- Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309024745
感想・レビュー・書評
-
見開きを開いたその日のうちに読了。
パタンと本を閉じて瞬間的に頭に浮かんだ不自由な感想は「暗くて草」だった。
二人とも私みたいに捻くれていて、悲しくて、卑屈で、静かに苦しんでいて好きだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルが頭から離れなくなり読みました。どうしようもない男と女の、夢も希望もない恋愛。それなのになぜか読後しっかり残るものがある。きれいでもなくハッピーでもない展開だからこそ良かった。
-
卑屈で惨めな諸見映子と、プライドが高く傲慢で根暗な近藤君。
徹底的に報われない側の人間である二人の、疑似恋愛から始まる永遠に報われない物語。
とにかく滑稽で悲愴感あふれる一冊です。だがそこが良い!
ネガティヴ発言垂れ流し、まず何もかも否定の言葉から入ってしまう映子。
世界をくだらないと断罪して見下し、現実から目を逸らし続ける近藤君。
カースト最下層カップルが繰り広げる低次元の言い合いや諍いが秀逸だった。
とにかく悲惨で暗すぎる上に、私も報われない人間だから他人事じゃないのに、どこかおかしくて愉快な気持ちで読み切ってしまいました。
ラストの映子と近藤君のベッドの中でのシーンは切なくて愛おしくて、ささやかな救いを感じたのに、それをぶち壊して台無しに追い討ちをかける後日談がなお素晴らしい。
李龍徳さん、本作でまだ2冊目の新人作家なんですね。
後回しになってしまったけどデビュー作にも期待が高まる。 はやく読みたい。
今後がとても気になる作家さんです。 -
圧倒的な高い評価を得て文藝賞を受賞した心中小説「死にたくなったら電話して」を読んで、打ちのめされました。
と同時に、「デビュー作でこんな傑作を書き上げて大丈夫なのか?」と余計な心配もしました。
それはどうやら杞憂だったようです。
本作は、自尊心の強い男「僕」と、自己卑下の強い女「映子」の恋愛物語(何という組み合わせ!)。
もちろん、甘ったるい恋愛なんかでは断じてありません。
いびつで歪み、醜悪ですらあります。
しかし、筆力があるからでしょう、これもまた恋愛のひとつの形なのだと、読者に納得させる力強さを持っています。
心のひだをなぞるだけでなく、時に捲り返したり、あろうことか引きちぎったりしてみせます。
その手管がまた見事というか入念というか執拗というか、まったくもって新人離れしています。
自意識過剰な男を描かせたら、今の文壇で李龍徳の右に出る者はいないのではないでしょうか。
随分と称賛しているように思われるかもしれませんが、作品自体ははっきり言って救いのない話です。
「最下層」の人間の呻きが通奏低音のように終始、作中に響いており、読む人によっては気分を悪くするかもしれません。
ただ、安易に救済を図ろうとする小説が多い中で、李龍徳の小説は異質で、それ故に価値があります。
李龍徳はあるインタビューで、「世間や人生に、生きにくさを感じてきた」としたうえで、こう語っていました。
「自分の経験に照らせば、死にたいようなつらい夜に、希望のある明るい話なんか読みたくない。暗い気持ちに寄り添うほうが届くはず」
共感します。
又吉直樹も同じようなことを「夜を乗り越える」(小学館よしもと新書)で述べていました。
救いのなさが、この小説の救いになっている、そんな稀有な小説ではないでしょうか。
個人的な白眉は、126ページ目です。
「映子」がある行為に及んでいるのを「僕」が発見した時の「映子」の言葉。
「お母さんが今日死んだ」
私は、この言葉に凍りつきました。
それから、「人間は何と愚かしく愛おしいのだろう」としみじみ思いました。
李龍徳は、固有の地位を占める作家になると思います。
ちょっと目が離せないなぁ。 -
「僕」と映子は模擬恋愛から始まった。
自己卑下を撒き散らす女と自分が大好きな男。
映子は自分のことを分かっているのに「僕」は?
自分と向き合っている?
あー、本当に「僕」はイヤな奴だな。
でも、最終章で少しだけ好きになったよ。
書店の書棚でタイトルを見て目を引かれた。
あー『死にたくなったら電話して』の作家さんかと
妙に納得。
女性目線で読んでしまうので
付き合うと面倒な感じしかしない
「僕」には厳しく、映子に気持ちがいってしまう。
おもしろく読了。 -
やっぱりすきです、ヨンドク先生....。貴方が描く人間像は目が離せない。恋慕います。
-
救いのない感じが結構良い
-
タイトルがめちゃくちゃ良い。本当にとことん報われない話だった。そういう話が好きだから刺さった。
現実ってこうだよねって思った。 -
映子の狂気じみた側面は、自分の奥底にあるものを揺さぶってきます。見たくないけど、確実に知ってる。
読むのは非常にしんどいです、、、笑。
強く生きるってどういうことなんだろうと、個人的には考えさせられました。