2050年の世界 見えない未来の考え方

  • 日経BP 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784296118410

作品紹介・あらすじ

〇定評のある英国ジャーナリストが経済学や歴史的な省察を通じて30年後の世界の姿を大胆に、ポジティブな見方で展望します。前著『2020年の世界』は世界的ベストセラー。

〇人口、気候変動、エネルギー、民主主義、格差、テクノロジー、地政学的変化――いま起こっている問題は、この先どうなるのか? 日本、アメリカ、中国、ヨーロッパなど主要な国・地域の未来は? 世界を変える5つの力とは何か? 最も憂慮すべき10の問題とは何か? 世界を変える10大アイデアとは何か? 日本はどのような国になるのか?

〇20世紀の社会構造、そして冷戦後の世界秩序が崩壊し、大きな変化が押し寄せてきています。誰もが世界の先行きに関心を持たざるをえません。本書は、人々が知りたい「その先」をファクトとバランスのとれた展望をもとに照らし出します。

〇著者は、『ファクトフルネス』のハンス・ロスリングに従い、専門家ほどネガティブな誤った認識を抱きがちだという「専門家バイアス」の問題を指摘、本書はネガティブな見方に対抗し、ファクトに基づいたポジティブな見通しを重視するのが特色です。世界主要地域、グローバルな重大なテーマに即して歴史、現状を整理し、様々な見方を紹介しつつ、きめ細かく、丁寧に著者独自の展望を提示します。

○日本については、経済構造、金融構造、地政学の3つの面で懸念を抱えるが、島国国家として、1950年代~90年代とは対照的に、世界への関心は低下するものの、より日本らしくあることに自信をもつ穏やかな内向きの国になっていくと展望します。

感想・レビュー・書評

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  • イギリスの著名なジャーナリストによる、30年後の未来予想図。
    著者は1990年に『2020年 地球規模経済の時代』を執筆しており、それを踏襲する形で次の30年を予想している。人口増減、環境問題、テクノロジー、民主主義の在り方、地政学上のリスクといった各要素を丁寧に取り上げている。
    一見我々は、将来について不安定要素があまりにも多いため、悲観的な予想をしがちだが、筆者は『ファクトフルネス』のように、客観データを重視しながら、将来の発展可能性を見いだし、明るい予測をする立場に立っている。

    以下、ざっくりと頭に残ったポイントをメモしておく。

    ・アメリカが人材を引き寄せる「磁石」であり続けること。
    ・ヨーロッパ大陸は、人口が減少して静かな地域となり、一方でイギリスを始めとするアングロ圏が台頭すること。
    ・中国が人口減少とともに経済規模を縮小させ、攻撃的な国から協調路線に転ずること。
    ・インドに続いてアフリカや中東で人口が増加し、これらの地域の若者たちが活躍すること。
    ・日本は世界第4位の経済規模を維持しながら、治安と秩序の整った世界的に魅力的な地域であり続けること。
    ・ただし、日本人は快適な空間を維持しようと、閉鎖的な気質を強める可能性があること。越境学習と海外に出て学ぶ機会がますます貴重なものとなる。

    ページ数が多く、読みごたえがあった。読了まで時間がかかってしまったが、今年1年の読書を振り返るタイミングでなかなか良い1冊であった。

  • 未来予測をしているが、正直、目新しい情報は得られなかった。
    楽観的な内容が好評価。

  • ようやく読み終えた。
    世界情勢から、1世代先を予想する。
    日本についても書かれている。超高齢化で、これからは緩やかに下っていくだろうと…。
    想像できる未来が予想されている。

  •  1世代後、つまり25〜30年後の世界であれば 人口動態などの着実な計算に立って世界を予測しやすいという考え方に基づき、2050年の世界全体の様相を示した本。人口動態、資源と環境、貿易と金融、テクノロジー、政府/統治といった分野カットでの解説を経て、地域カットでの動向予測を示しているので全体像がつかみやすく納得感がある。逆に言えば、目が飛び出るような予測はないものの、それこそが1世代先という直近の世の中を網羅的に示してるこの本の価値のように感じた。
     印象的だったのは冒頭の日本語版への序文であり、これだけ世界全体の動向を見てきている著者からの日本へのメッセージのように感じた。高齢化社会に相対するモデルケースとなることことや治安の良さといった、他国にはない特徴をこの 30年でどのように進展させていくか、国内からの目線でも考えていきたいと思わせられる内容だった。

  • 2050年の世界の政治経済予想。
    テック系の予想本とは違い、あまり突拍子もない話は出てこず、現在の延長線上という感じ

    ・英語を話す国(英米のみならず、ナイジェリアやインドも含む)の覇権が続く

    ・アジアの時代が来る。インドがその中心になる。中国は高齢化にともない穏やかになっていく。日本は内向きのまま、移民を受け入れたりすることもなく豊かではあるが静かな社会を維持する。

