- Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784305600387
作品紹介・あらすじ
中古・中世、宮廷を中心に華やかに栄えた文壇の重要な担い手としての「女房」。女房に共通の気質-女房かたぎとはどのようなものであったか。女房的な「お宮仕え」を幼時から体験した著者による中古・中世女流文学の魅力溢れる講演集。
感想・レビュー・書評
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何て面白い本だろう!と専門書のくせにぐいぐいと引き込まれた。
そして岩佐先生の言葉づかいや話し方のなんと美しいことだろう。
略歴を見ると大正時代の生まれの方で、(その時点でだいぶびっくりしましたが)調べてみたらいわゆる上流階級の生まれの方だったんですね。宮仕えも経験してますし。読んでてなんとも恐れ多い気分になりました。やはり美しい言葉っていいものですな。
内容は過去の講義をそのまま話し言葉にして書いたもので、私も直接聞いてみたいものです。
数ある講義の中で特に光厳天皇のところですごく感動した。南北朝となると天皇はもはやお飾り状態で花園院もそうだけどその時の憂いや悲しみを思うと心が苦しいですね。
光厳天皇の一生は苦難に満ちていて、そこと合わせて岩佐先生が現天皇の東宮時代の話を紹介してくれて、御二方を合わせて考えるとなんとも悲しい気持ちになってしまう。
光厳天皇なんて名前しか知らないし、よく知らない人だったけど今回だいぶ光厳天皇に興味と愛着?がわいた。いつか常照皇寺に行ってみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
学生のころに「宮廷装束の世界」という講演会に行って、いただいた本
数年積読本にしていたけれど、やっと読めた
「お宮仕え」を幼時から体験した著者による、中古・中世女流文学の講演集
(以下目次)
・女房の眼ー私のお宮仕えー
・『花園院宸記』ー天皇の日常と思索ー
・光厳天皇ーその人と歌ー
・女房の日記ー表現の「真実」を求めてー
・『とはずがたり』の衣裳ーその言わずして語るものー
・『蜻蛉日記』の衣裳ー「我が染めたるとも言はじ」ー
古典も歴史も苦手な私が楽しめたということは、著者がよほどすごいのだと思う
おそらく最期の「お宮仕え」経験者・女性という立場からの分析は、やんわりと鋭い
文学の味わいは行間にあるのだと再確認できた -
名著です