勝負師の条件 同じ条件の中で、なぜあの人は卓越できるのか

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  • 日経BP 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296116966

作品紹介・あらすじ

『孫子の兵法』を身に付けたもの同士が戦ったら、その勝敗を決するカギは何か?
経営者、スペシャリストからスポーツ選手、芸術家まで、常に抜群の成果を出す「勝負師」たちに共通する思考や行動とは?

累計20万部のロングセラー『最高の戦略教科書 孫子』、待望の続編!


◆『孫子』とは、一言でいえば戦略の本だ。自分が軍隊の将軍だったとして、ライバルの知らないような戦略やかけひきを自分だけが『孫子』から学べるなら、勝てる確率は高くなるだろう。しかし、もしお互いが同じように『孫子』を学んでいたら、こと知識の面では差がつかなくなる。このとき、お互いの戦力も似たり寄ったりだったとしたなら、何が勝敗を決めるのだろう。指揮官の能力に焦点をあててみるなら、非常にプレッシャーの厳しい環境のなかで、人並みすぐれた洞察力や判断力、さらには学んだ戦略に対する応用力を発揮できるかどうかが、大きく問われてくるだろう。

◆大企業同士の競争においては、企業名を隠してしまえば見分けのつきにくい製品やサービス、広告、販売戦略が氾濫している。このように情報が飽和し、お互いが似てしまわざるを得ない状況のなかでも、抜群の成果を生み出してしまう人たちがいる。本書で紹介する「勝負師」たちだ。いったい彼ら彼女らは、なぜそのようなことができてしまうのか。本書では、こうした実社会でも使える知恵を汲み出すべく、「誰しも判断を間違えてしまうような複雑きわまりない状況のなかで、他人よりすぐれた判断ができる人とは、どんな人なのか」を探究ずる。

◆筆者は、この20年間、経営者や起業家、コンサルタント、ファンドマネージャー、弁護士、会計士、自衛隊員、政府関係者、学者、格闘家、芸術家といった方々と、複数の中国古典の勉強会を続けてきた。また、雑誌連載や単行本執筆のために、多くの経営者にインタビューをしてきた。彼らとの対話を繰り返すなかで、「勝負師」と呼ぶべき人々にはいくつかの共通点があることがわかってきた。幅広い知識と教養を持ち、良い意味で予想の斜め上をいく、余人には思いもつかないような発想をする人々――。本書は、そうした「勝負師」たちに共通する思考と行動を、中国古典やビジネス名著を繙きながら明らかにしていく。

感想・レビュー・書評

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  • 卓越した勝負師の特徴とは何か。頭を抜け出した勝負師は他の人と何がちがうのか。
    孫子と孫子のぶつかり、相手にどうやって勝つか、どうやったら勝てるか。
    上記の疑問に答えるのが本書です。

    ■勝負師
    ・勝ち負けがはっきりつくような世界で、ひたすら勝ちをめざすべく執念を燃やす人
    ・勝負事において、沈着に状況を見すえて、大胆な手で成果をもぎ取ってみせるような人

    大局観、方向性、ビジョン

    ■専門家に見えて、素人には見えない風景
    ・未経験者が気がつかないパターン
    ・異常性
    ・全体像
    ・状況の進行方向
    ・チャンスと対応
    ・過去の出来事と、将来おきる出来事
    ・細かな違い
    ・自分の限界

    ・名人の直観は7割あたっている

    ■卓抜な勝負師に共通する原理
    ・勝負が決した直後の徹底した振り返り
    ・なぜ負けたのか、納得するまで原因をさぐる、わかれば、負けても納得ができる
    ・悔しいだけでは、二流にしかなれない。勝ったときは、本当に勝ったのか。負けた時はなぜ負けたのか。それを365日続けていく
    ・プロセスの徹底検証、プロセスの解析と改善への徹底したこだわりを持つ。徹底的にプロセスを重視する

    ■長い経験を積むための2つの技法
    ・定点観測
    ・失敗の集積

    平戸藩主、松浦静山の名句 「勝ちに不思議の勝ちはあり、負けに不思議の負けはなし」

    ■小さく負ける
    ・進歩するためには、挫折は必要である
    ・大きく崩れないために、小さく負ける、我慢できるうちは負けろ

    ■勝負師が当然持っている幅広い知識と教養
    ・どちらの領域に進むかを決める、方向性の感覚
    ・自己を縛っているものを知るための、自己認識
    ・正解のない状況下での抽象化
    ・ひらめきに必要な無意識

    教養とは、誤った自分の常識を正すためのものさし、今までのやり方を見直すためのものさし。正しさには教養が必要

    孫子 百戦百勝してもそれは最善の策ではない、戦わずして相手を屈服させることこそ、最善の策

    リーダに必要な教養とは、あくまでも成果につながる教養でなければならない

    名君賢将が戦えば必ず勝つのは、相手に先んじて敵情を探し出すだすからである

    彼を知り、己を知れば百戦してあやうからず

    自分を知ることの難しさ 老子 人を知る者はせいぜい賢者のレベル、自分を知る者こそ、明知の人である

    ■競争とは異なる概念
     競とは、かけっこ、順番をきめる競争
     争とは、タイマンでの死闘、1か0か、生き残るための死闘をいう

    ■敵を知る
    ・95%の情報は公知である
    ・事前にしっかり準備をしてたくさんの情報を集めた方が勝つ
    ・交渉にあたっては、徹底的に相手の情報を調べ上げる
    ・勝負師の条件とは、努力と根性に他ならない
    ・人の持つパターンをつかみ、相手の出方を読む

