【2024年・第22回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作】ファラオの密室 (『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784299049315

作品紹介・あらすじ

第22回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作!  紀元前1300年代前半、古代エジプト。死んでミイラにされた神官のセティは、心臓に欠けがあるため冥界の審判を受けることができない。欠けた心臓を取り戻すために地上に舞い戻ったが、期限は3日。ミイラのセティは、自分が死んだ事件の捜査を進めるなかで、やがてもうひとつの大きな謎に直面する。棺に収められた先王のミイラが、密室状態であるピラミッドの玄室から消失し、外の大神殿で発見されたというのだ。この出来事は、唯一神アテン以外の信仰を禁じた先王が葬儀を否定したことを物語るのか? タイムリミットが刻々と迫るなか、セティはエジプトを救うため、ミイラ消失事件の真相に挑む!

感想・レビュー・書評

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  • 冥界から現世に戻って謎を解決? 世界観とバランスが抜群の古代エジプトのミステリー #ファラオの密室

    ■あらすじ
    時代は古代エジプト、主人公である神官セティは亡くなってミイラとなっていた。彼は心臓が欠けていたことから冥界で審判を受けられず、現世に戻って探す必要があったのだ。さらに現世では、先代王のミイラが消失してしまうという事件が発生してしまい…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    新人作家先生ながらパワフルな一冊。古代エジプトを舞台に、神々の話を交えながら、現世復活の謎とピラミッドでの不可能犯罪を探っていくミステリー。

    なかなか出会ったことのない時代背景だし、生き返ったミイラが主人公って、どんなんだ?!と思いましたが、これが上手なんです。

    様々な要素を盛り込んだ小説にも関わらず、ゴチャつかずバランスが取れてるんですよね~ たぶん古代エジプトの世界観をしっかり作り上げているからでしょう、結構無茶な設定やキャラクターもすんなり受け入れられます。すっかり古き異国の時代に浸って楽しませていただきました。

    本作のメインテーマとなっているのは宗教と政治。どの国もいつの時代も、人間が一番恐れるのは死というのも同じだし、偉い人が統治のために考えることは同じ。そして犠牲になるのは、立場の弱い人間たちというのも同じですね…

    そして謎解きもどう着地するのかと思いきや、終盤一気に展開してくれるんです。復活の謎も密室の謎も、言われて見ればそうだよなって目から鱗。シンプルなんだけど、この物語の不思議な部分をするっと解決してくれます。そして最後は、心地いい気分で満たされました。

    ■ぜっさん推しポイント
    王墓建設のため奴隷として働いている少女カリ。追い詰められた絶望の中で生き抜く姿、そして前向きな行動が忘れられない。こんな小さく弱い少女、少なくとも苦しまずに生活できるような世の中になって欲しいのに、残念ながら行き過ぎた価値観をもち、力で牛耳ろうとする傲慢な人たちが、いまだに存在している。

    紀元前1300年から既に3300年以上経過していますが、いつになれば人間は変われるのでしょうか。

  • 初読みの作家さん、2024年「このミス」大賞受賞作品。
    凄く不思議なファンタジーな物語だったが、そもそも古代エジプト自体がミステリーでファンタジーな為、しっかりと馴染む事ができた。

    舞台は3300年前の古代エジプト18王朝時代。世界初の一神教を始めたアクエンアテン王、彼の死直後のエジプトの混沌と混乱の中での物語。

    アクエンアテン王やネフェルティティ、ツタンカーメンに纏わる番組や雑誌、書籍等を個人的に興味があった為よく観たり読んだりし、この18王朝時代にはある程度の予備知識を持っていたが無くても物語に支障はない。逆をいうと無い方が純粋に物語が楽しめるのではないか?とも感じた。

