日航123便墜落 疑惑のはじまり: 天空の星たちへ (河出文庫 あ 34-2)

著者 :
  • 河出書房新社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309418278

感想・レビュー・書評

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  • 同僚を失った元客室乗務員が「事故」の真相を徹底検証 『日航123便墜落 疑惑のはじまり 天空の星たちへ』待望の復刊。|河出書房新社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000164.000012754.html

    皆様お待たせしました!待望の文庫化!疑惑のはじまり - 青山透子公式サイト日航123便墜落の真相
    https://tenku123.hateblo.jp/entry/2021/05/26/163056

    日航123便墜落 疑惑のはじまり :青山 透子|河出書房新社
    https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309418278/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      焦げた遺品に見た父の優しさ「伝えたいこと、いっぱいあったはず」【日航ジャンボ機墜落事故36年】 | ハフポスト
      https://www.h...
      焦げた遺品に見た父の優しさ「伝えたいこと、いっぱいあったはず」【日航ジャンボ機墜落事故36年】 | ハフポスト
      https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_60ffa282e4b07335162a0789
      2021/08/12
  • 青山透子『日航123便墜落 疑惑のはじまり 天空の星たちへ』河出文庫。

    関係者の証言から1985年8月12日に御巣鷹の尾根に墜落した日航ジャンボ機の真相に迫るノンフィクション。

    以前『日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』を読んでいるが、刊行は本書が先だったようだ。もしも本書を先に読んでいれば『日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』の感想も大きく変わったのかも知れない。それだけ本書は当事者の声を生々しく反映した衝撃的な内容だった。また、どうして著者が日航123便墜落事故の原因に執着したのかがよく理解出来る。

    第1部では著者が一人前の日本航空のスチュワーデスになるまでの過程が描かれ、第2部になるといよいよ本編の日航123便墜落事故発生当時の様子が描かれる。奇しくも著者の初フライトナンバーが日航123便で、事故が起きた日は著者の誕生日だったようだ。そして、事故の発生を女子寮のテレビで流れたニュース速報で知った時の慌ただしい様子や仲間たちの不安な様子が臨場感あふれる生々しい描写で描かれる。同期や同じ寮に住む仲間が搭乗した日航123便の墜落事故。後に新聞の顔写真で知ることになる犠牲になった12名の客室乗員のうち6名が著者がかつて所属していたグループの先輩であったという衝撃の事実。

    第3部。墜落事故から16年後。航空会社を退職し、教育者となった著者は航空運輸業界を目指す学生を指導する中で事故調の発表した墜落事故の原因に違和感を覚え始める。少しずつ積み重なっていく疑惑にまみれた多くの事実。果たして真実はどこにあるのか……

    定価1,089円
    ★★★★★

  • 疑惑「日本政府と自衛隊の人命軽視と事実隠蔽」

    本書前半は、元CAである著者のCA時代の先輩・同僚・後輩との思い出、訓練内容などの記述。中盤くらいから事件の時系列に従って、当時感じたこと、疑問に思ったことを回想。

    当時、現場で救助作業した地元消防団、墜落現場となった上野村の村長、遺体の照合を行った医師などの話から、事項調査委員会の公式見解とは矛盾する、もしくは公式見解では説明出来ない事象に疑問を抱く。

    素人の自分から見てもとにかく疑惑が多すぎる。

    [事象]
     遺体が二度焼きされたように、完全に炭化していたこと。
     機体燃料が飛散した場所ではなく、遺体のある場所に沿って延焼が激しかったこと。
     救助された機体後方4名以外の生存者がいなかったこと。

    疑惑:生存者を含め、遺体が火炎放射器で焼かれた?

    [事象]
     機長の遺体が下顎しか発見されていないこと。

    疑惑:遺体その他が持ち去られた?

