SDGsの不都合な真実 「脱炭素」が世界を救うの大嘘

制作 : 杉山 大志 
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299020987

作品紹介・あらすじ

「貧困をなくす」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」「質の高い教育をみんなに」「ジェンダー(性差)平等」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」――SDGsが掲げる目標はどれも普遍的であり、異論などあろうはずはない。
しかし、「エネルギーをクリーンに」の部分には注意が必要だ。世界が目指す「脱炭素=カーボンニュートラル」の実現には、国民の莫大なコスト負担とチャイナリスクが潜んでいるにもかかわらず、ほとんど報道されることはない。
「再エネ」促進で暴騰する日本の電気料金、メガソーラーによる自然破壊と災害リスク、「太陽光パネル」で目論む中国の世界支配、欧州メーカーが「EV原理主義」に走る裏側、「水素は次世代エネルギー」が夢物語の理由、新手の錬金術となりつつある「ESG投資」の実情――。
各分野のスペシャリスト12人が「脱炭素社会」実現で危惧される負の側面を徹底レポート。「環境にやさしい」に騙されてはいけない!

感想・レビュー・書評

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  • 太陽光、風力、電気自動車などの製品は、中国の鉱物資源に依存している。
    レアメタル>レアアース。レアアースは世界中にあるが、環境規制で採算が合わない。

    ソーラーシェアリング=太陽光発電の下に作物を育てること。
    日本は、太陽光発電量で世界3位。
    平均年間所得は、韓国が日本を10%上回っている。デフレが原因。
    デフレの原因は、構造改革にある。少子化や中国だけではない。
    再エネ費用は、57円から始まって今は870円/月。
    エネルギー価格の高騰は、すべてに影響を与える。

    小型モジュール炉で、発電すれば水素もできる。

    LCA(ライフサイクルアセスメント)で評価すべき。EVは不利。トータルでco2を減らせるか。

    エコファシズム=IPCCによる化石賞。環境でなくても原理主義は幸せをもたらさない。
    先進国の問題より、途上国では、貧困、境域、雇用などが問題。

    科学者の合意、ほど危ないものはない。十分な検証を経ていない合意は政治であって科学ではない。

    1次エネルギーは、化石燃料と原子力と自然エネルギーだけ。その他は2次エネルギー=持ち運ぶために加工されたもの。
    水素は、水蒸気改質と電気分解から作れるが、作るのにエネルギーが必要。
    CO2を地中に埋めるCCSはコストがかかる。
    水素は天然ガスから作られていて、電気分解では効率が悪くて無意味。64%ロスする。
    水素は燃料電池が一番効率がいい。

    レジ袋有料化はグリーンウォッシュ。
    一番の問題は、海洋投棄している国。燃料技術の不足、ポイ捨て。
    海岸のゴミ拾いだけでは、ウミガメは救えない。

    高温ガス炉(HTTR)は安全で水素も作れる。小型でコストが高いのが欠点。小型モジュール炉と同じ。原発事故で安全対策費が増加した結果、価格格差が消えた。

  •  カーボンニュートラルの基本を学びながらその裏側からの意見も知っておくべきと手にとった。
     CO2削減に係る各国の思惑、日本政府のC02削減政策、ESG投資の実態、海洋ゴミ問題など、現在行われているSDGsの空疎な取組みの実態が垣間見える。なぜこんなことになってしまうのか。日本はもう無駄なことに金と労力を浪費する余裕などないはずなのに。政治家は国民を導くことはできないのだろうか。国内では権威主義的にいばっている政治家も対外的には国を売って顔色を伺っているだけだ。

  • 最近やたらTVや雑誌等のマスメディアで取り上げられている「SDGs」に対して、違った観点からの意見が掲載された本です。マスメディアが表立って伝えない政治家や企業が人々に「SDGs」を意識させる目的について数人の有識者が解説されていますので偏った情報を鵜呑みにせず、多角的に物事を見る手助けになる本です。若干、化学の専門的な話に成っている箇所もありますが、総じて読み易い本です。

  • モノには多様な見方がある。NEWSや情報のソースは偏ってしまってはいけない。でもって、眉唾なモノ含め、どんな情報を取捨選択するかは、結局、自己判断。情報過多な状況と、ブラックボックス化と、どちらが楽なのかってのは一つ大きな問題ですね。どうしても言葉の力は大きい。キーワード先行型のハナシって、きな臭くなりますよね。色々と説明不要で突き進むってのは危険。とはいえ、陰謀論めいてくると、色々滅入っても来る。バランスは自分で取らないと。

  • 世はSDGs祭り真っ盛りだが、大手メディアでは決して取り上げられない、その闇とカラクリに多方面から切り込んでいる。本書を読むにつけ、ESG投資の指南役で政府の審議会の委員も務める金融コンサルタントの知人が評者に語った言葉を思い出す。「ESG投資が地球に良いかどうかなんて誰にもわからない。わけのわからないブラックボックスだからこそ金融業界の儲け代になる。それがグリーンバブルの本質だよ。」金融市場というものの本質を見事に突いたあまりにあっけらかんとした仕掛人のホンネに膝を叩いた。