    セティが物語の主人公、セティの死後の裁判の際、心臓に欠けがあるため裁判ができず、それを探す為に現世に戻るという信じがたい物語。
    しかし古代エジプトの背景が相まって、なんだかスッキリと受け入れてしまえる。
    そこでミイラ職人である親友タレクと奴隷の身でピラミッドの石運びしている少女カリと協力して心臓の欠片探しが始まる。
    ファラオの死後、ファラオのミイラが王墓から消えるという事件が起こり、街は混沌中でアテン信仰者達の暴動も過激化していく。その中での捜索と、友情と愛情の物語。

    セティの正体と死因などに隠された謎はかなり早い段階で想像ができ、結局その通りだった。しかし先程も書いたが舞台がミステリーな為、物語の面白さはずっと継続される。

    古代エジプトの持つミステリーとファンタジーの中に、更にミステリーとファンタジーを組み込んだ様な作品。
    とても面白かった。

  • フェルメールの映画を観た後にスタバでcoffee飲みながらの一気読み♪

    図書館で予約してたけど、約150人待ち^^;
    いつまでかかるねんΣ\(゚Д゚;)
    まぁ、別の予約本は約450人待ち(笑)

    ということで、せっかちな私は当然そこまで待てる訳もなく、図書館の閉館時間とにらめっこしながら読み終えました(返却本と予約本のピックアップがあったんで、どうしても今日行かないといけなかったんです)。

    このミス大賞受賞作、読み物としては間違いなく面白い(=^▽^=)

    しかも、大好きなエジプト物。
    死んだミイラが蘇って3日間で欠けた自分の心臓を探す。
    ざっくり言うとそんなお話です。

    ガチで語れば、歴史的にどうなん?ってところもあるんだけど、エンタメ作品なのでそこはあえて突っ込まないように^^;

    ただエジプト感はしっかり感じることが出来ますし、最後の終わり方もいい♪

    最初、カリが出てきた時には、なんで???
    って感じでしたが、そうきますか!?

    しかもセティに隠された秘密もね。

    古代エジプトが好きな人も、そうじゃない人も、きっと楽しめる一冊だと思いますよっ(*^^*)

    ◆登場人物
    セティ……ある理由で一時的に現世へ戻るミイラ
    タレク……ミイラ職人。セティの親友
    カリ……エジプト人の奴隷で働く異国の少女
    メリラア……神官を束ねる老齢のエジプト神官長
    アクエンアテン……一年前に病死した先代の王
    トゥトアンクアテン……先代の子であり、現在の王
    マアト……冥界に存在する真実を司る女神

    <あらすじ>
    2024年の『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作品です。古代エジプトを舞台に、冥界から現世に戻ったミイラのセティが、自分の死の真相と先王のミイラ消失事件の莫大を解くというストーリーです。

    セティは、神官として働いていたが、崩落事故に巻き込まれて死んでしまう。冥界に行くと、心臓に欠けがあるために審判を受けることができないことがわかる。欠けた心臓を探すために、セティは3日間の猶予を得て、現世に戻ることになる。

    現世に戻ったセティは、親友のタレクや異国の少女カリの協力を得て、自分の死の真相を探る。その過程で、セティは自分が殺されたことや、自分の心臓が先王の棺に隠されていることを知る。先王とは、唯一神アテンを信仰し、他の神々を否定したアクエンアテン王のことである。

    セティは、先王の棺があるピラミッドに向かうが、そこで驚くべき事実を目の当たりにする。先王のミイラが、密室状態の玄室から消えて、外の神殿で発見されていたのだ。この事件は、エジプトの混乱を招くことになる。

    セティは、自分の心臓を取り戻すとともに、先王のミイラ消失事件の真相に迫る。その結果、セティは自分の正体や、先王の秘密、そしてエジプトの運命に関わる衝撃的な事実を知ることになる。


    本の概要

    第22回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作!

