内臓とこころ (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309412054

感想・レビュー・書評

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  • 受精卵が子供になるまでの過程を医学的生物的な検知でレクチャーしたもの。情に寄り添っての説明で、好感がもてるが、
    進化や、眠りの周期の話などが、若干認識が古い。
    1982年の本なのでしかたが無いと言えばしかたないが。

  •  人間の身体感覚とその進化・退化についてずっと興味を持ち続けている。現代社会の生活様式の変化、ネットによるコミュニケーションの変化、そして人工知能とめまぐるしく文明が進行していく中で、我々の身体は置き去りにされているのではないか、という不安を感じずにはいられないのだ。そんな中で出会ったのがこの本だ。

     解剖学者であった著者は1987年に62歳で急逝してのちにその思想が注目を集めるようになり、今も熱く語る人が多い。受胎32日目からのヒトの胎児にまぎれもなく表れてくる魚類から両生類、爬虫類へと至る進化の過程を見、潮汐のリズムが睡眠に深くかかわることを知る。人体には生命誕生以来30億年の“生命記憶”が宿っているのだ・・・!

     前へ前へと進む文明が“あたま”(脳)を極度に肥大させていくひとつのベクトルとすれば、後ろへと遡るのは忘れかけた“こころ”(心臓)を求めるベクトル。そこを左右に引き裂かれるのではなく、見事なバランスで展開される思考を心で感じ取ってほしい。(嵐田)

  • とても奥が深い本だと思った。生物学と人間の精神的な発達との関連を著者の持論でうまく説明してあり、面白かった。
    著者は解剖学や生理学を専門とする医師である。生命の発生からそれがどう人間にまで発達していったか、人間がほかの動物と異なる「こころ」はどの段階から特徴が出てくるのかなど、興味深い議論が展開される。
    なぜ夜型人間がいるのか、ということも、生物学的なサイクルは本来波の満ち引きに合わせた24時間50分であり、それを24時間に合わせようとするからずれが生じるのだという部分も面白かった。子どもがいる人は、その発達の過程と照らし合わせて実感を持って読めると思う。

  • 解剖学者にして芸術大学の教授、と聞くと、「……トンデモ?」と疑いがちだが、一体どうして。

    そもそも興味を持ったのが「ドグラ・マグラ」の「胎児よ胎児よ何故躍る母親の心がわかっておそろしいのか」からだった。時間にして16年は遡る。
    もっと早く読んでおけばよかった。

    詩人ともいえる優しさ溢れる語り口がまた魅力。

    ・体壁系と内臓系。
    ・鰓⇒顔と内臓露出。舌は触角。
    ・内臓は宇宙。小宇宙の波、内臓波動。
    ・動物器官の中心、脳。植物期間の中心、心臓。
    ・「思」アタマがココロの声に耳を傾けている。
    ・ヒトは季節感覚として、食と性の推移を想う。
    ・はらわたの声が大脳皮質にこだまする。
    ・ココロが芽生え、アタマが噛みあっていく。
    ・眼前の印象像に、記憶の回想像が裏打ちする二重映し。
    ・遠くを眺望したい好奇心⇒直立。
    ・ことばははらわたの声。
    ・個体発生は系統発生を繰り返す。

  • 人の中には小宇宙がある。
    大きな宇宙の周期と共鳴してるって
    普通に聞いたら胡散臭く感じるだろうに
    どうしてそう感じないんだろうな。
    赤ちゃんの顔のせいかな。

  • 語り口がいいです。話があちこち飛ぶのもいい。

  • リズムとバランス。
    5章から書き言葉になり読みやすくなった。グロテスクな表紙のイラストが一体なんであるか、の解説には驚く。その「時点」においてわたし達は過去、サメでありトカゲであった。

  • 内蔵は小宇宙。人間の成長と生物の進化を関連づける興味深い論考。
    沖縄の離島旅行中に読んだこともあり、すごく印象に残った。

  • アタマとココロのちがい。

  • 私たちは母乳の代わりに牛の乳で育つのに、母乳を代わりにくれた牛の皮を履いだり、肉を食っている。という話が心に残った。お母さんの子宮にいる感覚について考えた。 ユーモラスな語りが面白かった。

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著者プロフィール

1925年、香川県丸亀市生まれ。解剖学者。東京芸術大学教授。1987年死去。主な著書に『内臓とこころ』(河出文庫)、『胎児の世界』(中公新書)、『海・呼吸・古代形象』『生命形態学序説』(以上、うぶすな書院)など。

「2013年 『生命とリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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