どうせカラダが目当てでしょ

著者 :
  • 河出書房新社
4.00
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本棚登録 : 217
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309027944

作品紹介・あらすじ

私 は 私 を 全 肯 定
髪は美しく、カラダはほっそり、爪は短くキレイに、子供は早く産んで……
「女のカラダ」にかけられた呪いを解く爆走エッセイ!!
テンション爆上げ&涙ホロリの全女性必読の書。cakes好評連載がついに書籍化。
『完璧じゃない、あたしたち』で話題の作家・王谷晶による、初エッセイ集。
「非生産的な上に不親切な本で申し訳ないが、女子が書いた本だからって
ホスピタリティに溢れてると思ったら大間違いのコンコンチキだからな」
(「はじめに」より)

◎「ページをめくるたび、首がもげるかと思うほど頷きながら読んだ。目も乳房も声も髪も、私のパーツはすべて私のものなのに、女に生まれただけで奪われていく。
これは、そのひとつひとつを取り戻してくれる本だ。痛快、そして、優しい。」
――千早茜

◎「ずっと身体のストーリーテラーを求めていた。たくさんいるじゃないか、と言われるだろう。世の中には女の身体についてのストーリーが無数にある。だけどストーリーなら何でもいいわけじゃない。手を握って、肩を揉んで心からふざけて乳の肉をタプタプし合えるようなストーリーテラーでなくては嫌なのだ。手汗をかいても振りほどかずに、笑い飛ばしてくれるストーリーテラーでなくては。」
――はらだ有彩

感想・レビュー・書評

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  • なんだかすごいタイトルやん...!とブクログで見つけて読みました。

    表紙のイラストもかわいいんだけれど...タイトルと相まって、JK娘のいるわたし的には机に置きっぱなしにするのを躊躇してしまいましたw

    しかしですね、内容はめちゃくちゃ真面目よ!エロなんてないんだから!

    ブログにて詳しいレビューしています*
    https://happybooks.fun/entry/2021/11/20/173000

  • 文藝で王谷晶さんが短編などを寄稿されてる文章が好きで早速。
    ルッキズムよ、中指!な文章が書かれていてアッパレ!
    表紙からエロな内容を想像してたけど、身体の一つ一つのパーツを臓器として皮膚として肉体として、愛しく改めて感じるようなブラボーな内容だった。
    王谷さん自身が成熟した女性ならではのメタ視点の内容だからこそ、若い女の子にも読んで欲しいな。特に20代前半の子。自分が彼氏できた時に相手に肉体を許すとはどういうことかとかなーんにも分かってなかったから。こういうことをバッサリと話してくれる作家さん、貴重ですよね〜!
    自分の頭いいこいいこ撫でるを早速やってあげよう。

  • タイトルと表紙に反して、ルッキズムやらミソジニーやらでちょっと息苦しい人に薦めたい一冊。でも、そうじゃない人にも性別関係なく読んでほしい。

    WEBメディアでの連載ということもあって、「2018年最新 男脳・女脳がここまで分かった!」という「釣りタイトル」もあるものの、一貫してスパスパと理不尽を斬っていく文章が痛快だった。
    本書は大半が2018年に書かれ、2019年に修正のうえ単行本化されているが、3年経った2022年の今読んでもまだ「古いな~」と思えないのがなんとも悔しい。

  • 新聞で紹介されていて面白そうだと思って読んでみた。

    前半は小田嶋隆さんが下ネタのコラムを書くとこんな感じだろうなぁ、と思いながら読んでいたが、中盤以降からのセクハラ、男女差別に関する怒りの表明は理解できるものだった。

