となる原因を探り、手を打つ。
    ・まっさらな状態から解決策を考えるわけではない。人事の問題は「人の心」の問題なので、今、起きている人事の問題は、これまでも、これからも基本的には大きく変わらず、「頑張った分だけ評価されたい」「頑張った分だけ高く処遇されたい」「人間関係に悩みたくない」の3つ。この3つの対処の仕方さえ知っておけば、いくらでも応用ができる。
    ・その会社にとって、どんな人事の仕組みがよいかは一概には言えないが、大切なことは「社内にある真の問題とは何か」を探し出し直視すること。そして、それに対して正しく手を打つ方法を知り、実践すること。

    ・目的、効果を具体的な数字で語らないと、どの制度が良いか悪いかの理論を語っても、経営者には意味がない。
    ・人事制度ではなく「成長制度」をつくる。それにより、「事業は人なり」という言葉がまさしく示すように、日本の企業は人が成長することによって業績が向上し、発展していくという事実を、次の世代に残す。
    ・企業は常に成長発展しているので、何を評価すべきか、評価に合わせた昇給・賞与はどう決めたらいいのかは常に変わっていく。すべての企業の社員が同時に評価に納得する単一の人事制度は存在しない。
    ・社員は、人生の中で最も人間として活躍できる20代から60歳過ぎまでの間の大事な人生(時間)を組織の中で過ごす。一度しかない人生が素晴らしかったかを判断する最大のポイントは、組織の中で人間として成長したかどうか。
    ・日本の組織から「教え合う」「助け合う」「感謝し合う」という文化が消えつつある。それを食い止めるためには、優秀さを認められ、部下を任されている方が「どうしたら優秀になれるのか」を部下に教え、教え合うことで生まれる感謝の気持ちや助け合いの精神を伝えることが不可欠。

    ○ジョブ型雇用の限界
    ・ジョブ型雇用に社員育成という考え方はない、日本企業は、社内の社員育成を絶対に捨てるべきではない。一方でメンバーシップ雇用では、一括採用からの社員育成がぬるま湯のような状態をつくり、社員の成長意欲を低下させると言われる。本当に改革すべきは、社員育成のあり方。
    ・現場の声に耳を傾けることで、最も成功率の高い新規事業の種を見つけられる。変化した顧客のニーズには現場でしか触れることができない。それを見つけて成功に導けるのは、長年現場で顧客ニーズに応えようと取り組んでしか社員。優秀であることを認めれば、優秀な社員の成長は止まらない。
    ・生産性の高い企業は基本的に多能工化を進めている。生産現場を経験した営業社員は、顧客に商品を説明する際の言葉の説得力が違う。営業経験のある製造現場の社員は、顧客のニーズや困り事から、どんな商品を作れば売りやすいか考えられるようになる。
    ・日本企業に合う「良い職務記述書」とは、社員の成長にフォーカスした職務記述書。メンバーシップ型の持ち味である「教えること」」を継承する。社員の成果を左右する重要な業務に絞って書き出すことで、社員全員の能力と企業の競争力を共に高める。

    ○日本型雇用の問題の本質
    ・日本で多くの人事制度が機能不全に陥っているのは、どんな仕事をしてほしいのかを明確に示していないことが根底にある。等級基準は曖昧な表現に終始し、目標管理が計測できるのは数字の達成率だけで、それでは正しく評価できないし、賃金と一致しない。
    ・人事制度は、人件費抑制を目的にしてはいけない。会社の発展に貢献してもらうため、社員を正しく評価し、その評価に合った賃金を支払うことを事前に説明することで安心を与えて、社員を成長させるのが目的。

    ○日本型ジョブディスクリプションのすすめ
    ・評価と賃金が一致しないのは、支払っている賃金分、社員が成長していないから。成長している社員もいる。その違いは、「常日頃からほめられている(認められている)」ことが大きい。ほめられると、自分が正しい方向に向かっているとわかり、安心して次の一歩を踏み出せる。
    ・社内で優秀な社員に注目し、その社員をもとに、ゴールにたどり着くまでにどのような手順を踏んでいけばいいかを明らかにする。プロセスを書き出して可視化し、何を成長とするかを決めれば、小さな成長を見つけられるようになる。見つけられるかは、意識次第。
    ・よく経営者が間違えるのは、ダメな社員が優秀な社員のレベルまで達したら褒めようと思っていること。やる気がないのではなく、やり方がわからないだけなので、それを教え、少しずつでも成長させていく。小さな階段を上がるごとにほめて、その分給料を少しずつ増やすのが人事制度の根幹。

    ○既存の人事制度のパワーアップ
    ・人事制度の見直しの大前提は「何も足さない、何も引かない」。賃金制度の見直しで社員の賃金をカットするのは本末転倒。社員が導入したものではない。新しい制度に移るための理由を説明し、企業は社員と一緒に成長することに取り組むべき。必ず教育制度も合わせて見直すべき。
    ・人事制度を正しく分解すれば、評価(成長支援)、ステップアップ(昇進昇格)、賃金、教育の4つの制度がある。全体最適を考え、すべてを一緒に見直す。
    ・成果が高い社員が何をしているか、どのような重要業務をしているかを即答できる経営者は少ないが、その社員をその会社が育て上げたのは間違いない事実。なぜ優秀かを可視化し、それをもとに全社員を指導し、全社員を優秀にすることが必要。
    ・人事制度の目的が社員の定着、成長、採用ならば、社員はお客様も同然。社員が納得できないことはどんどん言ってもらい、解決すること自体が、実は人事制度の完成度を高める。そこで社員が定着し、成長する。
    ・あらゆる仕組みは、小さく生み出し、問題を解決しながら、だんだんと大きく育てることで、企業成長と共に役立つ仕組みとしてバージョンアップされる。人事制度はつくって終わりではなく、会社が存続発展するに従って常に見直しが必要。それも自社内でタイムリーに行わなければならない。すべての会社に共通して使える万能の解決策はない。自社でその問題に合わせて解決法を考える。