    [事象]
     GPSの無い当時でも、墜落地点を精度よく認識出来る技術はあったはずが、政府と自衛隊は不明瞭な情報を10時間以上発表したこと。
    地元住民の証言によると、、夜通し墜落地点の上空でヘリがサーチライトを照らして何かの作業をしていたようであること。

    疑惑:墜落地点を特定されたくなかった。特定される前に何かの作業をしたかった。

    [事象]
     当初、機長は羽田への帰還を要求。ただし制御困難とのことで米軍から横田基地への着陸の提案を受ける。しかし結局は自衛隊が対応するので米軍は援助不要となった。結果、不時着のために北へ向かった。

    疑惑:正式発表では自衛隊の戦闘機(F4 x 2機)の発進は19:02だが、地元民は墜落より前に日航機と戦闘機を目撃している。その戦闘機により御巣鷹山の無名の峰に不時着するように強制的に誘導された。
    当時御巣鷹山の北側には、陸上自衛隊の特殊部隊が駐屯しており、証拠隠滅の作業を素早く遂行できた。

    [事象]
     航空史上最悪・最大の事故であり、原因究明・再発防止のためにも相模湾に沈んだ垂直尾翼の引き上げが必要であるはずが、費用対効果を勘案して実施されていないこと。

    疑惑:垂直尾翼以外にも、知られてはいけない決定的な証拠があるのでは?オレンジエアの痕跡か?

    [事象]
     ボイスレコーダーの副機長の「オレンジエア」という発言。
    羽田離陸後に上昇し、相模湾で水平飛行に移行してベルト着用サインが一旦解除されたにも関わらず、直後に再度サインが点灯した。
    その時、パーサーが「トイレに行きたいお客様がいる、行って良いか」と副機長に確認した際、副機長と機関士が「気をつけて」「じゃ、気をつけてお願いします」「手早く」「気をつけて下さい」と緊張した様子で回答していること。

    疑惑:当時海上自衛隊のミサイル実験の標的(飛翔物)はオレンジ色であり、コックピットではそれを目撃し、緊張。危機を察知し、ベルトサインを点灯した。

    [事象]
     爆発音から10秒程度で機長がスコーク77を発信していること。

    疑惑:たった10秒ではドアの破損か圧力隔壁かそれとも外的要因か不明なはずだが、コックピットではミサイル実験の標的とそれを撃墜するミサイルが衝突したという確信があったのではないか?

  • 有り 687.7/ア/18 棚:17

  • 読んだのは単行本版。

    読み始めると、著者が新人スチュワーデス時代に先輩たちにどんな指導を受けて、どんな風に仕事を始めたかということに紙幅が割かれていることが分かる。
    このことが墜落事故のこととどんな関係があるのか、読み進めるうちにじわじわ分かってくる。
    プロとして働くこと、自分の仕事に誇りを持って働くこと、そうしたことがなかなか難しくなってしまったのは、いったい何が原因なんだろうと考えさせられる。他のあらゆる業種に共通する問題があるとも感じる。

    学生たちとともに新聞記事や地元の人の証言などを丁寧に追いながら事故ついて考えていく姿からは、自分たちの力ではどうにもならない何か大きな(悪い)力に翻弄されているのか、と無力感を感じるだけではだめでしょうということも伝わってくる。

    子どもの時の記憶なのであてにならないが、この事故が起きた当時、よく飛行機事故があったり、熱帯雨林に飛行機が墜落した…みたいな映画を観た気がしていて、もし自分が飛行機に乗っていて墜落したら、とやたら心配していた気がする。
    大人になり飛行機に乗り、多少揺れても航行に影響はありませんとアナウンスがある度に、「ほんとか?」と思ってしまうのはその時の記憶が蘇るからかもしれない。

