土左日記を読みなおす: 屈折した表現の理解のために

著者 :
  • 笠間書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305708571

作品紹介・あらすじ

表現に隠された謎に迫る著者渾身の一冊!

きわめて特異な、屈折した表現に満ちた『土左日記』。筆記テキストを徹底的に理解しようとする文献学的アプローチによって、その表現を読み解き、貫之がなぜそのような表現を使ったのか─使わざるをえなかったのかを解明する。

感想・レビュー・書評

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  •  「をとこもすなる日記といふものを をむなもしてみんとてするなり」
     有名な冒頭の出だしだが、「金持ちも食べるキャビアというものを、貧乏人の私も食べてみよう」って言ったら違和感ないかい?と著者は迫る。
     (普通は女が書くんだけど)男「も」書くという日記を女の私「も」、って・・・
     紀貫之ほどの名文家が明らかな文法の誤りを犯すはずがない。であれば、そこには何かしら秘められた意図があったはずだと著者は「てにをは」を含め、丁寧に読み解いていく。
     以後展開されていく著者の深読みが全て的を射ているかどうかは文法オンチのぼくには断定できないけれど、とにもかくにも最後までスリリングに読めた。
     「土佐日記」ではなく正しくは「土左日記」らしい。 

  •  何度も繰り返し読む。この本も、きっとそうなる。

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著者プロフィール

出生 1929年、東京。
筑波大学名誉教授。文学博士。

著書
日本声調史論考(風間書房・1971)
国語史学基礎論(笠間書院・1973:増訂版 1986:簡装版 2006)
いろはうた—日本語史へのいざない(中公新書 558・1979:講談社学術文庫・2009)
日本語の世界7〔日本語の音韻〕(中央公論社・1981)
仮名文の原理(笠間書院・1988)
やまとうた—古今和歌集の言語ゲーム(講談社・1994)
仮名文の構文原理(笠間書院・1997:増補版 2003:増補版新装版 2012)
日本語書記史原論(笠間書院・1998:補訂版 2000:新装版 2006)
日本語はなぜ変化するか—母語としての日本語の歴史(笠間書院・1999:新装版 2013)
古典和歌解読—和歌表現はどのように深化したか(笠間書院・2000:増補版 2012)
日本語の歴史—青信号はなぜアオなのか(笠間書院・2001:新装版 2013)
みそひと文字の抒情詩—古今和歌集の和歌表現を解きほぐす(笠間書院・2004:新装版 2012)
古典再入門—『土左日記』を入りぐちにして(笠間書院・2006)
丁寧に読む古典(笠間書院・2008)
伊勢物語の表現を掘り起こす—《あづまくだり》の起承転結(笠間書院・2010)
平安古筆を読み解く—散らし書きの再発見(二玄社・2011)
日本語を動的にとらえる—ことばは使い手が進化させる(笠間書院・2014)
土左日記を読みなおす—屈折した表現の理解のために(笠間書院・2018)

解説執筆
小川剛生(おがわ・たけお 慶應義塾大学文学部教授)

「2020年 『新版 徒然草抜書 表現解析の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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