  • 日本型のジョブディスクリプション
    欧州型のジョブ型は、日本と似ている面がある。しかし就職であり就社ではない。職種別組合の存在など。

    最も成功率の高い新規事業は、現場でこそ見つかる。
    社員の給料は入社後に仕事の様子を評価してから本決定する。その方法を確立する。
    同一労働同一賃金では、評価が賃金に反映しなくなる可能性がある。
    日本企業は、教える、ことに高い評価が必要な組織。

    優秀な社員の行動を可視化する。
    部下の伸びた成長点数、を上司の評価項目に入れる。
    職能資格基準書は頻繁に見直す。
    目標管理制度は、達成可能な低い目標を設けると有名無実化する。
    他社の人事制度は見本にならない。特に大手のものは中小には参考にならない。


    20221226再読
    欧州型では労働者保護が強く即解雇は不可能。
    ジョブ型は社員育成という考え方がないか薄い。日本には合わない。
    日本の病院はジョブ型採用。
    成果主義=高い賃金を餌にしても自律的に成長することはない。
    賃金は明治以降から。それまでは仕着別家制。親に補償金を払った。
    戦後、GHQから職務給を習った。日本は戦前から財閥を中心に新卒一括採用が始まっていたため、職務給は合わない。そこで考え出されたのが職能資格制度と職能給。
    賃金制度の改革は賃金カット。
    ジョブ型は多能工を育てない制度。

    働かないおじさん問題。
    成長してもポストがない。役職定年のため、いずれ役職を下ろされる。
    職能資格制度はあいまい。=給与を決めるためであり育てるものではない。
    目標管理制度=目標設定を低くする問題点から、ノルマを課す。ノルマはロシア語。ソ連時代に課した労働量。
    歩合給は社会問題を引き起こす。歩合給で安定して成果がある社員はいない。

    小さなことでも褒める。目標に近づいたらベルを鳴らすか、違う場合にベルを鳴らすか。褒めるほうがギブアップしない。
    評価の基準は、
    勤務態度、知識技術、重要業務、期待成果の順。階層ごとにそれぞれのウエイトを変える。
    成長シートをつくる。具体的な業務を評価して点数化。成長シートの中身は会社ごとに違う。何を評価するかを明確にする。人に教えること、も評価に加える。ダメな社員を育てたほうが楽。ダメな社員を配属してもらおうとする。業績は数字で評価。ぶれない。
    年齢給は10年まで。
    職能資格基準書は頻繁に見直す。
    昇給予定表、賞与ポイント表をつくる
    成長とともに賃金があることを表で見せる。歩合給は使わない。

  • 人事コンサルがおすすめする日本の企業に合う人事制度をまとめたもの。
    最近はジョブ型雇用というワードを良く聞くため、勝手にそちら系の本かと思ってしまいましたが、違いました。
    中でも興味深かったのは、褒めたら伸びることを検証する方法として、研修の中でのベルを使った方法はなるほどと感じた。
    また、日本人や日本の企業風土として、他の社員に教えること、指導することを大切さも考えさせられました。
    2-6-2の法則から、出来の良くない社員をどのように引き上げるかの工夫もなるほどと思いました。
    賃金を下げることが目的でなく、会社が成長を続けることが出来るようにする人事制度。詳細は、それぞれが考える必要があるが、私には興味深い考え方でした。

  • 単純に学びが、少なかった。タイトルと中身に一致性が低い。

  • 筆者の論の展開が好きではなくて、あまり中身に考えをめぐらすことが出来なかった。
    (数字や結論を裏付ける材料に言及しないまま断定していたり、人事の歴史について、原典に当たらず他ビジネス書を引用していたりと、ちょっと受け付けられなかった)

    中身も導入事例の部分が薄かったりして、これを読んで誰かに説明できるとか、実務に生かせるとかそういう類の本では無いなと感じました

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著者プロフィール

松本 順市(まつもと じゅんいち)
ダントツ日本一の指導実績を誇る、注目の人事コンサルタント。
大学3年生のとき、当時3店舗しかなかった街の鮮魚店「魚力」にアルバイトとして入社、社長の参謀役として社長室に勤務する。3年後に大卒1号の正社員となり、当時、残業が多く社員の定着率が悪かった同社の労働環境改善に取り組む。
いわゆる「5K(きつい・危険・汚い・休日が少ない・給料が安い)」といわれる鮮魚小売業界にて、生産性を上げながら、業界初のサービス残業ゼロ、完全週休2日制を実現。社員とともに構築した〈社員の成長を支援する人事制度〉が原動力となって、16年後には年商3億円から175億円へ、労働分配率67%から37%へと成長し、業界一の高収益企業となる。その後、東証二部(現在は東証プライム)に上場。
1993年、人事コンサルタントとして独立。株式会社ENTOENTO代表取締役。
現在、中堅・中小企業に正しい人事制度を広めるために全国を飛び回っている。過去20年間の支援実績数1374社(2023年8月31日現在)、構築成功率99.6%、導入各社の実績向上に貢献している。
1956年福島県生まれ。中央大学大学院中退。
主な著書に、『「即戦力」に頼る会社は必ずダメになる』(幻冬舎)『上司はなぜ部下が辞めるまで気づかないのか?』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)『成果主義人事制度をつくる』(鳥影社)『社員が成長し業績が向上する人事制度』(日本経営合理化協会出版局)『1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション』(日経BP)ほか。

「2023年 『日本で一番「早く」「簡単に」「エンドレスで」業績を上げる人事制度』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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