    紀元前1300年代後半、古代エジプト。
    死んでミイラにされた神官のセティは、心臓に欠けがあるため冥界の審判を受けることができない。
    欠けた心臓を取り戻すために地上に舞い戻ったが、期限は3日。
    ミイラのセティは、自分が死んだ事件の捜査を進めるなかで、やがてもうひとつの大きな謎に直面する。
    棺に収められた先王のミイラが、密室状態であるピラミッドの玄室から消失し、外の大神殿で発見されたというのだ。
    この出来事は、唯一神アテン以外の信仰を禁じた先王が葬儀を否定したことを物語るのか?
    タイムリミットが刻々と迫るなか、セティはエジプトを救うため、ミイラ消失事件の真相に挑む!
    浪漫に満ちた、空前絶後の本格ミステリー。

    【選考委員 大絶賛!】
    死者が甦る世界でなければ書けない魅惑的な謎に正面から挑んでいる。
    これだけ野心的な設定を用意して、壮大な物語をきちんと着地させた点を高く評価。
    このミステリーはたしかにすごい。
    ――大森 望(翻飲家、書評家)

    現世に蘇ったミイラが何の違和感もなく受け入れられるあたり、
    落語にも似たとぼけた味わいがあり、思わず吹き出しそうになった。
    奇想天外な謎作りといい友情溢れる人間関係劇といい大賞の価値あり。
    ――香山二三郎(コラムニスト)

    探偵役がミイラ、タイムリミット有り、不可能犯罪のほか謎がちりばめられ、
    読ませるポイントが随所に用意されている。
    古代エジプトに興味をもてない方々もぜひ読んでほしい。
    ――瀧井朝世(ライター)

  • 古代エジプトとミステリーの組み合わせが非常に興味深く、新鮮でした。
    死者が蘇る等、半ばファンタジーのような世界観ですが、その異質さと現実的なミステリーパートがちぐはぐで面白いです。
    肝心の種明かしについては微妙な印象ですが、やはり、この特殊な世界観がなによりの魅力かなと思います。
    文量は少なく、さらさら読めます。
    休憩の1冊にオススメです。

  • とても面白かったです!
    カタカナで登場人物が多そうで、理解できるか不安でしたが、杞憂でした。
    古代エジプト×ファンタジー×ミステリーと様々な要素が詰まった作品で、あっという間に作品の世界観に引き込まれました。

    アクエンアテンやトゥトアンクアテン、宰相アイやホルエムヘブは実在した人物なのですね。
    アテン神は太陽そのもので、創世神として崇められていたそう。

    セティ、タレク、カリなど登場人物が魅力的。
    セティの真実については、物語の途中でうっすら気づきました。
    それを理解した上でもう一度プロローグを読むと、タレクの言葉の意味が分かってくると思います。
    タレクが現世の最後でセティに言いかけた言葉の続きを、セティはイアルの野で聞くことはできるのでしょうか。

    また、本の装丁がとても豪華で素敵です。表紙も目を引きますが、中の見返しは鮮やかな金色。さすが古代エジプトの王(ファラオ)を巡る物語なだけあります。
    装丁を眺めるためだけにでも、ずっと手元に置いておきたいです。

  • 久しぶりに集中して一気に読んだ。
    面白い!すごい!(語彙力の少なさよ……)
    古代エジプト×宗教×ミステリ、の掛け算が自然とマッチしている。
    どれが欠けても成立しないストーリー。
    ちょっと見ないね、ここまで精度の高い読み物は。(個人的に)

    とは言え、私、ブックカバーの折り返しに書いてある説明書きを読んで「???」だったので、事前準備をしてから読みました。
    (直感でコレ、事前準備しないとわからないやつだ!とアンテナが立った)

    予習は下記でしました。
    ◎アトンの娘 全3巻(マンガ) 里中満智子著
    ◎アクエンアテン~エジプトを大混乱の渦に巻き込んだ強烈すぎる宗教革命とは(You Tube) 河江肖剰さんのチャンネル

    河江さんのYou tubeだけでもいいかもしれないけど、アトンの娘を読んでおくとその当時の雰囲気がわかって、よりストーリーが理解できると思いました。
    ミイラが動き出す、とか現代の科学では考えられないところに疑問を感じる方は予習をした方がストーリーに集中できるかと思います。(あの時代のエジプトでは当たり前?だったっぽいね)

    このミステリは2つの謎が並行して進んでいきます。
    ①アクエンアテン(前王)のミイラが消えたのは一体?!
    ②セティ(主人公)の心臓のかけらはどこに?