    ■相手を読む方法
    ・相手の立場に立ち、自分はどう感じ考えるのかを推測する
    ・相手の人格になり切って、その好悪、価値観、性格などをベースに、論理だって相手の新章風景を読み切る

    ■人の気持ちがわかる勝負師
    ・ねたみや嫉妬などの負の感情を学ぶ
    ・敵にいた卓越した経験者の話を聞く
    ・性格がわるくても、せめて仕事のときには良い人となれ

    ■全体の流れ、機会、環境を知る
    ・アイルトン・セナは6kmのコースを歩いて丹念に観察しながらチェックを行う
    ・かわらないもの、かわるものを知る。かわらないものがわからないと何がかわったかはわからない
    ・先行指標を知る ①過去から未来へと繫がりやすいもの ②変化をもたらす本質 ③あり得る未来の幅 ④先取された未来

    重要なことは、すでに起こった未来を確認すること、もとに戻ることのない変化、重大な影響を知覚しかつ分析する

    シナリオプランニング 主観を捨てて、客観的に未来のシナリオをパターン認識する

    危機管理 天災は忘れたころにやってくる
    大きな流れを感じる

    薬はめまいがするほど強くなければ、病を治すことはできない

    師を持てば王者になれる、苦言を呈してくれる友人をもてば、覇者となれる

    君子は、協調性に富んでいるが雷同はしない。小人は、雷同はするが、協調性はない

    ■もう一人の己をもつという難問
    ・離見の見、舞台のそとからもう一人の自分として自分を見る
    ・いろんな立場の自分がたくさんいて、自分をみている。複数の自分を持つ
    ・冷静なもう一人の自分が、アドバイスをくれる

    直感 感覚によって物事を捉える
    ひらめき 考えや思いが瞬間的に思い浮かぶ

    ■もう一人の自分を持つためには
    ・理路を知った上での意識づけの努力
    ・自分の意識を広げ、相手や場を包み込む
    ・自分を三人称として、本や文章をかいてみる

    ■4つのとばし
    ・スコープ
    ・時間軸
    ・三人称
    ・世界観

    10-10-10 テンテンテン 10分後、10か月後、10年後 にどうなるか

    外交と諜報
    そこはかとなく、伝えたいことを伝えあうのが外交
    伝えたくない内面を探るのが諜報

    情報担当が私心とか期待を込めると情報はゆがむ、情報担当は十分に禁欲的でなければならない、私心がはいると情報が客観性を失う

    諫言は3種 師、友人、側近&部下
    勝負師の条件 同じ条件の中で、なぜあの人は卓越できるのか
    著:守屋 淳

    目次

    まえがき

    I 部 「勝負師」たちの土台――当たり前だけど、当たり前にできないこと 
     
     第一章 ある領域での長く深い経験 ①察知力と直感 
     第二章 ある領域での長く深い経験 ②経験の巧みな積み方 
     第三章 幅広い知識と教養 ①「己を知る」ために 
     第四章 幅広い知識と教養 ②「自分なりの答」を作る道具として 
     第五章 幅広い知識と教養 ③「無意識のゆらぎ」のために

    Ⅱ部 敵やライバルなんて、本当に存在するのか 

     第六章 「競」と「争」の織りなす世界 
     第七章 敵やライバルを知るために 
     第八章 人の気持ちがわかる「勝負師」たち  

    Ⅲ部 未来は誰にもわからない、しかし…  

     第九章 環境、そして変わらないもの 
     第十章 変化の本質を、いかに見抜くか 
     第十一章 あり得る未来の幅、そして危機管理 
     
    Ⅳ部 「己を知る」という難問 ①諫言役を持つ

     第十二章 「諌言役」をいかに活用するか 
     第十三章 「諌言役」の知恵をバラして使う 
      
    Ⅴ部 「己を知る」という難問 ②もう一人の自分

     第十四章「勝負師」は「もう一人の自分」の夢を見るか 
     第十五章 外部からの眼 
     第十六章 人はもともと分裂している 
     第十七章 「自分を超えた自分」はどこから来るのか 
     第十八章 メタ認知の技法 
     最終章 卓越し続けるとは~「勝負師」のあり方~
     
    ISBN:9784296116966
    出版社:日経BP 日本経済新聞出版
    判型:4-6
    ページ数:340ページ
    定価:1800円(本体)
    発行年月日:2023年03月
    発売日:2023年03月22日1版1刷

  • 外野に構っている暇はない。人生にひたすら向き合う! 頑張れ!

  • 一歩立ち止まって、今を整理するに相応しい一冊。

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。現在は、作家として『孫子』『論語』『韓非子』『老子』『荘子』などの中国古典や、渋沢栄一など近代の実業家についての著作を刊行するかたわら、グロービス経営大学院アルムナイスクールにおいて教鞭をとる。2018年4~9月トロント大学倫理研究センター客員研究員。主な著訳書に『現代語訳 論語と算盤』(渋沢栄一著、ちくま新書)、『孫子・戦略・クラウゼヴィッツ』(日経ビジネス人文庫)、『最高の戦略教科書 孫子』『組織サバイバルの教科書 韓非子』(以上、日本経済新聞出版社)、『中国古典 名著の読みどころ、使いどころ』(PHP研究所)、『アミオ訳 孫子[漢文・和訳完全対照版]』(監訳・注解、ちくま学芸文庫) など。

「2020年 『『論語』がわかれば日本がわかる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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