    ・ロシアは今の長い国境線を維持できず、シベリア地方を手放すことになる

    ・インターネット(SNS)について:「考えを発信するスキルに長けている人があまりにも多い一方で、その考えの価値を見きわめられない人があまりにも多い」

    ・ポピュリズムについて:「するべきことはみんなわかっている。それでも、するべきことをしたら賽銭できない」(ジャン=クロード・ユンケル、2007)

  • 日本について
    高齢化社会のパイオニア、日本の特徴はより際立ち世界では異質になり、周囲が混沌とするほど内向きになる
    ソフトよりハードに強い日本の重要性は相対的に小さくなり、経済のほとんどの分野で最先端から遠ざかる
    公的債務比率は持続不可能、いつどのような形でデフォルトになるからわからない

    アメリカ
    若い才能のある移民による人口増加、規模では中国に抜かされ、国内の格差による混乱も続くが、長期的にはもっとも見込みがある

    ヨーロッパ
    緩やかに衰退、イギリスはヨーロッパと距離を取りアングロ圏を形成

    中国
    世界一の経済大国になるが急速に高齢化、それに伴い拡大も穏やかに。2030年台まで着実に成長するがどこかで危機、2050年には衰退が始まり内向きに。

    インド
    インフラや格差などの問題は多い、人口は中国を追い越し若く活気がある、若者の雇用は重要課題

    アフリカ
    人口が爆発的に増える、国や地域による差がある、

    オーストラリア
    とても恵まれているが温暖化による乾燥が懸念

    中東
    次の30年で情勢が悪化する恐れがある


    10の不安
    1 アメリカの政治体制が崩れる
    2 中国、インド、アメリカの関係悪化
    3 ロシアが強く出過ぎる
    4 サハラ以南のアフリカが貧困
    5 宗教紛争が勃発
    6 環境悪化、気候変動
    7 パンデミック
    8 中東がさらに不安定に
    9 情報革命による混乱
    10 民主主義への脅威

    10の前向きな考え方
    1 中間層の拡大
    2 アメリカが穏やかに
    3 アングロ圏の台頭
    4 中国が攻撃から協調へ
    5 EUの分断
    6 インドの発展
    7 アフリカの発展
    8 グローバル化がモノから資金とアイデアへ
    9 テクノロジーが社会問題を解決
    10 地球環境への対応

  • 未来予測系の話では一番リアルで、学びが多かった。2050までに世界はどう変わるのか、今ある問題とこれから起きるであろう課題、そして地域ごとの変遷予測などら様々な角度からデータに基づき分析されている。日本にも言及があり、海外から見た日本の未来がわかるだけでも、読んでよかったと思う

  • ナナメ読みで読了。
    超高齢化が進む日本は内向きの傾向を強めつつ独自の道をいく(世界に向けて閉じる方向)という「予測」。著者は日本をよく知っていて日本語版への序文では期待を込めてエールを送っているけど、予測はけっこう淡々としてますね。

  • そうなるかもしれないし、ならないかもしれないっていう話。

    当たる当たらないを抜きにしても、日本に居ると普段あまりニュースも入って来ない南アメリカやアフリカの情勢含めて、全世界的な30年後を予想しているだけでも興味深かった。

    中国とインド。




    p. 264

    イエール大学ロースクール教授のダニエル・マルコヴィッツは、2019年の著書「能力主義の罠』で、エリート内の熾烈な競争が上位1%とそれ以外の人たちの格差が広がっている原因であるとして、強く批判している。
    「「能力』は偽善と化し、偽りの偶像になりさがっている。……憎悪と分断を生むカースト制だ。新たな上流階級だと言ってもいい」


    p. 336

    理論上では、大規模な移住があれば人口の減少を遅くできる。だが実際には、そうはならないだろう。ほかの国々が混乱すればするほど、日本人は国境を閉じるのは正しい選択だったという確信を強くする。日本の社会には、お互いに困ったときは助け合い、助けられた人は労力でお返しをするという精神が根付いている。日本社会を一つにまとめる接着剤となってきたこうした社会契約は残る。

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著者プロフィール

英インディペンダント紙経済コメンテーター。デイリー・メール紙に経済・金融に関するコラムを執筆。
ガーディアン紙、インディペンダント紙金融面エディターを歴任。英国プレスアワードの年間最優秀ビジネス・ファイナンスジャーナリスト賞など多くの賞を受賞。オーウェル・フェロー。

「2023年 『2050年の世界 見えない未来の考え方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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