両面宿儺の謎 桜咲准教授の災害伝承講義 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
- 宝島社 (2022年9月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784299031822
作品紹介・あらすじ
『このミステリーがすごい!』大賞シリーズ。洪水・津波・疫病など過去の災害についての伝承を調べ将来の教訓とする「災害伝承」を研究し、マスコミ露出も多い新進気鋭の民俗学者・桜咲竜司准教授。神や妖怪の名を借りた災害伝承について研究する「妖怪防災学」を確立した彼いわく、「妖怪退治とは、人為を超えた不可解な出来事を克服してきた歴史、すなわち防災の伝承でもある」。「新地名に隠された危険な旧地名」や「伝承や神話に登場する怪物の正体」などの講義や書籍が人気で、災害に関するコメンテーターも務める異色の民俗学者である。が、彼には論文盗用の疑いもあった。よく知られた「桃太郎と鬼退治」「河童と人柱」「両面宿儺(りょうめんすくな=頭部の前後両面に顔があり、手足が合わせて八本もある鬼神)の正体」の謎を解く彼の研究は、やがて、思いもよらぬ結論を導き出すこととなり……。そして論文盗用疑惑に隠された悲しい真実とは。知的興奮に満ちた歴史民俗学ミステリー。由来を解き明かされる実在の地名も多数登場します。
感想・レビュー・書評
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「幽霊の正体見たり枯れ尾花」
ここでは、妖怪かな?
古文書なりに、書かれているもの、その正体というか真相。
それと災害との結び付き。
昔からの言い伝えなり、伝承と呼ばれるもんには、それなりの理由がある。
両面宿儺、土蜘蛛とほんとのとこは知らんけど、上手くまとめられてるな。
でも、辛いもんがある。高度な文明が滅びる的な…それの復讐も…
地名なりから、ある程度の災害などが分かるってのも目から鱗。(本そのまま信じてええの?)
人柱の話もそうやけど、呪いというのではなく、あくまでも論理的に?解説で納得!(本そのまま信じてええの?)
こういう感じの好き!
何か、古代の想いを感じながらってヤツ!
一気読み!(^_^)v詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
民俗学的観点から防災学を伝えていくという、また新しい感じでした。確かに妖怪そのものではなく、そこに隠された事柄を伝承させていくことは本来先人たちの考えていたことなのかと、納得してしまいました。
論文の盗作疑惑を探るため、桜咲准教授に近づきながらも大好きな民俗学の授業で新たな知見を得て生き生きしていく姿がとても素直で良かったです。盗作疑惑を含め事象から踏み込んだ考察にて理解を自身に落とし込んでいくのは、民俗学的なことだけでなくどの分野でも言えることですね。
桜咲准教授が何度も唱える3つの『風』はとてもわかりやすいです。
新たな民俗学シリーズが楽しみです。 -
地名や伝承に潜む災害についての言い伝えにまつわる民俗学ミステリー。両面宿儺とは何者なのか、という謎を中心に、いろいろな考察をしています。民俗学は面白いですね。
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様々な過去の災害の伝承から読み解く真実は?
両面宿儺とはどんな存在だったのか?
最初違う感じの話かと思いましたが読み進めるとちゃんと民俗学の話で
思いがけない話が出て来てすごく興味をそそられて一気読みでした
一方の問題があっさりと片付いてちょっと拍子抜けしましたが(⌒-⌒; ) -
民俗学の観点から地名を紐解き、洪水や疫病などの災害を検証するという民俗学ミステリ。
妖怪等の民俗学好きにとってはたまらない内容だった。
このミス大賞シリーズということで、事件的なこともないわけではないが、正直、本格ミステリとしては全然物足りない感じ。ただ、知的好奇心はバシバシ刺激される。
民俗学を取り扱っているとはいえ、内容に難しいものは全然ないので、民俗学に興味が人への入門書としては、かなりおすすめできる気がする。
個人的に、こういった内容は大好物。
サラッと読めるけど、印象に残りやすい小説だった。 -
土地の名前や口伝やお祭りなどに、昔の人たちの知恵や生き方が残っている。
薄れていくその記憶を探すフィールドワークに、また行きたくなりました。 -
読了。関西旅行の際にフォロワーさんに教えてもらった本。
民俗学を絡めた話が大好物なので読み始めたら止まらなかった!楽しかった!
地名や妖怪などの謎を解くの楽しすぎる。
参考文献リストの中の本も気になる。