僕の樹には誰もいない

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 52
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309030777

感想・レビュー・書評

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  • 僕がロッキングオンを買っていたのは77年から約10年くらい。この本を読んでいると、まったくあの頃と変わらない松村さんに会うことができます。
    どこか達観した松村さんの岩石生活に憧れていた、あの頃と同じ気持ちになります。
    コンテンツが溢れいてすぐに読み捨てられる時代には考えられない、1つの記事を何度も何度も読み返してた、懐かしい思い出です。

  • 高校生のときに読んだ雑誌で知った著者。
    自分の考え方、生き方に少なくない影響を与えてくれた人だ。
    本作を読んで改めて感じたが、行間にたくさんの表現があるのがこの人の文章の特徴であり、味わいだということ。
    ジョン・レノンが亡くなったとき、リリース直後だった「ダブル・ファンタジー」を手に入れる気が無いと言っていた。手に入れたら、ジョンの作品がすべてそろってしまう。そうしたら終わってしまうから。
    この本は自分にとってのそれだ。発売と同時に買うには買ったが、読み進められなかった。
    本書の編集人によれば、未発表原稿、単行本未収録原稿がまだあるらしい。
    没後1周年記念、2周年記念などと、願わくば毎年刊行してほしい。

  • 相変わらずの作風。最初に自分のこと。そのあとアーティストのこと。懐かしかった。永遠の青年。

  • 1970年代半ば産まれのわたしにとって、二十歳前後は<ロッキング・オン>と<ミュージック・マガジン>が、聴きたい音楽の情報を仕入れるための二大活字メディアでした。Windows95が出たばかりの頃で、ネットでは、ごく限られた書き手が音楽関連の情報を発信してましたが、メインの情報源はあくまでも紙媒体でした。その方が圧倒的に安価で情報を仕入れられたので。雑誌を購入する前提でいけば二誌のどちらかを選択せざるをえないけれど、小銭があるなら食費と家賃にまわしていた若い頃は、雑誌は全て立ち読みですませていました。結果的に、媒体よりも書き手で情報源を選択し、吸収していたのです。書かれている内容だけではなく、文体や、その人柄も当然選択する基準になっていたのでした。松村さんは、いまに至るまで愛読し続けていた書き手二人のうちの、一人でした。楽しく読み進めた後、巻末に収められた、編集を担当された米田郷之さんの『本書について—松村さんの十冊目』を読むと、落涙してしまいます。

  • 昨年3月に亡くなった著者の、最後の著作だ。闘病中、“生きているうちに10冊目の著書を出したい”と準備を進めていたものだという。

    読後、「やはり音楽評論家として替えのきかない人だった」との思いを強くした。

    例によってビートルズ・ネタが中心だが、幅広い音楽が取り上げられている。そして、自らの日常描写と音楽話が、シームレスに登場する。

    よい意味でゆるい、飄々とした文章だが、真似のできない味わいがある。評論然とはしていないが、ロックについての卓見が随所にある。

    本書の最後に近づくにつれ、収録エッセイに病気と死の影が濃くなっていく。
    ラス前が「生きていこう」、ラストの一編は「 Still Alive And…」というタイトル。とくに後者は『ロッキング・オン』への最後の寄稿文(2021年10月号)であり、ファンと読者への別れの挨拶のような内容だ。それでも、飄々としたタッチはいつもと変わらない。

  • 2022/12/16購入
    2023/1/19読了

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。雑誌「ロッキング・オン」創刊に関わり、編集部を経て、歌手デビュー。『UNFINISHED REMEMBERS』他の作品を残し、文筆家として長く活躍。2022年3月12日、永眠。

「2022年 『僕の樹には誰もいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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