はたらく物語: マンガ・アニメ・映画から「仕事」を考える8章

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  • 笠間書院
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784305709981

作品紹介・あらすじ

「働くこと」「労働」とは何か――なんていわれると堅苦しくて逃げ出したくなりますが、じつは私たちがふだん楽しんでいるエンタメでも様々な形の「働き方」とその問題が描かれているのです。

『3月のライオン』の棋士たちのように、生活のすべてを将棋=仕事に賭けることの意味とは?
『プラダを着た悪魔』と『マイ・インターン』にみる女性の働き方の理想と現実、ジェンダーとフェミニズムによる影響は?
『宝石の国』の世界で戦うキャラクターたちと、現代のアイドルの共通点とは?
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』は「学園もの」の形式を借りた起業&デスゲームの物語?
『株式会社マジルミエ』で描かれる「企業活動としてのヒーロー」のあり方とは?
などなど……。

いわゆる「お仕事もの」だけでなくSFやファンタジーの世界でも、作り手と受け手がいる限り、その時代の「働くこと」の現実と理想が投影されています。
本書では、『増補 戦う姫、働く少女』(ちくま文庫)などでフィクション作品の分析を行ってきた著者が、マンガやアニメ、映画の人気作品を取り上げながら「仕事と働き方」にスポットを当てた新しい読み方を紹介します。

今まさに仕事をがんばっている社会人も、これから働き始める学生さんも、これまで息抜きに楽しんできた「物語」を新鮮な目で受けとめ、さらに現実の「働くこと」の理解も深められる1冊です。

【目 次】
はじめに
第一章 働く僕たち、私たち――『3月のライオン』と「働くこと」の現在
第二章 家事労働者から起業家へ――『3月のライオン』とコミュニティ作りの労働
第三章 女性の仕事、クリエイティブ産業とやりがい搾取――『プラダを着た悪魔』とポストフェミニズム労働者
第四章 助力者おじさんとレジリエンス、そして老後の消滅――『マイ・インターン』とポストフェミニズムの「超克」
第五章 労働を消費すること――『宝石の国』とアイデンティティの労働
第六章 起業とビルドゥングスロマン――『機動戦士ガンダム水星の魔女』とデスゲームの距離
第七章 ヒーローたちはなぜはたらくのか?――『株式会社マジルミエ』と『シン・ゴジラ』の「仕事」
第八章 私たちの労働の余白に――『0.5ミリ』とケア労働の贈与
おわりに

感想・レビュー・書評

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  • 年末に怒涛の新刊ラッシュで本を出した河野先生。サブタイトルの通り、マンガ・アニメ・映画から「仕事」を考える一冊。単行本なので、図書館で予約して読了。
    よくもまあ、日常に転がっているような話を小難しく書けたもんだな。ポストフォーディズム。こういうのが、労働論とかのテキストになる時代が来るんでしょうか。
    自分の仕事って何なんだろうと考えるきっかけにはなるかな。

  • 物語に接する際の参考になります。
    文章も簡潔で読みやすい。

  • 働くことというテーマで、福祉国家とか新自由主義とかポストフォーディズムなど教科書に出てくるような言葉を解説する本でした。漫画や映画などを題材に解説しているのですが、肝心の漫画や映画の知識がなかったので、そっちの方がわからなくて、あんまり内容が頭に入ってきませんでした。多少わかった、魔女の宅急便と天気の子がやりがい搾取の正当化というのは結構納得したので、ガンダムやアニメや漫画の知識が必要ですね。

  • 著者の言う通り曖昧な言い方だが、「働くこと、労働を、自分のものにしたい、という願望」は、多くの人が抱く願望だろう。

    イケていない人は、人的資本としての価値がないという話で、確かに就活の時に見た目が大事とか顔が良い人は有利とか話題になったと思い出した。

    ジェンダーやフェミニズム、ケア労働などに関する事象や課題について、身近なものというより誰しもが当事者であると教えてくれる良書だった。

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  • アニメやドラマ、映画などを例に「はたらく」ことについて論じられている。
    ジャケ読みしたものの、少し自分には難しさを感じる内容だった。

  • 私たちの生活と切っても切り離せない関係にある「労働」。本書ではマンガ・アニメ・映画の描写から「働く」意義や現代社会の課題を読み解いている。その考察が示唆するのは、新自由主義というシステムはありとあらゆる要素を市場化するなかで"しぶとく"成長してきた、ということである。

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著者プロフィール

【著者略歴】
河野真太郎(コウノシンタロウ)

1974年、山口県生まれ。専修大学国際コミュニケーション学部教授。専門は英文学とカルチュラル・スタディーズ。著書に『増補 戦う姫、働く少女』(ちくま文庫)、『新しい声を聞くぼくたち』(講談社)、『この自由な世界と私たちの帰る場所』(青土社)など。

「2023年 『はたらく物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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