鳥打ちも夜更けには

著者 :
  • 河出書房新社
3.35
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本棚登録 : 535
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309024455

感想・レビュー・書評

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  • miyacococoさんのレビューから読みたくて。美しい蝶が観光名物の「架空の港町」蝶保護のための鳥打ちだった天野が仕事に疑問を抱き‥という話がシナリオや唱歌交えて描かれる。巻末にはレシピ着きだし。喜劇悲劇?読み終えた今も混乱。

    • miyacococoさん
      読んだんですね!111108さんのレビューで確かに混乱したなぁと。妙味でしたw
      読んだんですね!111108さんのレビューで確かに混乱したなぁと。妙味でしたw
      2023/04/23
    • 111108さん
      miyacococoさん
      ありがとうございました♪
      確かに妙味ですよね!最近の作家さんのはずだけどもしかして大昔の人で最近再発見されたの?と...
      miyacococoさん
      ありがとうございました♪
      確かに妙味ですよね!最近の作家さんのはずだけどもしかして大昔の人で最近再発見されたの?とか思うくらいいろいろ妙でした。(名前とか弁当とか昭和感ありあり)素敵すぎる表紙と内容とのギャップで忘れられない本になりそうです笑
      2023/04/23
    • miyacococoさん
      最近再発見された人(笑)色々想像を駆り立てられる作家さんってことですね。次作でもそのうち読んでみようかと思います!
      最近再発見された人(笑)色々想像を駆り立てられる作家さんってことですね。次作でもそのうち読んでみようかと思います!
      2023/04/23
  • これは「境界」についての物語だと思う。
    現実と夢、覚醒と眠り、現在と過去、小説と戯曲…。その間に確かにあるはずの境目は、とてもあいまいだ。その境目にはグレーゾーンが存在し、緩やかに一方から一方へと変化してゆく。あるいは、自分が覚醒していると思っていても、別の視点から眺めてみると、それは眠りの中なのかもしれない。一体どこから変わってしまったのか? 架空の町だと思っていたら、そこは「架空の町」という現実の町で、でも、現実だと思っていたら、リュトリュクという夢の中のような地域があり、それでは私は現実にいるのか? それとも夢の中にいるのか? ここは誰かの書いた小説の中なのか?
    私が覚醒していることを証明することは出来ない。ここが小説の中ではないと断言することも出来ない。夢の体現であるような美しいアレパティロオオアゲハを守るために鳥を撃ち殺す鳥打ち達も、夜更けには夢の中だ。朝になれば目が覚めるかもしれないし、目が覚めないかもしれない。明日も鳥打ちは鳥打ちであるかどうかは分からない。

  • 圧倒的な世界観。奇妙な状況なのに、生々しい手応えのある3人の心理描写。

    私はこの本を読み終えて、時代が変わっていく、また、変えていくときの、人間の物語りだと思った。

  • 「架空の港町」での架空の話。イタリアとかの港町っぽい描写なのに、登場人物は沖山とか日本人名。彼らは美しい蝶を守るための鳥打ちを職業としている。
    ちょっと不思議な雰囲気。
    ちょっと入り込みにくいけれど、こてこての幻想小説ほど読みにくくもなく、こういう小説もありかも~とは思わせてくれた。

  • 以前から読みたいと思いながらもタイミングが合わず読めなかった本。難しい内容なのかなと思っていたけれどそんなことは無く、唐突にシナリオ風になったり漁師の人物設定がほぼギャグで軽さも感じつつ不思議~と思いながらも読み進んで結果としては重いはずのラストもそうは感じずに終わった。島、鳥打ち、花、蝶の環境設定で繰り広げられる世界はふわふわとした読み心地ながら悲しみも残す童話のようだった。

    • 111108さん
      miyacococoさん、こんにちは。
      何とも言えない表紙に惹かれました!知らない作家さんだったけど読んでみたいです。
      miyacococoさん、こんにちは。
      何とも言えない表紙に惹かれました!知らない作家さんだったけど読んでみたいです。
      2022/12/31
    • miyacococoさん
      111108さん、いいね&コメントありがとうございます!
      まだ4冊しか出してない作家さんですが私もこの表紙と
      タイトルに惹かれたんですよ...
      111108さん、いいね&コメントありがとうございます!
      まだ4冊しか出してない作家さんですが私もこの表紙と
      タイトルに惹かれたんですよー。文学の匂いがします。是非~
      2022/12/31
    • 111108さん
      お返事ありがとうございます♪まだ4冊でもとても雰囲気ありますね!miyacococoさんに教えてもらえてよかったです♪
      お返事ありがとうございます♪まだ4冊でもとても雰囲気ありますね!miyacococoさんに教えてもらえてよかったです♪
      2022/12/31
  • ある島の「架空の港町」で、観光資源である珍種の蝶を守るために、蝶を捕食する鳥たちを駆除する「鳥打ち」という仕事をする3人の男、沖山、天野、保田。沖山は淡々と仕事をこなし、保田にとっては天職、しかし10年目にして天野だけは鳥を殺し続ける罪悪感に耐えきれなくなる。

