生命とリズム (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 256
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309412627

作品紹介・あらすじ

「イッキ飲み」や「朝寝坊」への宇宙レベルのアプローチから「生命形態学」の原点、感動的な講演「胎児の世界と“いのちの波”」まで、エッセイ、論文、講演をあますところなく収録。「三木生命学」のエッセンスがここに。

感想・レビュー・書評

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  • 表紙に載っている奇妙な顔らしきイラストは何を表しているのか、分かる方はそう多くないでしょう。これは人間の胎児で受胎32日目から38日目の顔だそうです。お母さんが妊娠に気づくか気づかないかの時期にお胎では赤ちゃんが海で泳いでいた魚類から陸に上がり始めた両生類、そして爬虫類の顔へと30数億年の生命の歴史を遡って刻々と変化を繰り広げているということです。この神秘的な出来事の解説がこの本の冒頭で「だれが人間を創ったのだろう」という見出しで述べられています。
    著者は今から30年ほど前に亡くなられた解剖学者ですが、今になっても文庫本として出版されるところにこの本の中身の貴重さが伺えます。名著というべき書物なのでしょう。講演会の中身や著作を集めて構成されていますが、どこから読んでも解剖学者としてまた深い教養に基づいた知見が語られていてその内容に圧倒される感じがします。その上、この本を読むと発生学からの視点で人間の臓器の仕組みが解説してあるため、ただ暗記して覚えていた解剖学の知識が分かりやすく整理できて、この先生のお話を直に聞けたらどんなに良かったことかと思いました。人間の身体がいかに地球誕生のはるか大昔からの宇宙のリズムと同調しているか、特に呼吸についてでは、魚のエラに当たる呼吸筋が陸に上がった私たちの祖先に当たる動物には残されていなかったため、呼吸するときに直接呼吸に関係ない体壁の筋肉に面倒をみてもらうしかなかったという解説はなるほどと納得しました。そのため、息を吸う筋肉の代用の横隔膜でまず息を吸い込むところから始めるために、ハットする、息を飲むことばかりの緊張状態が息詰まり現象を招く。そのため仕事をしたあとなどは息抜きが大事で、特に声を出すことが簡単、効果的で井戸端会議でぺちゃくちゃお喋りすることなどがその例にあげられています。
    これを読み、すべてものごとは必然性があるんだなあとか女性はそのためストレスが少ないのかなどと思ったり興味深く読むことが出来た一例でした。

  • 帯表
    『内臓とこころ』の著者が描く
    人間が生きることの《本質》とは

    「ツボ」や「おしゃべり」、「朝寝坊」から「イッキ飲み」までを宇宙レベルで説き起こす。
    「三木生命学」のエッセンスがここにー。
    裏表紙
    「イッキ飲み」や「朝寝坊」「ツボ」「お喋り」に対する宇宙レベルのアプローチから、「生命形態学」の原点である論考、そして感動の講演「胎児の世界と〈いのちの波〉」まで、『内臓とこころ』の著者が残したエッセイ、論文、講演をあますところなく収録。
    われわれ人間はどこから生まれ、どこへゆくのかー
    「三木生命学」のエッセンスにして最後の書。

    Ⅰー生命とはなにかー生命論
    Ⅱーからだと健康ー保健論
    Ⅲー先人に学ぶー人間論
    Ⅳー生命形態学への道ー形態論
    単行本版解説 三木成夫先生について 後藤仁敏
    文庫版解説 生命は環境に適応する 甲野善紀

  • [NDC] 491 [情報入手先]  [テーマ] 推しの推し本
    1、推しの名前:西 大伍
    2、どういうジャンルの人か(推しの紹介):サッカー選手(北海道コンサドーレ札幌、紹介当時はヴィッセル神戸)
    3、(本を紹介していた)出典、URL、番組名など。:サッカー×読書!本がアスリートにもたらす影響(テレビ東京)

  • 胎児の成長プロセスが具にわかる。その成長過程は、太古の生命の進化の歴史を受精から僅か1ヶ月あまりの期間に行われている。鰓呼吸から肺呼吸への変態もこの期間に生じている。
    魚類→爬虫類→哺乳類→人間
    このプロセスを出発に保健論、人間論にまで話が及ぶ。
    人間は、進化する以前から宇宙のリズム、月のリズム、満ち潮のリズムとの調和の中で生きてきた。このリズム調和から逸脱した生活をすると、体調不調を呈することになる。

  • 図書館で借りて、P200ページ以降未読のまま返却。ゲーテについて書かれているようだった。もう一度借りて読みたい。
    生命の歴史を人間の赤ちゃんが胎内にいる間になぞるというお話は本当にすごい。難しくて理解しがたい部分もあるけど、こういう本を読むのはいいことだと思う。人間に対する見方が変わる。先日買った「内臓とこころ」はもっと面白そうだけど。

    p188
    私たちのからだは、常に過去を引きずって今日にいたっている。言いかえれば、からだの中には過去のおもかげが一種の年齢構造として深く刻み込まれているのである。
    遠い海の時代の潮汐リズムも、上陸以後、今日までの二億年のあいだに獲得された太陽を基準とする「昼夜リズム」によって、すっかりおおい隠されてしまってはいる。しかし、なにかことあるごとに、その顔を覗かせよう、覗かせようとしていることは想像にかたくない。いわば、地金が出てくるといったところであろうか。

  • ほぼ理解できなかった。学問的な難しさと著者の情緒や思想といった二つの難しさがあって、目が上滑りするばかり。
    「もしかしたら」の閃きをとても大事にしているようで、そこに好感を持った。

  • 前作『内臓とこころ』があまりに面白かったため購入
    前半よりグレードダウンしてたように感じた
    後半はゲーテなどの思想を盛り込んでおり、面白く読めた
    全体的に二元論的あるいは三元論的な要素が強かった
    植物・動物・人間といった分け方には抵抗があったが、納得はさせられた
    また、呼吸リズムと潮汐リズムの関係もありえそうだな、と

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著者プロフィール

1925年、香川県丸亀市生まれ。解剖学者。東京芸術大学教授。1987年死去。主な著書に『内臓とこころ』(河出文庫)、『胎児の世界』(中公新書)、『海・呼吸・古代形象』『生命形態学序説』(以上、うぶすな書院)など。

「2013年 『生命とリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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