    特に①に関しては、アクエンアテンの宗教革命が関係しているので、それがどんなものだったのか?それが与えた政治への影響とは?民衆への影響とは?
    この辺を理解していると、①が起きたいきさつとカリ(奴隷の少女)の状況がグッと身近なものに感じると思います。
    (セリフ・文章でその辺の説明はしていますが、サラッとなのでね)
    正直、トリックは斬新ではないのです。そこに宗教的な要素と派閥争い(宗教の)が絡んでいるところが新しいと思いました。

    ②のセティが自分の心臓のかけらを探すストーリーは走れメロスの要素があり(3日間という短時間で見つけないといけない)私まで手に汗握りながらの読書となりました。
    心臓のかけらを求めて、セティは自らの生い立ちを辿っていくのですが、これって何かに似ていると思いました。最近流行りの(?)自分探しのワークに似ているんです。
    幼い頃までさかのぼって、自分は何をしたかったのか?自分とは何者なのか?を探す、あの方法に似ているのです。
    心臓のかけらはアイデンティティの片割れを表しているんですね。

    カリがまたいいアクセントになっています。
    彼女は現代を生きる私たちと似たような感覚の持ち主なので、古代エジプトの考え方に疑問がでてくるんですね。それをセディやタレクに投げかけていきます。
    (その疑問を読者である我々も考えてしまう)

    道徳的要素アリ。
    「ありの~、ままの~」な、ありのままに生きる大切さアリ。
    最後のページでこれまた驚きがあったり!
    てんこ盛りのミステリでした。

    最後の恋愛要素はなくていい気が……。(突然感が……)

    表紙の子はあの子でいいのでしょうか??

  • 特別詳しく掘り下げるわけでもないのに、古代エジプトやピラミッドにワクワクする気持ちはずっと心のどこかにある。そして、そんな古代エジプトを舞台としたミステリー小説となればやはりワクワクする。結果、個人的に大いに楽しめた。ただ正直、ミステリーとして楽しんだというより、第3章以降に描かれる混乱と狂騒を勝手に脳内で世界を膨らませて、歴史と神話を踏まえた冒険譚のように入り込んでいた。それこそ、生と死を超えた人と神による世界の終末を描く物語のように。なので、レビューは他の方のものを参考にしてもらったほうが良いと思います。物語は終盤にかけて、探偵役が謎解きをしていくので安心して(?)ください。

    以下はその妄想の一部を残しておこうと思うので、ここでどうぞ閉じてください。物語の内容を踏まえていますので、未読の方も別の方のレビューを読んでください。




    魂となって永遠に冥界で生きる死生観を持つエジプトの民と現世でのファラオの絶対的権力。神への信仰心すらファラオの統治により制約される。現世を統治する王(ファラオ)、冥界を統治する神。行き過ぎた支配は世界を分断し、その消滅を招きかねない。全ての魂が安寧を得ることができなくなった現世と冥界では何が起きるのか?人の世を統べるのは王か神か?……なんて、脳内妄想をしつつ読んでしまうとどんどんエスカレートして別の物語になっていきそうです。ちゃんと後半は無事に引き戻されて読み終えました。しかし、途中カリの環境には目を背けたくなるほど辛かったが、救いがあって良かった。