    稀少で美しい蝶アレパティロオオアゲハ(表紙絵:ルドンの「蝶」がイメージぴったり!)、その幼虫が餌とする植物ネルヴォサ、鳥殺しの吹き矢に塗る毒ロロクリット(これもまた植物)その他の地名等も含め、耳慣れない独自のネーミングのせいで不思議な童話感というか非現実感があり(鳥打ちという言葉から『銀河鉄道の夜』の「鳥捕り」を連想するのもあるかも)、にも関わらず鳥打ち3人の名前は普通の日本人だし、彼らの日常はけしてファンタスティックなものではなく生々しい労働者のそれで、そのアンビバレンツが独自の世界観を生み出すのに一役かっているように思った。

    後半出てくるリュトリュクという裏町の職業安定所では人間を日替わりで色んな職業のみならず動物に変えたりしているけれど、やっぱりそれがファンタスティックではなく、労働者の悲哀としか映らない。だからといってこれらのエピソードが現代社会の暗喩だと思ってしまうのはつまらなさすぎるし、幻想小説というのもちょっと違う。とらえどころのない作品だったけれど、気になる。まだこれが2作目の若い作家なので、しばらく追いかけてみようかな。

  • 架空の港町で毒矢で鳥を仕留める鳥打ちという仕事を三人が任されていたが、そのうち一人が10年経って鳥を殺せなくなる。観光源になるであろう蝶を守るため、それを狙う鳥を数多く殺すという世界観に、うっすらとした心地悪さを感じた。

  • 個人的にベスト小説かも。
    絵的で美しい文章

  • 【最終レビュー】

    図書館貸出。

    〈11月放映『アメトーーク・本屋で読書芸人』(HP・1:番外編にて詳細を記載済)〉

    →光浦靖子さんイチ押しの紹介著書からの一冊。

    ようやく(笑)アメトーークでの紹介著書からの『一冊』に手が届いたといった心境…

    ―目次―

    Ⅰ:架空の港町の沿革、鳥打ちという職業

    Ⅱ:ある日の仕事風景

    Ⅲ:設けられた規則、謹慎中の生活

    Ⅳ:もう一つの花畑が誕生する

    Ⅴ:結末

    異次元の空間に包まれた島の独特の光景の中で

    『変わらぬ者達』と『変化をしていこうとするひとりの青年』

    の『虚無感に包まれた対比』がクッキリと見え隠れしつつ

    淡々とした展開の中でながらも、印象的だったのが

    〈奥底の心境で抱える『「微妙で繊細」な「比喩的描写」』の秀逸さ〉

    誰しもがほんの一瞬、フッとした時、前触れもなく、不可思議に何かしらを感じる時の

    『周りから決して見えない共通している何か』との『リンク性』を、自分の中ではそう感じていました。

    +自然保護を土台にしながら、読者に投げかけている

    『問いかけ』といった『作風』という印象もありました。

    今の時代だからこそ、こういったことにも、ささやかながらも目を向けて欲しい。金子さんご自身の想いが詰まった雰囲気が伝わってきた著書。

    『どんよりとした中から「わずかながらの新たな一歩の光」の「一瞬」を見つけるまで』

    そんなメッセージが込められてるかのようでした…

  • 架空の港町にいきる「鳥打ち」という仕事に就いた男たちの話。ストーリー自体は現実離れしているけれど、現実を思わせるような面白さがあった。何を大切に思い何を守るのか、何が規律でなにが正しいのか。誰が正義なのか。何が美しいのか。余韻の残る読後感で再び読みたくなりそうな作品。

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著者プロフィール

金子 薫(かねこ・かおる)
1990年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学専攻卒業、同大学院文学研究科仏文学専攻修了。2014年『アルタッドに捧ぐ』で第51回文藝賞を受賞しデビュー。2018年、わたくし、つまりnobody賞受賞。同年、『双子は驢馬に跨がって』で第40回野間文芸新人賞受賞。著書に『鳥打ちも夜更けには』がある。

「2019年 『壺中に天あり獣あり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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