ドラフト1位---九人の光と影 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309411057

作品紹介・あらすじ

栄光のドラフト1位。しかし誰もが成功を収めるわけではない。その"称号"はその後の人生に、損だったか得だったか…。ブレービーに入った島野修、台湾に渡って後復帰、悲願の一勝を挙げた野中徹博、ホーナーの打撃投手となった黒田真二、暴漢に襲われ選手生命を縮めた荒川堯、プロ拒否した小林秀一…九つの様々なドラマ。

感想・レビュー・書評

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  • 783.7

  • 栄光のドラフト一位でありながら,日の目をみなかった方々のストーリ。

    大森「気持ちが腐ると落ちるのははやい。それを見てきたから自分ではそうならないようにしよう,そうなったら終わりじゃないかと思っていました」彼の二軍での目標はいい成績を残す以上に腐らないようにしようと一生懸命野球に取り組むことだった。

  • 1968年巨人 島野修
    ドラフト史上最高の当たり年で島野はこの年の甲子園のスターだった。

    田淵と巨人は相思相愛、巨人は田淵が他球団に指名されたら指名すると星野に言っている。指名順位1位は東映(本文では触れていないが阪急移籍後3連覇に貢献したショート、覚えていないけど)、2位の広島は山本浩二、3位の阪神が田淵を強行指名しドラマが動き出す。元々は4位の南海が指名した同じ法政大の富田の予定が順位が上がったため行ってしまったのだろう。
    本文に無いところで5位サンケイ(ヤクルト)は藤原、この年のサンケイのドラフトは誰も活躍せず、恐るべき見る目のなさか単に育成ができないのかは謎。6位東京(ロッテ)が有藤。7位近鉄は水谷、選手としては活躍しなかったが28年間60歳まで打撃投手を務めた。やはり近鉄もパッとしない。
    そして8位巨人、4連覇中の巨人は投手陣が揃っており急遽方針を変更し即戦力の星野では無く数年後を見越して高校生の島野を指名した。指名されなかった星野は「まさか・・・。星と島を間違えたんじゃないのか」と唖然とし、10位指名の中日で巨人キラーとなる。9位は大洋で野村収、最後は阪神にいたな〜。
    11位の阪急がすごい、1位山田久志、2位加藤秀司、7位福本豊、入団拒否だが12位に門田博光。200勝投手に2000本安打3名を指名、そら強くなりますな〜。
    12位は西鉄の東尾。

    島野はニューヨーク・メッツとの親善試合で完封して才能の片鱗は見せるが、体力が続かず投げ過ぎて肩を壊して引退する。
    引退後移籍先の阪急が始めたマスコットブレービーの中の人となり強くて人気のないチームだった阪急が観客動員100万人を達成するのに貢献する。

    その他の8人は簡単に
    1989年 巨人、大森剛
    未完の大砲はスカウトになり坂本勇人を外れ1位に推した。
    1983年に阪急 野中徹博
    同い年だが覚えていない、野村再生工場でリリーフとして優勝に貢献。
    1976年 日ハム拒否 黒田真二 1982年ドラフト外でヤクルトへ
    広島崇徳の選抜優勝はなんとなく覚えてる。ホーナーの打撃投手。
    1995年 ロッテ 澤井良輔
    福留のライバル、レギュラー目前で怪我に泣く。
    1995年 西武 高木大成
    引退後はフロント入りし営業へ。この本に出す選手なのか?
    1969年 大洋 荒川尭 入団後金銭トレードでヤクルトへ
    荒川事件て有名なのね、知りませんでした。
    1973年 巨人拒否 小林秀一
    作新の江川を指名出来なかった巨人の外れ1位を拒否。教師志望の為
    1988年 プロ入り拒否 志村亮
    良く覚えている。こういう選択もいいのでは。

    結局ドラフト1位でも何も保証されていないし、運に左右される所も大きい。選択の自由と戦力の均衡をどうバランスさせるかが制度設計のキモの筈だけど、未だに巨人中心ってとこも有る。その上でどうするかは個人の選択でしょう。