    自分も同調圧力には屈したくない、他人にも同調圧力はかけたくないと思っていたが、無意識に圧力をかけていたかもしれないと反省。

  • 著者の語彙力がヤバい〜〜!そのヤバい語彙力で書かれる、キレッキレの文章がめちゃくちゃ好きです…。

    肉体はめんどくさい、それについてくる他人からの色眼鏡はもっとめんどくさい。自分の肉体は自分のためだけにあって他人にとやかく言われるもんじゃない。

    なんかもう、わかる…めっちゃわかる…ってずっと頷きながら読んでました…。

    わたし常々、褒め言葉でも他人の外見について言及するのは、実はよくないんじゃないか…って思っていたのだけれど、よかった…そう思っているのは自分だけじゃなかった…
    『外見ちゅうのは、褒められても地獄、貶されても地獄だ。貶されるのは当然ストレートに嫌な気持ちになるが、褒め言葉もそれがシンプルな称賛に収まっている場合はまれで、気色悪い下心を含んだ褒め言葉や差別的、蔑視的な褒め言葉というのもいくらでもある』
    って一文にそれな!!ってなったもの…。著者の言語化能力がすごい….好きだ…

  • 2023年7月
    自分の身体は自分のものであるという至極まともなことを言っているのだが、毒が効いていて、はちゃめちゃに笑いながら読んだ。読むと元気になるエッセイ。

  • オススメどおり面白かった。
    アラフォーおばさんの赤裸々な思い、写真探してみよう。
    コロナ前の本なので、コロナ後の続編も読んでみたい気はする。

  • 「タイトル」に加え、やらしさはないのだけど女体の裸イラストだったからぱっと見、ポップな辛口恋愛哲学本の印象だった。だけど安心してくれたまえ。
    本書は100%女性のカラダをもつ者を応援するシスターフッド本だ。

    女性のカラダにまつわる呪いを片っ端から解いていく痛快エッセイである。

    読んでいて王谷さんがめっちゃ面白いし、力をもらえる。
    上の世代を戦い抜いた姐さんの背中は頼もしい。そしてオタクの知識が随所で炸裂しててわろた。

    令和元年にこういう本がでたことが嬉しい。というか...そもそもの話。
    時代が遅すぎる!!
    女性のカラダはその人のもの、そういう当たり前のことを当たり前だと思わせない構造が男性中心社会なのであって、微力ながらも変えていきたいですね。まじで。
    世の中の流れも、LGBTQやジェンダーに関する発信が増えたり、カミングアウトする芸能人がいたりと少しづつであるが変わってきている。
    王谷さんが書いてたみたいに、未来のギャルが本書を手にとって、「え、この本に書いてあること古くないですかー??」と言う未来がくることを願いたい。
    そのためにも、一人でも多くの人類に本書をおすすめする。

    それと、読みながら個人的に思い当たることが多かった。
    私は女性だから差別された経験が沢山あるのだけど、差別されるのが当たり前だからそれが「差別」だと気づけない&女なのに「ミソジニー」を内面化してて、自分が差別する側だったことに気づくのが遅かったことなど(まじ反省している)

    男性中心社会の罠がいたるところにあるから、自覚しつつサバイバルしないとなぁ〜、と読後しみじみ思いを巡らせた。

    差別や偏見がドバドバ注がれてる社会だからこそ、気をつけていても『女』=『(男にとって都合のいいあれやこれ)』の図式が一瞬パッと浮かんでしまう。最初に本を見たときに、辛口恋愛哲学本だと思ったのも私の蓄積された偏見があるからだろう。
    まじこの世、せちがれぇぜ。
    だけど味方はあちこちにいる。今からでも遅くないから、知識で武装し、わたしのカラダで頑張るぞーっ!!!って気持ちになる一冊だった。

  • 武田砂鉄さんがこの本の書評を書いていた。なんだこのタイトルは。武田さん何読んでるんですかあ・・・そんな穿った見方で書評に目を通すと。ん?タイトルに反して意外と真面目な(硬派な?)エッセイっぽいじゃないか、と思って手に取ってみた。

