私たちはいつまで危険な場所に住み続けるのか 自然災害が突き付けるニッポンの超難問

制作 : 日経アーキテクチュア 
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296110858

作品紹介・あらすじ

気候変動で激しさを増すとされる水害や土砂災害。
我々はどこに住み、働くか。もはや無自覚ではいられない。

気候変動の影響で激甚化が予想される自然災害。住宅を購入しようと考える消費者から、事業継続計画の立案を担当する企業の担当者、防災対策の前面に立つ行政、土木や建築・住宅の専門家まで、日本で暮らす全ての人が無関係ではいられない。毎年のように牙をむく水害や土砂災害は、すでに我々の生活やビジネスの現場を脅かし始めている。もはや、災害リスクに無自覚なまま、住まいや働く場所を選ぶ時代は終わりを告げた。長年にわたって被災地の取材を担当してきた土木・建築・住宅分野の専門記者が、被災地で起こった出来事を綿密に描きつつ、「自然災害の世紀」を生き抜くための手掛かりを提供します。

感想・レビュー・書評

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  • ・P130:第3章 土砂災害頻発列島
    土砂災害警戒区域(イエローゾーン)
    土砂災害が発生した場合、住民などの生命・身体に危害を加える恐れがあると認められた区域

    土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)
    建物を破壊したり人命に著しい危害を生じたりさせる恐れのある区域

    ・P230:第4章 危険な土地からの撤退
    建物の所在地の水災リスクに応じて保険料をつける、楽天損害保険の火災保険「ホームアシスト」だ。建物の所在地とハザードマップの情報を基に、所在地の水災リスクに応じて4区分の料率を設定する仕組みだ。
    https://www.rakuten-sonpo.co.jp/family/tabid/989/Default.aspx

    〜中略〜
    「水災リスク別の料率の導入については、リスクの低い地域の住民の保険料が割安になるということだけでなく、保険の見積もりをした人が自分の住んでいる地域の水災リスク区分などを認識する『気づきの機会』にもなっていると考える」。楽天損害保険の担当者はこう話す。

    ・P230:COLUMN 床上浸水の場合は公的支援
    建物が浸水してしまった場合、その所有者にはいくつかの公的支援がある。国の災害救助法と被害者生活再建支援法に基づく支援金の他、自治体の加算金、義援金などが支給される。

    ・P268:雨水貯留でグリーンインフラの実装展開
    人口減少が進む中、下水道管の規模を大きくするのは、現実的ではない。そこで、解決策として期待されているのがグリーンインフラだ。
    〜中略〜
    このような「雨水管理」で先進的な自治体が東京都世田谷区だ。18年度からの事業年度を対象とした「世田谷区豪雨対策行動計画」の改訂に合わせ、新たに章立てをして「グリーンインフラの促進」を盛り込んだ。行動計画では、緑などの自然の持つ雨水の貯留や浸透、流出抑制といった機能に着目している。

    ・P326:第5章 耐水都市への挑戦
    東京都東部には海抜ゼロメートル地帯が広がり、伊勢湾台風級の台風が襲来すると、荒川や江戸川の氾濫、高潮によって甚大な被害を受ける可能性がある。

    特に被害が甚大になると想定されているのが、墨田、江東、足立、葛飾、江戸川の江東5区。

  • 元年の台風19号では、人的被害こそなかったものの見知った場所で水害が起きた。日頃も気候の影響が激しさを増しているのは実感するところ。
    本書は日経の建築や土木に関する雑誌の記事を基にしたもの。土地が抱えるリスク、災害発生のメカニズム、現状の対策などがまとまっている。内容は専門的だが、さすがは雑誌記者の手によるだけあって、一般人にも読みやすい。このような知識を手軽に知ることができてありがたい。

  • 災害大国ニッポンでは、地震の危険はどこに
    いても避けることはできません。

    だからこそ日頃の備えが大事になってきます。

    しかし最近は大型台風がもたらす水害、土砂
    災害が増えてきています。

    今まで何度も台風はやってきて、大雨を降ら
    しても問題なかったのだから今回も大丈夫だ
    ろう、という正常性バイアスも手伝って被害
    が大きくなってきています。

    事実、降水量も増えてきているのです。

    しかもタワマンという従来なら大雨被害とは
    全く無縁と考えられていた設備、施設さえダ
    メージを受ける時代なのです。

    現代の災害ニッポンを知る一冊です。

  • NEWSでは言わない部分まで紙ではかけるところもあるし、書籍になる部分での淘汰も追加もあるわけで、近年の自然災害に関する実際と対策と詳しく書かれております。特にやはり水害と言うのがここのところ印象に残っております。ただ、こういう危険と認定する場合は、そこに対するきっちりとした支援が伴わないとだめですよね。自然再生コストを上乗せしても、被害想定を下回るなんて記述もありましたが、そうでなくても人命と生活の維持という部分ではきっちりと国が動いてほしい。で、防災テックってのは最大限に効果があるはずなので是非。

  • 自然災害に対する国や民間の動きなどが、わかりやすくまとめられていました。読み応えがありました。もう一度読み返します

  • 開発目標13:気候変動に具体的な対策を
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50260114

  • ●国交省は2020年に、治水対策の大転換「流域治水」の推進を表明。簡単に言えば、堤防の整備や強化、川底の掘削などによる従来型の治水対策だけでなく、川の外(堤内、氾濫域)などでもあらゆる手を使って水害対策を講じることを指す、新治水の概念。
    ●武蔵小杉のタワーマンションの地下が水没した。内水氾濫による被害。10年間で21万棟。
    ●真備町の外水氾濫。実験では水深が64センチで家具が転倒。2階への避難行動が取れない。室内より屋外の水が高いので、水圧で玄関のドアの外に開かず、屋外に出られない。
    ●近年3年間ともに大規模な高潮災害がなく、経験した最悪の災害から、それぞれ96年、79年、54年が経過している。これはこの間に進められた堤防などの施設整備の効果と言うよりも、たまたま大きな台風の直撃を免れてきた僥倖によるものと言える。
    ● 2021年7月熱海市の土石流。土石流は一瞬の出来事で、流れ落ちた後を見ることが一般的なため、SNSで共有された映像は、専門家にとっては貴重な映像だったと言う。

  • 逆線引(市街化調整区域に)

  • はじめに 5メートル浸水した場所で進む住宅再建
    第1章 水害事件簿
    第2章 狙われた臨海部
    第3章 土砂災害頻発列島
    第4章 危険な土地からの撤退
    第5章 耐水都市への挑戦
    第6章 防災テックに商機

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著者プロフィール

日経クロステック・日経アーキテクチュア副編集長。2007年京都大学大学院工学研究科建築学専攻修了。同年に日経BP入社。建設産業のDXや災害、原発事故などの取材を担当。著書に「すごい廃炉」(18年)、「建設DX」(20年)など

「2021年 『私たちはいつまで危険な場所に住み続けるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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