    本書はSDGsとそのご本尊たる「脱炭素」が「わけがわからない」どころか「嘘だらけ」であることをファクトに基づいて明らかにする。SDGsや脱炭素を食い物にする輩は金融屋だけではない。強制労働による低価格の太陽光パネルで世界を席巻する中国、森林を破壊し土砂災害の温床となる再エネ濫開発業者、「弱者の味方」を標榜しながら、金持ちの贅沢品「クリーン・エネルギー」を消費税1%に相当する逆進性の高いFIT賦課金で購うことに何の疑問も呈さない似非消費者団体、落日の階級闘争へのノスタルジーを「グリーン革命」に託す環境NGOと称する左翼活動家(=「スイカ」つまり皮は緑で中身は赤)、「既得権益」の打破を錦の御旗に、今や強大な既得権益と化した再エネ事業者と結託して世論を煽るポピュリスト政治家……このままでは、エネルギー価格の高騰が日本の産業競争力に壊滅的な打撃を与え、国民負担の重圧だけが残ることは目に見えている。菅内閣の最大の失政はコロナ対策ではなく、無謀な「カーボンニュートラル宣言」である。冷静に考えれば、この馬鹿騒ぎがいかに国益を毀損しているかはあまりに明白だ。

    評者はエネルギー業界に身を置き、再エネ開発にも関わっているが、実は本書に書かれていることに特段目新しい発見はない。事業者、官僚、政治家、学者を含め、少しでもエネルギーを真面目に考えたことのあるコミュニティでは半ば公然の事実だ。ところが総裁選真っ只中で、各候補者はともかく、野党も主要メディアも誰一人このことを争点化しない。この国は一体どうなってるのか。温暖化は確かにリスクだが、複雑で多面的な世界のリスクは温暖化だけではない。一つのリスク回避に過度に資源を集中すれば、別のリスクへの対処が疎かになり、結果的に全体としてリスクへの脆弱性は高まる。そんなことはリスク学のイロハだ。コロナ対応もそうだが、正面からは誰も反対できない抽象的な「正義」の同調圧力に流され、科学的議論が全く顧みられない。「地獄への道は善意で舗装されている(資本論) 」。日本よ、そろそろ空念仏から目を覚まし、いい加減、正気を取り戻せ。本書はそのために不可欠なリテラシー獲得の一助になる。

  • 本書ではTVや新聞には決して載せられない真実が記載されています。太平洋戦争時に日本だけを貶めた連合国側のやり口そのままで、欧州や欧米の金融界が叫ぶ大義の後ろ側が如何にいい加減で自分達の利益しか考えて無い情報操作であるかが良くわかります。
    各著者も批判やヘイトへのリスクを分かった上で執筆されており、その倫理観に敬服致します。このままでは、まじめな日本だけが馬鹿を見て国力を低下させ、ゲームチェンジを目論むヨーロッパ諸国、かつての列強にいい様にされ、また最終的には賢い隣国の脅威に晒され、日本はまたもや経済敗戦国に陥れられます。
    日本人よ目を覚ませと言う内容です。

  • 12人の識者がSDGs、ESGに対して異論を唱える。

    環境保全、気候変動対策を至上命題として本邦を含む世界各地で行われている対応、対策は不合理の極みであり、ほぼ中国一国を利するだけでなく、目的達成に何ら貢献せず、貧困国の困窮を悪化させるという指摘は、世間一般の認識とは食い違うかもしれないが、合理的で説得力に富むと言わざるを得ない。

    高校の社会科や大学の教養課程の教材にぜひ取り上げて欲しい。

  • 地球温暖化が事実とするなら、私たちがやらなければならない事はたくさんある。
    しかし間違ったやり方が多すぎる。そんな事を教えてくれる本。

  • 電気自動車を外国が推すのは、日本車を世界のトップから引きずり降ろす作戦なのか。

  • 環境問題に興味があってキャッチーな名前だったので、つい買ってしまった。
    どうせ過激な言い過ぎ批判を書かれているのかと思い読んでいましたが、ところどころ納得するところも。自分自身環境政策や問題の知識が浅いのですが、感じたことは一つの社会問題や環境問題を切り取っても多様な見方があり、原因や対策はなにに焦点を当てるかによって変わってくるのだということ。環境問題の政策に対して、批判的な意見の立場に触れられる一冊です。

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著者プロフィール

作家、ドイツ・ライプツィヒ在住。日本大学芸術学部卒業後、渡独。1985年、シュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。2016年、『ドイツの脱原発がよくわかる本』で第36回エネルギーフォーラム賞・普及啓発賞受、2018年に『復興の日本人論 誰も書かなかった福島』が第38回の同賞特別賞を受賞。近著に『メルケル 仮面の裏側』(PHP新書)、『無邪気な日本人よ、白昼夢から目覚めよ』(ワック)などがある。

「2022年 『左傾化するSDGs先進国ドイツで今、何が起こっているか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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