- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784299045126
作品紹介・あらすじ
紙業界誌に掲載された〝紙人32面相の推理クイズ〟と、現実に起きたという密室殺人事件との関係とは――? どんな紙でも見分けられる紙鑑定士・渡部は、懸賞目当てにクイズを解きながら様々な事件に巻き込まれる。学習塾で起きたカンニング事件の真相とは? 「さわるときけん けがするで」物騒な怪文書を作った犯人は、どうやって密室の建物に忍び込んだ? 事件とクイズを解明していった渡部は、〝紙人32面相〟から協力を請われ、とある怪死事件の謎も解くことに……。
感想・レビュー・書評
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紙業界誌のクイズと実際の事件とのコンビネーションがお見事。相変わらず、紙の詳細な蘊蓄の辺りは読み飛ばしてしまうのだが、ミステリーの部分が結構凝っていて面白かった。主人公は、なんかさえない感じで、鋭い推理をするようには見えないのが難点?
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触れるだけでどんな紙でも見分けられるという紙鑑定士の渡部圭が、遭遇する数々の事件の解決に奔走する姿を描くサスペンスミステリー。シリーズ第3作。
◇
その日、渡部圭は事務所で1人、紙業界誌の最新号すべてに目を通していた。
時代の趨勢でか、この業界も業績悪化の一途をたどっているのがわかる。その一隅で仕事をしている身としては暗澹たる気持ちになるばかりだ。
だがこんな逆風の吹く紙業界に新風を吹き込もうという気概を見せる業界誌があることに、渡部は気づいたのだった。
業界誌の名は『月刊 KAMI・ZINE』。紙のマガジンという意味のようだが、工夫をこらした構成で業界誌とは思えぬ親しみ易さを前面に押し出している。思わず読みいっていた渡部は、懸賞付きクイズのコーナーに瞠目した。
「紙人(かみじん) 32面相の神ってる! 推理クイズ」と銘打ち、3つの作品から「密室」が隠されているものを選ぶ、という問題だった。
生来の好奇心と賞金 10万円につられ、真剣に考え出した渡部は……。
( 第1話「FILE:01 クイズと密室と紙と」) 全3話。
* * * * *
今回は歌田さんのテンポにヤラれてしまいました。
これまでと違った展開なのですが、相変わらずユル~い雰囲気で進んでいくので、こちらもあまり気に留めずに読み進めたからです。
第1話で渡部が謎解きするのは、土生井の知り合いが営む学習塾でのカンニング事件。渡部は営業活動をこなしながら正解に気づき、解いた謎を土生井に伝えて一件落着。
こんな軽い展開で3話が連作風に並ぶだけなのかと思ったらまったく違いました。実は、『月刊 KAMI・ZINE』に設けられたクイズコーナーこそ本作の中心だったのです。
第2話で、公共図書館とチェーン古書店に置かれたカミソリ入り怪文書事件に着手した渡部は、知らず知らずのうちに『月刊KAMI・ZINE 』クイズへの関与を深めていきます。それは偽装殺人事件への入口でした。
このユル~い流れから成り行きで重大事件に関わりを持ってしまうところは、渡部のキャラにぴったりフィットします。
さて今回の渡部の相棒は、土生井でも團でも真理子でもなく、新登場の若い女性でした。
その女性は、名を小牟田千果咲といい、『月刊 KAMI・ZINE』の出版社でブックデザイナーをしています。彼女こそ探偵・渡部の相棒にして依頼人なのでした。
謝礼はクイズの懸賞金でというちゃっかりしたところもある千果咲の依頼で、恐ろしい殺人犯と対峙することになる渡部。クライマックスをお楽しみに。( 今回も渡部の必殺技が飛び出します!)
