うつくしい道をしずかに歩く;真木悠介 小品集

制作 : 河出書房新社 
  • 河出書房新社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309231259

感想・レビュー・書評

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  • 以下引用

    本書の記述を敷衍すれば、わたしとは、幸福の水脈を求めて世界を掘り続ける井戸である。そしてわれわれとは、それぞれの場所でこのおなじ探求を粉う無数の井戸である。それらの無数の井戸が、それぞれの探求の情熱と汗に見合う深さと美しさを備えつつ、人類にとっての普遍的な地下水に到達するとき、そのときのさざ波の呼応、その井戸の思いがけない邂逅にも、何ものにも代えがたい希望のコミューンのあかし

    この思いがけない呼応、この不意の邂逅は、自ら求めた恣意的な出遭いというよりは、偶発的な出遭われる出会いである。真木の使うこの不思議な受動態。出遭われるとは、あるがままに存在することによって、いわば来訪的に生じる出会いである。この示唆的な受動態は、真木独時の語彙として、無数のバージョンを持つ。表現とは、あらわることではなく、あわられることである。この顕現の美しさによりさえすれば、表現は生を裏切らなくなる。自分から作るのではなく、なにものかにとって自分はつくられるのである。この自己内創造の他律性を信じさえすれば、自我というくびきから人間はやわらかく解放される

  • 「うつくしい道をしずかに歩く」という詩が素晴らしかった。神のような存在を無視して、「個人」として歩く道は、通勤のために車を走らせるただの無機質な道のようなものだと思う。山尾山省のことは知っていたけど、改めてその本を手に取るきっかけとなった。

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