  • 2024年・第22回『このミステリーすごい!』大賞受賞作
    白川尚史『ファラオの密室』
    ミイラとなった主人公セティが期限3日で、自分が死んだ理由とピラミッドから消失した先王アクエンアテンの謎を追う。
    読みやすく、筋も良かった、古代エジプトの事をとても分かりやすく説明してもらった様な気持ちになりました。
    文末に掲載されている多数の参考文献、史料を見て、作者自身とても勉強されたのだと思い、それを元にこの作品があるのだと。頭の下がる思いです。
    ミイラとなった主人公セティが、エジプトの街中で、関係者に事情聴取をして回るのに疑問を持たずに見守る事が出来れば、又 何処にでも顔の効く職業であった事が設定として成立しているのであれば、帯文の通り、友情と浪漫に満ちた空前絶後の本格ミステリーを楽しく読めると思います。
    本書を読んでいて、古代エジプトの神様も我が国日本と同じく、数多の神々を信仰している文化があったのだと、改めて思い知らされました。
    神とは、色々な顔を持ち、同じとき、同じ場所に複数の異なる姿を表すことが自然ってフレーズを読み、日本を感じられました。
    物語には、重要な、キーパーソンとして、タレクというミイラ職人とカリという攫われて奴隷にされた少女が登場します。
    タレクは、友人として・・・の感情だけ?
    カリは、異文化の他国の民という視点から、冷静にセティの推理を導き出していきます。このカリという少女。
    物語の前半と後半では、キャラが変わったのでは?と思える大活躍をします。
    古代エジプトに興味をもてない方々もぜひ読んでほしいとは、ライター瀧井朝世の帯文ですが、同感です。
    最後に、受賞時の題名は、
    『ミイラの仮面(マスク)と欠けのある心臓(イブ)』との事です。
    ミステリー好きの方々に読んでほしい作品です。

  • 心臓は何処へ?の一冊。

    舞台は灼熱の地、古代エジプト。

    地上に舞い降りた、心臓が欠けたミイラと化したセティ。
    3日以内に自分の心臓を見つけなければ死の審判が受けられないという宗教観を絡めた設定が面白い。

    心臓は何処へ?
    探偵ミイラの彷徨い、ピラミッド建設に注がれる血と汗の世界は否応なく惹かれる世界観。

    そして奴隷少女カリの視点を通して異文化、死生観の理解へと導くのも良かった。

    ストンとした心臓の真相の着地、ふわっと拡がる何とも言えない気持ち。

    浪漫と死者蘇り信仰と本格の楽しさをバランスよく味わえ読後感も良かったミステリ。

  • 古代エジプトが舞台のミステリー!
    うるっとしました( ߹꒳​߹ )


    ピラミッドの見取図を見て、心躍る♡
    いかにも仕掛けがありそうなピラミッド内部だが、密室と言うからには、密室なのだろう。

    古代エジプト、死後ミイラにされたセティは、真実を司る神、マアトの前で審判を待つ。
    ところが、セティの心臓は欠けていて、秤にかけられないという。
    現世に戻り、心臓の欠落部分を探す事に。
    期限は3日。
    現世では、アテン神を信仰していた王の葬送の儀が行われようとしていた——。

    太陽神と聞くと良い神のような印象があるのだが、過酷な熱帯の砂漠地帯では死活問題。

    元々多神教であったが、先代の王アクエンアテンは、主神をアテン(太陽神)と決め、それ以外の神への信仰を認めなかった。

    セティは、限られた時間で、自分が死んだ原因を突き止め、心臓のかけらを手に入れなければならない。

    『死後の世界がある』という前提で進むので、ファンタジーっぽい印象もある。
    推理する上での材料に組み入れられてしまうので、ミスリードを狙うため?と読み手は勘繰る。

    この作品は『このミステリーがすごい』大賞作。
    ミステリーと言うからには謎を解いていくのだが、古代の奴隷社会や信仰などが、抵抗ない程度に描かれていて、歴史小説のように楽しめる。
    上乗せして愛や友情が胸に響く作品だった。

    トリックに関しては若干想像し難いところもあるな(^▽^;)
    ごまかしの効かない描き方をしているので、疑問点にはすぐに気付いてしまう。
    それを差し引いても、心に響く、印象深いフレーズが多々あった。

    面白かったです(*´˘`*)♡

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