    【私 は 私 を 全 肯 定 髪は美しく、カラダはほっそり、爪は短くキレイに、子供は早く産んで…… 「女のカラダ」にかけられた呪いを解く爆走エッセイ!!  テンション爆上げ&涙ホロリの全女性必読の書。】
    と本書の紹介には書いてある。
    【私の体は私のものであるという当たり前の定義を守り抜くため、「女としてカラダを運営していること、社会から女とみなされることのめんどくささ」について、乳、髪、腹、足、肌、尻等々、それぞれのパーツをお題に綴(つづ)ったエッセー集。】
    と武田さんの書評では説明されている。

    だからもっと、体そのものに対する、女性目線での悩みをつづっているのかなあと思って手に取った。例えば、乳なら(乳って(苦笑)表現)、大きいだ小さいだ。足なら太いだ細いだ。そんなことで主に男性にそういう目線で見られることがうっとおしい、とかそんなこと。
    しかし、それは一部では予想通りだったけれど、結構予想と違っていた。
    つまり、私は女でありながら、自分や周囲の女性たちが常日頃、カラダにまつわる色んな事象について、うっとおしいな、面倒くさいな、と思っていることを、あまり深く考えないできたんだな、と言う事。不愉快だと思うし、そんなことで人の価値は決まらないんだよと思ってはいたけど、どこかでその価値観をそんなもんだよな、と受け入れていたし、どこかで、そんな価値観に基づいて、美女やスタイル抜群女子を羨ましい、得してるよね、って思っていた。
    けれども、この本を読み、首がもげるんではと思うほど頷きながら、徐々に、これは受け入れている場合ではない、意外に女性だけではない、社会の色々な問題の根底になっている大きくて根深い問題だな、と気づき始めるのだ。そういう意味で、「カラダが目当て」なんて軽めのタイトルと可愛い女の子の裸の絵から想像するのとは違ったな、と思う。予想を裏切られる。

    武田さんを真似して、首がもげるほど頷いた本文から、いくつか抜粋してみたい。いくつかと言いながらだいぶ長くなる。そして、多分、男性には不愉快な抜粋になるかもしれない。
    ただ、この本を読んでみて改めて思ったのは、男性であり、そしてある程度、発言が人に影響をもたらす、武田砂鉄さんが書評を書いてくれて【オンナのカラダをどうやってオレのものにするかとマジで考えているオトコというのは意外に多い。ひとまず男という性で生きている自分は、その姿を横目で見ながら「いや、どこまでいってもオマエのものじゃないだろ?」とぼそぼそ呟(つぶや)いてきたのだが、ここにきて、本格的な拡声器に出会うことができた。/今の世の中、ほら、社会って理不尽なものだから、文句ばっかり言っていてもしょうがないよ、みたいな雰囲気が充満している。ふざけんなと思う。文句ばっか言ってりゃ社会は変わる。】と書いてくれていることが、不覚にもちょっとウルっとする程嬉しかったし、そういう視点の男性がこれからの世の中、一人でも増えてくれたら、女性が生きやすい世の中がやってくるのになあと思った。
    そしてそれは、女性だけが得するとかいうことではなくて、多分、そうなることで余計な対立がなくなるし、ジェンダーや人種差別の根底に流れていることへの改善にもつながっていくし、ひいては男性も、自分の娘も、生きやすい世の中になっていくんじゃないかな、と思うのだ。
    いやーまさか、こんなタイトルの、言葉も結構パンチが聞いたお上品とは言えない本に、社会のことを考えさせれるとは!

