村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」

著者 :
制作 : 村上春樹  ジョージ・オーウェル 
  • 河出書房新社
3.50
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本棚登録 : 185
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309290584

感想・レビュー・書評

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  • 初めての森泉岳土さんの漫画。大きな顔の描き方が新鮮。両方とも未読だがおそらく原作の雰囲気を損ねてない気がする。『蛍』は珍しく日本のある時代を感じた。『一九八四』原作はたぶん怖くて読めないだろう。先日のケストナーの伝記を思い出した。

  • 筑波大学公開講座『マンガで出会い直す世界の名作』のお知らせ。
    https://transbordermanga.blogspot.com/2022/10/blog-post.html

    森泉岳土のマンガ『村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」』 謎めいた線で浮かぶ、文学のエッセンス|好書好日
    https://book.asahi.com/article/13123784

    村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」 :森泉 岳土,村上 春樹,ジョージ・オーウェル|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309290584/

  • 村上春樹の『蛍』とG・オーウェルの『1984年』をコミカライズした作品。著者・森泉岳土(もりいずみ たけひと)氏の描画法が「水で描き、そこに墨を落とし、細かいところは爪楊枝や割り箸を使ってマンガを描く」と紹介されており、物語の筋より"絵"の方が気になってそちらをじっくり見てしまった。もっとも、『蛍』は何度も読み返していて内容は分かっており、『1984年』は未読だが多少の話は耳にしているので、特に問題はない。この漫画作品を読んで、『蛍』と『1984年』を読みたくなった。

  • 森泉岳土が、一冊の中で、村上春樹と、ジョージ・オーウェルを、対にして描く。
    この名前三つが並んだときの納得感よ。
    いい企画だし、内容も見合っている、いい本だ。

  • やはり絵がすき。灰色のような目に惹かれる。
    1984読まないと!

  • ジョージオーウェルのマンガも読んでみよう。そしてどちらの原作も。二つの空気感がそのままだった。なんとも言えないひんやりとしたグレーな空気感。苦手な空気感だがつい引き込まれてしまう。
    なるほど、文字で含め伝えるもの、マンガで伝えすぎずふくませる。絶妙なテクニックになるほどなと。

  • ついにジョージ・オーウェルの1984を読んだ。いや、厳密には読んでいないが、森泉岳土による漫画版「オーウェルの一九八四年」を読んだ(オーウェルの、と付くところが良い)。
    救いがないとは聞いていたが、本当に。


    でも何より救いがないのは、読み終わったときに「ああ良かった、怖い話は終わった、"あんなんとは無縁の"現実へ戻ろう」と心から思えないところだ。


    あとは備忘メモ。(ネタバレもあり)


    ・舞台はロンドン、ただしイギリスではなく「オセアニア」という国。オセアニアを率いるイングソック党の党首ビッグブラザー(BB)がすべてを監視し、好ましくない兆候があれば「思想警察」に連行される。党は人々の行動、音声、表情ばかりでなく、心臓の鼓動まで把握している。(エマワトソンとトムハンクスの映画の原作の)「ザ・サークル」と同じだ…と開始3ページでざわつく私。サークルという会社に入社したメイは、入社オリエンテーションのなかで、これが私たちの誇る新しい社員健康管理の方法なのよ、とアプリ?の仕込まれたスムージーみたいなものを飲まされていた(といってもあの輝かしいサークルの一員になれたことが嬉しいメイは喜んで飲むんだけど)。私事ながら、「端末の利用状況を送信する」のチェックを外させることにはうるさいくせに、人の身長体重歩数をほぼ強制的に送らせる"ヘルスケア"施策、ほんと嫌悪。
    ・党のやり口。景気が回復していると喧伝する(人々は剃刀の刃一枚、穴の空いていない靴下ひとつ都合できない生活だが、チョコレートの配給が増えたとかで喜んで、BBの手腕を褒め称えている)。
    ・そのときどきのBBの発言に合わせて、記録局は出回っているあらゆる文書を修正する(訂正版であるという印などもちろん付けない。「いわば」「すなわち」「するなかにおいて」といった文言を散らしておけば、ありもしなかった演説を捏造するのは容易い、と記録局務めの主人公ウィンストンは言う)。
    ・「二重思考(ダブルシンク)」によって人々の記憶までも改竄させる(矛盾している二つの事柄を両方とも頭から信じ、忘れなければならないことは忘れ、必要があればふたたび思い出す)。
    ・「新言語(ニュースピーク)」という新しい公用語を制定する(実際のところは、言葉の破壊なのである。「良い」で十分なので「素晴らしい」「申し分ない」は削除、「悪い」という曖昧な言葉も無くし「反良い」とする、など。言葉が削られれば思考も縮小される。それが狙いである)。
    ・隣国への憎悪を植え付け、戦争を正当化する。(敵国は「ユーラシア」であったり「イースタシア」であったり、そのときどきによって変わる。この三大国は戦争状態を維持し続けることによって、富の増加による階級社会の不安定化や崩壊を防ぎ、各国の支配階級が永遠に権力を持ち続けることができるという仕組みをもって結託している。この秘密については漫画では描かれておらず、さっきWikipediaで読んで知ったことだ)。
    ・このような社会で教育を受けた子どもは、戦争好きに育つ。無邪気に「人民の敵!」などと叫ぶ。ウィンストンの隣人パーソンズはのちに自分の七歳の娘に告発されて思想警察に連れ去られる。このような一般市民によるスパイ行為は英雄的ということで大いに賛美される。
    ・この社会の仕組みに違和感を覚え、ひそかに日記をつけ続けていたウィンストンは、小道具屋チャリントン、党の高級官僚オブライエンなど、このモヤモヤを共有できるかも?と思える人々との接触を通して、社会転覆の希望をわずかに持って生活しているが、実は体制側の人間であった彼らに裏切られ、恋人ジュリアと共に思想警察に連行される。そして「治療」という名の壮絶な拷問を受け、受け、受け、……党を愛する従順な一市民になるのだった。信念打ち砕かれる瞬間の1ページの表現が、つらかった。

  • 絵がとてもとても、2作品にあっている。
    2作品とも、内容はあまり好きじゃないが…。

  • 2022/7/25購入
    2023/8/27読了

  • 無関係な原作小説が2つ並んでいるのですが、そのチョイスするセンスは素晴らしい。
    雰囲気、画力も魅力的。

    個人的に最も気になったのが、1984年のジュリアが可愛くないんです…!僕の原作読んだイメージのジュリアは活発な美人というイメージだったのですが、この漫画だと全然可愛くない(笑)
    可愛いからこそ、最後の変貌ぶりにインパクトがあると思うんですけどね。何で可愛く描かなかったんだろ。

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著者プロフィール

水で描き、そこに墨を落とし、細かいところは爪楊枝や割り箸を使ってマンガを描く。著書に最新作のコミカライズ作品集『村上春樹の「螢」・オーウェルの「一九八四年」』のほか、『セリー』『報いは報い、罰は罰』『ハルはめぐりて』『うとそうそう』『カフカの「城」他三篇』『耳は忘れない』『夜よる傍に』『祈りと署名』など多数。

「2020年 『ランバーロール 03』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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