愛する日本人へ 日本と台湾の梯となった巨人の遺言

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299010292

作品紹介・あらすじ

7月30日に李登輝氏が亡くなりました。李登輝氏は日本と台湾の橋渡しをし、台湾を親日の国に変えた人物です。そして、日本人に多くのメッセージを残しています。その珠玉のメッセージが一冊の本になりました。監修は自ら「李登輝先生にいろいろとお世話になりました。恩返しがしたい」という門田隆将氏。そして、李登輝基金会の全面バックアップのもと、台湾と日本の絆を作った巨人の本当の素晴らしさを日本人に伝えます。

感想・レビュー・書評

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  • 李登輝の人となりが少しは理解出来たと思いますが、私よりも公に尽くすことを先ず考える等、李登輝が若い頃の日本人の高い精神性を礼賛していますが、自虐史観なのか俄に頷けないのが正直な気持ちです。
    台湾統治時代、日本の優秀な人材が携わっていたと読んだことがありますが、日本人が結果的に台湾の近代化に貢献し、それが李登輝や他の台湾人の方に親日感情を抱くことになったことは嬉しい限りです。また、中国との微妙な立ち位置の中で民主化を成し遂げ、台湾人のアイデンティティーを作り、国を引っ張って来た李登輝の業績に頭が下がります。
    李登輝や後藤新平について別の書籍を読み、さらに台湾の理解を深めたいと思います。

  • 李登輝元台湾総統が残した代表的な言葉をまとめ、そのそれぞれの言葉に門田隆将氏が解説を加えた本。
    良い本だと思う。見開き右ページに李登輝氏の言葉、左ページに門田氏による解説文がありわかりやすく読みやすい作りになっている。日本の古き良き伝統や考え方、高い精神性は失われつつあるが、台湾にはまだそれが残っていることがわかった。日本人として情けなく感じるとともに、これから残し、伝搬・啓蒙していくべきことは多いように思う。日本の教育の大きな課題であると考える。

    「日本人が忘れ去った古き良き日本人の高い精神性を氏の中に感じていた」p14
    「日本の若い世代は安定した社会で育ちました。外には外敵がなく、内に内乱もありません。生活は豊かであり、保障もある。半面、危機意識が失われ、改革意識も失われているようです。中国に対しては何も言えず、「不公平」や「不義」に対して、胸を張って正すこともできません。過去の日本人が持つ、公に尽くし、責任を負い、忠誠を尽くして職を守る日本精神が、いま失われつつあるように思われます。これは日本社会の“最大の危機”であります(2003)」p22
    「私自身、いまでも一番多く読んでいるのが日本の書物である。日本には、実はアメリカにはないような深みがある(1999)」p36
    「戦争は是か非かで語るものではない」p77
    「個人も大事でありますが、国家はもっと大事なものなのです」p87
    「カリスマ的な指導者は、長期的な政治生命を保つことはできません。カリスマは人民の感情であり、一種の幻想なのです(2012)」p90
    「大事を成し遂げるには、それを邪魔する人には去ってもらわなければならない。そこに情を持ち込んではいけない」p105
    「李登輝は、この当時に国民党によって行われた大中華思想の教育が、台湾人精神を失わせたと話す。それまでの台湾人が身につけていた、法の順守や勤勉、清廉、責任感などの美徳は失われ、中国人特有の投機性、法を知っていても法を破る、善悪転倒、賄賂特権などといった悪癖が強くなったと言う」p141

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著者プロフィール

1923年台湾生まれ。元台湾総統。農業経済学者。米国コーネル大学農業経済学博士。京都帝国大学農学部在学中、終戦のため学業半ばで帰台。台湾大学に編入し卒業。米国アイオワ州立大学大学院を経て、台湾大学教授。71年に国民党入党、72年行政院政務委員として入閣。台北市長、台湾省主席などを歴任。84年に蒋経国総統から副総統に指名される。88年蒋経国の死去にともない総統に昇格。96年台湾初の総統直接選挙で当選し第九代総統に就任。2000年任期満了で退任。07年第1回後藤新平賞受賞。20年7月30日死去、享年97。

「2021年 『人間の価値 李登輝の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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