    ー以下、本文からの抜粋
    『2007年、柳沢伯夫厚生労働相の「女は生む機械」発言は大きく話題に(略)しかしこれに怒った女たちは「私たちのことをそんな風に思っていたなんて!」ではなく、「やっぱりそれが本音だったんだなテメエ!」と言うニュアンスの怒りを抱いていたように思う』/腹
    『ハリウッド女優のクリステン・スチュワート氏が真っ赤な床の上でキラキラしたドレスをまとい、自らのハイヒールを脱いで、裸足で歩いている写真だ。(略)これは抗議行動なのだ。女優、女性スタッフのみがハイヒールの着用をドレスコードとして義務付けられていることへの抗議だ。(略)「男性には要求しないことを私に要求してくるのはおかしいことでしょう」』/足
    『PhotShopで松崎しげるのコントラストを少し下げたような妙にギラついた雰囲気を醸す壮年男性(略)夜も深まったタイミングでしげる編集長はついにストレートに口に出してきた。「じゃ、ホテル行こうか」と。(略)「だって誘うようなイヤラシイ目でずっと俺を見てたじゃない・・・」(略)見てない。ぜんっぜん見てない※これ作者10代の時の話ですよ※』『勝手に目から考えてもいない情報をスキャンされた上で面倒事や嫌な目に遭ってしまった人』『目を見るな。言葉を聞け。読め。』/目
    『特に女にばっか言われるやつ・・・彼氏作れ、子供産め、子供おろせ、子供おろすな、子供もっと産め、もう産むな、働け、働くな、働きつつ家事やれ、働きつつ家事やって介護してお前の実家の問題はお前が全部片づけろ、みたいな終わらない手旗信号ゲームみたいな話は、一切、マジのマジで一切、耳を貸す必要はない』/耳
    『「メシマズ」というネットスラングがある。以前は「メシマズ嫁」まで書かれていた(略)家で好みの味付けのうまいもん食べたいのにパートナーが作ってくれないというのなら、食いたい人が自分で台所に立てばいいだけの話』/舌
    『女は愛嬌!笑顔が一番の化粧!むくれてると可愛くないよ!ほらおねーちゃんもっと笑って笑って!ブスでも愛想よくすれば場が明るくなるんだからさあ!これらの鬼クソファッキンワードをぶつけられずに大人になれた女がどれほどいましょうや?別に日本に限った話ではくて、欧米でも女性に「SMILE(笑って)!」というのは場合によっちゃ侮辱、性差別の一環として認知されとります』『感情労働とう言葉を最近よく聞くようになった(略)日本では「サービス」として従業員に感情労働を強いる現場が多すぎる。これに男女の別はあんまりないと思うが、女子は仕事の場を離れても笑顔を求められ、応えないと「かわいくない」「生意気」「愛想がない」「クソ女」などと評価されてしまうのだ』/顔(表情)
    『水商売をしていて胸をいきなり握り潰すような勢いで鷲掴みにされても、持ち場を動けない警備員のバイトで侮辱的なことを言われながら身体をじろじろ観察されても、電車に乗ってたら服に男性器を直にこすりつけられても、通りすがりのおっさんにわざとぶつかられたり(略)夜勤明けに疲れきって乗ったタクシーの運転手に延々セクハラトークかまされても、怒らなかった。怒ったところでどうなるんだと思ったし、こんなことで怒るのは「クール」じゃないと思っていた。セクハラもパワハラもにっこり笑ってうまい返しのひとつも言って受け流すのが「イケてる女」(略)ぜんぜん違う(←ここフォント倍角)』/顔・怒った女

  • 作者が文中で広言する釣りタイトルに引っかかって鈴木涼美ばりの内容かと思って読んだらまんまと裏切られたが、男上位社会をうっちゃったフェミニストとして通底する気構えがある一方、世間や他人が何を言おうと自分の身体は自分だけのものだという首尾一貫した自負と同性への共感が響く。冒頭の「乳、帰る」という章に如実だが、とりわけ「手・自分と握手する方法」で鬱病体験を経て自らを慈しむようになった姿に心が揺さぶられる。

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著者プロフィール

著者:王谷晶(おうたに・あきら)
東京都生まれ。小説家。著書に『探偵小説(ミステリー)には向かない探偵』『あやかしリストランテ 奇妙な客人のためのアラカルト』『完璧じゃない、あたしたち』など。

「2019年 『BL古典セレクション③ 怪談 奇談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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