続 五山文学研究: 資料と論考

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  • Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305707765

作品紹介・あらすじ

禅僧たちの文学活動をつぶさに説き明かす、待望の続編。

倦まず弛まず書物と格闘し新たな文学作品を生み出した、
禅僧たちの営みを明らかにする。
また、その後の近世文学への接続、同時代の和歌や説話、公家社会の学問との関わりを探り、孤立しているように見えている五山文学を日本文学の中に組み込むべく、その存在を新たに捉える基礎作業を行う書。

【 本書は、二〇一一年に刊行した『五山文学研究 資料と論考』(以下、「前著」と呼ぶ)の後を受けて、関連する論考や資料紹介を収めたものである。
 第一部の「総論」では、五山文学を通時的に捉える視点から、偈頌と詩、文学的イメージ、基礎的教養の育成という三つの問題を取り上げた。第三章は前著第一章「五山における漢籍受容」と関連する内容である。
 第二部の「注釈・講義」では、前著に引き続き抄物を取り上げている。類型、説話といった視点からの分析、講義の現場における聞き書きの問題、聴衆と講義内容との関連など、前著に比べ話題は多岐にわたる。第四章では前著第一〇章、第六章では前著第一三章、第七章では前著第一四章に翻刻した資料を分析しているので、併せ参照していただきたい。
 第三部の「詩集・詩法」では、室町時代に主流となった七言絶句の詠法に関わる問題として、『三体詩』の詩法の問題、三条西実隆を中心とする公家の漢詩の分析と五山僧の漢詩との比較、五山詩の総集・別集の編成の問題、五山における詩の評価の問題などを取り上げた。第一四章〜一六章では、これまでほとんど研究対象となってこなかった資料の紹介も併せて行っている。『村菴稿』は題材別に分類排列された希世霊彦の小規模詩集、『〔日課一百首〕』は五山僧二人の批評が加えられた鉄山宗鈍作と見られる詩集、『詩聯諺解』は策彦周良作と見られる漢詩と聯句の作法書である。なお、『三体詩』に関しては前著第一二章で、その比較的古い形を残している抄物断簡を紹介し、また三条西家と五山との関わりについては、前著第三・四章でも扱っている。
 第四部では、「その他」として、二章を収めた。ひとつは、前著第一五章で紹介した大応派の抄物と同様、五山の主流からは離れて独自の活動を行った幻住派の資料で、やはりこれまで研究対象となってこなかった五山版を紹介したものである。もう一つは、近年活況を呈している中国における日本漢籍研究の紹介を兼ねた、研究書の書評である。
 興味関心は前著から継続しており、題材やテーマに共通するものも多いが、抄物をどのように扱うか、詩の詠法をどう捉えるかといった問題意識がより強く出てきた。抄物については、原典を解釈するときの論理あるいは根拠の提示をどのように行っているか、説話的なものをどう利用しているのか、といった点に注目した。詩の詠法については、当時の禅僧の批評的言説を参考にしながら作品を分析することを試みた。いまだに試行錯誤の段階ではあるものの前著よりも集中的に論じられたと考えている。】はしがきより

著者プロフィール

慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授
著書・論文:『詩のかたち・詩のこころ 中世日本漢文学研究』(補訂版、文学通信、2023年)、「五山文学における水仙のイメージ」(『国語と国文学』第101巻第3号、2024年3月)など。

「2024年 『古典文学研究の対象と方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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