- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309254036
感想・レビュー・書評
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著者のリンデンが、知己の脳神経科学者40人に、ひとり(一組)一つづつのテーマで好きなことを書いてくれと頼んで、集まった科学エッセイ集。
「脳科学本の大半は脳の研究者が書いたものではないし、うまく書かれたものは少ない。多くは退屈だし、読みやすいものはたいてい内容が薄い」とディスっているが、果たしてこの本がうまく書かれていて、退屈ではない本になっているかというと、相対的に言ってそれほどのことはないというのが正しい評価であるように思う。そもそも彼自身の『つぎはぎだらけの脳と心』は自己評価ではどうだったのだろうか。
章立ては以下の通り。
パート1: 発達と可塑性
パート2: 脳のスペック
パート3: 知覚と運動
パート4: 脳の社会性
パート5: 思考と判断
脳の神経の発達と可塑性の話で新生児のシナプスが生後1年で新しいシナプスと入れ替わるであるとか、ティーンエイジャーの脳が子供の脳とも大人の脳とも違い変わっていく様子が撮像した脳画像から明らかに分かるであるとか、ジャグリングの練習をすると実際に特定の脳領域に構造の変化が見られただとか(練習を止めると元に戻った)、神経伝達物質がなぜこんなにたくさんの種類があるのかということであるとか(答えはまだない)、視覚というものがどのようにして実現されているのかとか、味覚がどのように発生するのかだとか、痛みは脳でどのように感じられるのかだとか、楽しい時間が主観的に短く感じられるのはなぜかだとか、時間がかかわる報酬において意思決定はどのように行われるのかだとか、おばあさん細胞というものはないだとか、脳卒中から脳機能の回復のメカニズムだとか、人の顔や声をどうやって特定しているのかだとか、動物は心の理論を持つかだとか、脳と身体は不可分であるだとか(脳の冷凍保存は無意味)、脳の機能はAIなどのコンピュータで実現できるのかだとか、様々なトピックスが取り上げられている。
それらの中にはほとんど回答が出ているものもあれば、分かっていないものもあるし、意見が対立しているものもある。その中で確実に言えるのは、今後の数年間においても新しい知見が出てくるだろうし、この本に書かれている内容も、書き換えられなくてはならないものがいくつか出てくるであろうということだ。
ただ、やはりエッセイ集という形はテーマがぶれてしまうことが避けられない。脳神経科学者自身が書かなくても、素晴らしいサイエンスライターがうまく書いてくれれば、読者としてはそれが一番よいのだけれど。
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『つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?』(デイビッド・J・リンデン)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4772695168詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジョンズ・ホプキンス大学のデイヴィッド・J・リンデン教授が、40人の脳科学者に一般人に向けて一番面白いと思う内容を集めて編集したエッセイ集。自分の興味あるところをつまみ食いして読むのがおすすめ。
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1個1個は興味深いけど結局脳って難しいよね的な結論に毎回なってしまうのが惜しい。あと小葉だとか具体的な脳部位についてはあまり興味ないんだよなと思って、途中でストップ。脳科学についてはたまに読みたくなるので、その時に再開する
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脳の専門家である神経科学者40人の話を集めるというのは良いコンセプトですね。
しかしバラエティに富んだ面白い内容になるかなと思いきやなんとなくまとまりのない内容になってしまった感じもします。
興味深い話もあればそうじゃない話もある。
全体的には面白かったですが、期待したほどではなかったかな。 -
恋愛はポジティブな依存症。仏教でも恋愛はエンタメって言ってたな。
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【所蔵館】
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9月新着
東京大学医学図書館の所蔵情報
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_search/?amode=2&kywd=4311475208 -
散漫な神経科学のエッセイ集。
結局神経科学者は似たようなことを
やっているわけで。
しかし、参考文献に入来先生の論文しか
入っていないのは、
関係者としてはどうかと思う。 -