  • 1985年8月12日の日航ジャンボ機墜落事故。
    死者520名、生存者4名は、単独航空機事故としては世界最大規模でした。
    事故機には、元日航スチュワーデスの著者と同じグループでフライトをしていた先輩方が乗務していました。
    著者が授業で墜落事故を扱う中で、数々の疑問が浮かび上がります。
    なぜ墜落事故が起きたのか、なぜ墜落現場の特定が遅れたのか。
    当時を知る関係者への取材も含めた、ノンフィクション作品です。

  • 1985年に発生した日航123便墜落事故の原因を改めて整理し直した価値ある著作。毎年8月12日にニュースで報じられるこの悲劇は、有名人含む死者520名と過去に類を見ない大事故で、無残なご遺体の前に泣き叫ぶご家族の様子、懸命に操縦に集中するボイスレコーダーのやり取りなどが、衝撃的だった。が、当時学生の自分は、悲しいニュースは知りたくない性格もあり、また「圧力隔壁の修理ミス」というそれらしい結論を聞くと「そんなこともあるのか」という程度に理解していた。それから三十何年後に本書に出会ってびっくり大仰天した。なんと、原因と再発防止策が曖昧になっているとは。私もメーカー勤務で製品開発を長く担当しましたが「こんな理屈が正々堂々とまかり通るとはいったいどういうこと?」と信じられなくて思わず公開の調査報告書まで見てしまいました。当時の時代背景の影響もあったのか?と無理に納得しようとしてもなかなかそうはいかない。こんなことも知らずに、その後パスポートの捺印欄が何度もなくなるほど、飛行機に乗りまくった私自身を振り返ってもぞっとする。著者指摘の通り整理するとつじつまの合わない点が沢山あるが、一番あり得ない点は「衝撃音のあと2万feet以上の上空をしばらく酸素マスクなしで飛び続けていたこと。」さすがに平成23年の7月に疑問に対する事故調査報告への解説書が出ているが、明らかに本質を語っていない。まず減圧について。最初から長ったらしく説明しているが、要するに数秒(2.9秒)で急減圧客室状態になるということ。どんな大きさであれ隔壁に穴が開くと一瞬で空気は抜ける。普段いろんな圧力の絡む操作や実験をしてる人には当たり前の話で計算するまでもない現象。それをタイ航空(A300)で圧力隔壁が爆破されたが、幸いにもすぐ急降下できた事故例とつなげて矛盾はないと言っている(比較すべき本質は酸素濃度であるべきだが、論点が減圧までの秒数にすり替わっている。タイ航空の例も日航123便シミュレーション2.9秒も同じことで急減圧には変わらない。日航123便事故では急減圧が起こらず乗員乗客が恐怖の中、何分間も間無事であったことが問題なのに)。こんな稚拙な論法が「調査報告書」という名前で提出されればまかり通ってしまうのか? フライトレコーダー上では何分間も2万feet以上の上空を飛んでいるのに・・・。挙句の果てに、管制に対する機長の回答が酸素不足のために少し遅れていると書いてあり大笑いした。柳田邦夫氏もこの解説書に「この解説書の大きな意義、納得感のある開かれた事故調査への一歩」という補足コメントを書かされているが「長い道のりを経た上での意義のある大きな一歩・モデル」と書くにとどまっている。技術者誰が見てもつじつまの合わない報告書に対して、専門家として最低限のプライドを守るために「解説書の評価に微妙な違いはあるし、全面的に納得感が得られたわけではない。」とコメントせざるを得なかった柳田氏が気の毒で仕方ない。520名の命よりも優先させたい何かがあったことは確実だが、亡くなられた方々やご遺族の方々さぞかし無念のことと思います。外部から何がぶつかったか明らかになる日が来るのを祈っています。

  • とっても素晴らしいノンフィクション
    何度も 涙が溢れてきた

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著者プロフィール

元日本航空国際線客室乗務員。国内線時代に事故機のクルーと同じグループで乗務。その後、官公庁、各種企業等の接遇教育に携わり、専門学校、大学講師として活動。東京大学大学院博士課程修了、博士号取得。

「2022年 『JAL裁判』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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