最後に、アヴェンタドールの中で真理子が渡部に言った2つのことばについて触れておきます。
1つめは、「渡部君って、実はそういう(探偵のような) 仕事が向いているんじゃないかって思って」と真理子が微笑みながら言うシーン。満更でもなさそうな渡部の描写には、本格的に探偵を副業にしそうな気配が漂っています。
2つめは FILE : 03 のエピローグで、親が勧めた見合い相手に難癖をつけて「断ったってわけ」と言って横目で渡部の反応を伺うシーン。
真理子のこの「断った」発言で渡部が胸をなでおろすところでエンディングとなるのですが、渡部と真理子が意地の張り合いをやめて寄りを戻す日が来ることを窺わせる終わり方でした。
そして、これらはシリーズがまだまだ続くということを予感させてくれている気がして、うれしい気持ちで読了しました。 -
紙業界紙の特別企画〈紙人32面相の紙ってる! 推理クイズ〉。
紙鑑定士の渡部はもちろん、他社の営業も挑戦するが……。
シリーズ第3作。
紙にまつわる雑学や、紙商としての仕事。
紙鑑定士らしさのある内容で、楽しかった。
懸賞クイズ以外にも謎がある、ミステリ。
1問目の正解者が、出題者と個人的に親しくなるのは、さかのぼって不正を疑われる行為。
軽率というか、引っかかる展開。 -
シリーズ3作目。
前作までのシンプルな装丁と異なり中々目を惹く感じです。紙に関しての知識量が半端なく、一見冴えない感じなのに、人の懐というか横の繋がりを大事にしながら試行錯誤で紙のまつわる謎を説いていきます。
雑誌の懸賞クイズが軸にありながら、塾内の密室カンニング事件や、図書館でのカミソリ事件、過去の密室事件等連作で進んでいきます。
紙については詳しすぎてよくわからないのですが、全体的には読みやすいです。 -
シリーズ3作目。
2作目の感想でも書いたのだけど、主人公の渡部と土生井の掛け合いが面白いシリーズなのに、今回も土生井の出番はほとんどなし。
2作目で登場した造形作家さんもちらっと出て来るだけで、全く違う内容で攻めて来る。
今作では業界紙に掲載された懸賞クイズに纏わる話。
10万円に釣られて、応募する渡部だったが、また事件に巻き込まれていく。
学習塾で行われているカンニングの謎を解いたり、密室の謎を解いたり、忙しいが、段々紙の話からずれて来ている感が否めない。
懸賞クイズも応募していた側なのに、いつの間にか事件解決の為に出題する側になってしまい、話の展開もこれまで以上に無理があった気がする。
紙の知識で謎を解いていく原点に戻って欲しい。-
三作目が出てたのをこちらで知りました!
ありがとうございます!
でも少し微妙そうですね。心に留め置いて読みたいと思います。。三作目が出てたのをこちらで知りました!
ありがとうございます!
でも少し微妙そうですね。心に留め置いて読みたいと思います。。2024/02/06 -
あやたろさん
コメントありがとうございます!
1作目が好きだったら、今回の内容はちょっと…となるかもしれませんが、小川哲さんの「君のクイ...あやたろさん
コメントありがとうございます!
1作目が好きだったら、今回の内容はちょっと…となるかもしれませんが、小川哲さんの「君のクイズ」と比較すると、少し面白いかもしれません。2024/02/06 -
一作目とても斬新で衝撃を受けた覚えがあります。紙でこれだけのことが分かるんだって。二作目もソコソコ楽しめたので、同じであって欲しかったですね...一作目とても斬新で衝撃を受けた覚えがあります。紙でこれだけのことが分かるんだって。二作目もソコソコ楽しめたので、同じであって欲しかったですね。
君のクイズも読んだことあります。
早速、図書館に予約入れたので届くのが待ち遠しいです。2024/02/06
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紙鑑定士シリーズ第三弾。今回は紙業界紙に掲載された「紙人(かみじん)32面相の推理クイズ」への挑戦を主軸に、3つの事件が描かれる連作短編ミステリとなっている。二番目の図書館怪文書事件が一番好き。
『クイズと密室と紙と』
塾でカンニングが起きているのではないか?塾を開いている馬場から土生井(はぶい)へ投げかけられた疑問。土生井はなんとか力になりたいと、パートナーである晴子の妹・英令奈が再現した現場模型をもとに考えていた。そこに渡部も加わって謎解きが始まるが──。
早速、これまでの作品に登場してきた仲間たちと再会できてうれしくなるね!塾の教室を丁寧に再現した模型をもとに推理は進む。テスト中の教室という監視下にある「密室」でいかにカンニングが行なわれたか。紙鑑定士・渡部の仕事の中で出会ったあるものがヒントになるのが面白い。遊び心とロマンがあるとあるアイテムは欲しくなった!決着もスッキリしていてよかったなあ。