  • ドラフト1位でプロ野球の世界に入った9人(正確にいうとドラフト1位指名が確実だったのに、プロの道に行かなかった人も含まれる)のその後を追った作品。いくらプロ入り前に華々しい結果を残していてもそれがイコール「プロでの活躍中」を指さないことがよく分かる。怪我に悩まされた選手も多く、そういう意味では期待通りの結果をプロでも残した清原や松井秀樹、長きに渡ってプロで活躍した金本や工藤は本当にすごいのだと思える。

  • タイガースが負けた夜は、野球の書籍を。

    仕事のモチベーションが下がりつつある今日この頃。
    やっぱ、頑張らんとなあ~と読後の感想。

    阪急ブレーブスのブレイビー、オリックスブルーウェイブのネッピーのキャラクターの着ぐるみを着ていた島野修氏、三角トレードの荒川堯氏のところだけでもいいかと思って購入したんだけど。

    読売にドラ1で入団した大森っておったよなあ~。
    中京高校から阪急に行った野中、高校の頃、凄かったよなあ~とか思いながら、一気に読了。


    しかし、島野修さん、カッコいいです。

  • ドラフト1位指名を受けながらも、思うように活躍できなかった人達、1位指名を頑なに拒んだ人達の人生を綴った本。

  • 悲しいかな、ドラ一と言えどもけっして活躍が約束してるわけでもないのが
    プロ野球界です。プロ野球ファンはどれほどの期待をドラ一らに抱き、絶望してきたことでしょう。でも逆に、その期待に答えられなかった男たちの書が、ここにあります。巨人の1位指名を受けながら、芽が出ず着ぐるみ役に転身した男、かと思えば、逆に天下の巨人の1位指名を断る男。他いろいろ。
    プロ野球ファン必読の書かと思います。

  • プロ野球のドラフト会議で1位指名を受けた人物の中から9名の様々な人生を丹念に取材し、本人の現在の気持ちを交えながら浮き彫りにしたノンフィクション。ドラフト1位といえば、野球エリートとして選ばれたプロ野球選手の中でもさらに特別な存在であることは間違いない。しかし、だからと言ってドラフト1位の選手の全員が期待通りの大活躍をする訳でもないという事実も知られている。そういった中でドラフト1位の指名である意味栄光の絶頂にあった人物の人間模様が興味本位でなく真摯に描写されているのが本書だと思う。

    特に一番最初に書かれたブレービーの島野修投手については、あとがきで一番興味を惹かれたとあるだけあって、時系列的な因果関係の整理のみならず、球団のカラーや野球経験者でなければできなかったことなどを掘り下げて記述している。

    当時は社会的なニュースでもあった荒川堯内野手についても、本人の人柄が端々から溢れでて興味深い。また、多くは故障と手術とリハビリテーションが人生を左右していて、健康がいかに人生の財産であるか、また人生にいかに不慮のできごとが起こるかを今更ながらに知らされる。

    そして、最後の2人、1人はジャイアンツからドラフト1位指名をうけて唯一拒否をした小林秀一投手、もうひとりはジャイアンツを始めとして大学在学中からドラフト1位確実と言われつつ、当初からドラフト指名をきっぱりと断った志村亮投手。この意思を強くもって人生を切り開いた2人が最後に配されていることが、読後感を爽やかにしてくれた。

    なによりも著者が愛を持って取材をしていることが垣間見える良書。

  • 2011年107冊目

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著者プロフィール

澤宮優(さわみや・ゆう) ノンフィクション作家。1964年、熊本県生まれ。青山学院大学文学部卒業、早稲田大学第二文学部卒業。2003年に『巨人軍最強の捕手』(晶文社)で第14回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。主な著書に、『バッティングピッチャー』、『炭鉱町に咲いた原貢野球』、『昭和十八年 幻の箱根駅伝』(以上、集英社文庫)、『世紀の落球』(中公新書ラクレ)、『イップス』(KADOKAWA)、『戦国廃城紀行』(河出文庫)、『暴れ川と生きる』(忘羊社)、『集団就職』(弦書房)など多数。

「2023年 『「二十四の瞳」からのメッセージ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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