- Amazon.co.jp ・本 (122ページ)
- / ISBN・EAN: 9784305706102
作品紹介・あらすじ
うたの森に、ようこそ。
柿本人麻呂から寺山修司、塚本邦雄まで、日本の代表的歌人の秀歌そのものを、堪能できるように編んだ、初めてのアンソロジー、全六〇冊。「コレクション日本歌人選」の第3回配本、式子内親王です。
そのしみじみと見つめる物思いの中には、自己をも肯定せず、見ている現実をも肯定できない式子のかなしみがあるように思う。ーー馬場あき子
式子内親王(しょくしないしんのう)
「しきし」とも読む。『百人一首』に「玉の緒(を)よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする」で知られる作者。後白河天皇の皇女に生まれ、若き日を賀茂斎院として過ごす。王朝崩壊から武家社会へ変革する政治の激動期に、母の死、弟以仁王(もちひとおう)の横死(おうし)に遭(あ)う。穏やかでない環境の中で歌を藤原俊成に学び、中世和歌の新風を感じさせる繊細優艶な作品を残す。高雅な精神から生まれた歌は、呪詛事件に巻き込まれるなど実生活の混濁から抜きんでた清澄(せいちょう)なもので、和歌史上に燦然(さんぜん)と耀(かがや)く。藤原定家との交流に材をとった能「定家葛(ていかかづら)」が今に伝わる。
感想・レビュー・書評
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新古今和歌集のビギナーズクラシックスを読んで、これはもしや式子なのではと思ったので買ってみたけれど大正解だった。数百年の時を超え、憂き世を孤独に生きた女性の思いが切々と伝わってくる。古典、大変良い。また、平井啓子さんの解説が愛に満ちていて心打たれた。
しかし新古今和歌集をぱらぱらして、どうももうこの時代の和歌ってちょっと硬直してて総体としてはあんまり楽しくないかもと思ったので、やはり次は万葉集あたりまで遡りたいと思う。ちなみに、別途で女流の系譜も辿りたく、やはり小野小町からか。 -
日本の良いところって、なんだろう?と考えると、わたしの場合は、「歌」ということに行く。短歌や俳句など、短いなかに込められた情感とか、思い、気持ち。
全部を言語化しきらなくても、短いなかから、立ち上がってくる意味。そして、わたしの思いをそのまま伝えるだけでなく、過去に読まれた歌の伝統にも敬意を払っている。伝統と創造性が両立しているところがすごいな〜と思う。
短歌については、万葉集や古今和歌集もよいけど、新古今和歌集がどちらかというと私の好み。
この平安末期〜鎌倉初期といった時代では、すでにたくさんの歌が読まれていて、全く、新しい独創的な歌を読むというのは、難しくなっていて、また歌も自分での体験をそのとき、そのまま歌にするという感じではなく、題詠、つまり与えられたテーマについて、歌を詠むというのが多くなっている。
つまり、和歌も爛熟というか、マニエリスムの時代になってきて、技巧的になり、本歌取りの元歌をしらないとなにを歌っているのか、不明で、わたしごときが、新古今の歌を十分にあじわう能力があるわけではなく、解説を読みながら、なんとか付いて行っているというところ。
そうした新古今的な世界において、西行とか、技術レベルとしてもすごいのだけど、仕上がったものは技巧を感じさせなく、思いが、イメージとともに、すっと伝わってくる(ように思える)歌人もいて、ほんとすごいなと思う。
で、最近、新古今を読んでいて、強く惹かれるのが式子内親王。
ほんとに激しいストレートな恋の歌があるかと思えば、限りなく繊細な心のひだを自然のちょっとした変化のなかに読み込んだ歌とかある。そして、それらが高い技巧に支えられているようで、この時代を代表する歌人なんだなと改めて思った。
なんかちょっと出会ってしまった感じがあって、もしかすると、一番好きな歌人かもしれない。もうちょっと、関連する人も読みつつ、式子内親王を深めてみたい。 -
式子内親王といえば、「玉の緒よ」の和歌です。
忍恋の名手らしく、額田王を思い起こさせる思う気持ちが伝わる和歌も多くて、やっぱり格別だなぁとしみじみと和歌を堪能しました。
恋の和歌意外にも、枝からもれる月の光だったり、斎院時代を回想する和歌だったり、新古今の時代に求められたという新しい美や、物思いの和歌が魅力的でした。
この時代の和歌は修辞で飾り付けをしている和歌が多くて読みにくいイメージでしたが、式子内親王の和歌は読み取りやすい。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、2階開架 請求記号:911.108//Ko79//10
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勉強になりました。