『紙と密室とクイズと』
「さわるときけん けがするで カミ人30面相」
カミソリの替刃が図書館や古書店の本の間に挟まれる事件が発生した。替刃が貼り付けられた紙には警告文が。紙から採取された指紋から橋本という頌叡(しょうえい?)出版の文芸担当に疑いがかかる。だが、彼はやっていないと同僚は語り──。
今度は30面相が出た!カミソリの刃が仕込まれるという悪質な事件に、渡部は旧知の石橋和男刑事や同業者に情報をもらいながら真相を探っていく。まさに紙鑑定士の神技をベースにした推理が楽しめた物語。マニアックな知識から、A判B判という基準がなぜ生まれたのか、洋紙の指紋残留期間は5~6年以上で検出も容易など、幅広い紙の世界に触れられるのが興味深い。
もちろん、密室だったお店にどうやって侵入したのか?というミステリの謎もあり。また、出版不況に世界情勢による紙の値上げなどの過酷な現状も語られる。動機の一部でもあったあれは過去に問題提起されたことがあったよね。そういうテーマとしても読者として考えさせられる物語で読み応えがあった。
『紙とクイズと密室と』
紙人32面相のクイズに答えを送り、見事に10万円を獲得した渡部。そして、クイズの第二問目が出題される。殺人後にマンションの一室をどうやって密室にして逃亡したか。玄関の鍵はシリンダー・サムターン錠。複製が難しい鍵はスペアも含めて室内に。糸は使用不可。新たな難問に頭を悩ませる渡部だったが、一問目の正解者インタビューに呼ばれ、紙人32面相の仕掛け人・小牟田千果咲(こむたちかさ)に対面する。話によるとクイズ企画にはとある目的があるらしく──。
一問目のクイズの答えはなるほど納得。ただ、ここからが大問題だった!クイズに秘められたメッセージ!渡部は千果咲の目的のために手を貸そうと決める。ここではシンプルに密室をどうやって作ったかが問われてくる。さらに、ある人物を特定するために渡部は紙の知識を活かして、今度は出題者側として立ち回ることに。意外なキーワードが繋がってきて、詳しい人は気づくのかも?ラストはバタバタしつつも、まとまった終わり方でよかった。 -
紙鑑定士さんシリーズ第3作です。
他にないオンリーワンスタイルなミステリーが何か心地よい。今回は連作スタイルで短い話が3つあります。主人公の紙の知識が凄すぎて蘊蓄を述べるあたりはいつもの通り流し読みしてますが安定の知識量で読んでいて安心感があります。
プロモデラーの土生井さんとフィギュア原型士の團さんが好きなので最初にチラッとしか出てこなかったのは残念でした。
今回も紙の知識をベースに謎を解いていきますが、真相に辿り着くのがアッサリしている感が少々しますが、ダラダラと四苦八苦している様を長々読まされても間延びしてしまうのでこれで良いのかもしれないです。
2作目の話で図書館で本を借りられると作家にとっては営業妨害のくだりは耳が痛かったです。でも気軽に借りられるからいろんな本が読めるというのも事実なのでなかなか難しいところです。
この感じだとまた次の作品が出そうな流れなので楽しみです。 -
短編のようでいて、繫がっている。
サブタイトルと章のタイトルがおしゃれ!
渡部の言動、ふんだんな紙知識を重視するならば、事件とその安易な解決はあまり気にならない。
紙鑑定、紙業界・紙屋のもろもろが濃くて面白かった。
新キャラ <ちがった空>の店主もなんか良かった。 -
『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した本が好き。
歌田さんの①も②も面白かったので、
この③作目も期待して読んだ。
密室に関する章が3つ。
どれも面白かった。
火曜日に内部会議をする会社は多い。なるほど。
学校は、どこの学校も水曜日に職員会議が多いように思う。(経験談)
この作者はとにかく紙に詳しい。すごい。
紙って毎日触っているけれど、言われてみれば確かに色々あると思う。紙についての情報量が多い。
塾のテスト、カンニングの証拠隠滅方法の謎解決。
渡部さんは紙に関係する事件をいくつも解決している。業界で有名に。困ったことが起きると頼られている。
カミソリを紙の中に入れるという犯罪。
紙にも指紋が残る。でもその指紋の主は犯人ではない。
鋭い観察力で犯人を見つけ事件を解決。
3つ目の話がいちばん面白かった。
犯人と接触する場面は迫力があった。
石橋警部と一緒で良かった。(酔っ払っていたけど)
お見合い、ごめんなさいで次作はラブの予感。
次のシリーズも楽しみ。
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紙にまつわる懸賞クイズからの密室殺人事件。
懸賞クイズの1問目は頓知だけに面白かった!
あとひゐろ先生の愚痴は確かになーと思ってしまう。
1作目と2作目をだいぶ前に読んだので、登場人物についての説明ありがたい。