- Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309462066
感想・レビュー・書評
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「冬のマーケット」ウィリアム・ギブスン著(ヴァンクーヴァー・マガジン1985年11月号) ゴミが主題。内容にはちょっと入っていけなかったが、著者のギブスンは日本に関心があるのか、はいている靴は「日本製で、新品の上物、銀座モンキー・ブーツ」。そして東京はゴミを埋め立て「夢の島」を作ったが、さらに「新夢の島」を作り、現在では太平洋の中に新日本が隆起しつつある、という記述。ここがおもしろかった。
「やさしき誘惑」マーク・スティーグラー著(アナログ 1989年4月号) レーニエ山のふもとに住むごく平凡な女性が、結婚し孫も生まれ、やがて最新技術の装置を使い若返り、意識の世界で木星にすむ孫と交友をはかる。さらに意識の世界で、はるか昔のコンピュータを仕事にしていた男に思いをはせる。その男は彼女に「やがて君はヘッドバンドをするようになる」と言ったのだった。彼女が老年に達する頃、ヘッドバンドという装置をつけると意思疎通も図れ、はるかかなたの景色も見える。さらにある錠剤をのむと体が若返り病気も治る、という世の中になっていった。
著者のスティーグラーは1954年うまれ。文中、彼女が25歳の時には時代遅れのフリートウッド・マックがお気に入りだった、という所があり作品中唯一リアルに実感できる所。
「系統発生」ポール・ディ・フィリポ著(ポール・ゼロウスキー編集のアンソロジー<シナジー>第3集1989年発表) 宇宙を舞台にしたウイルスの増殖の話。コロナの現在、ちょっとぞっとるする。
冬のマーケット / ウィリアム・ギブスン
美と崇高 / ブルース・スターリング
宇宙の恍惚 / ルーディ・ラッカー
肥育園 / オースン・スコット・カード
姉妹たち / グレッグ・ベア
ほうれん草の最期 / スタン・ドライヤー
系統発生 / ポール・ディ・フィリポ
やさしき誘惑 / マーク・スティーグラー
リアルト・ホテルで / コニー・ウィリス
調停者 / ガードナー・ドゾワ
世界の広さ / イアン・ワトスン
征たれざる国 / ジェフ・ライマン
2001.7.20初版 図書館 -
「肥育園」(オースン・スコット・カード)を読むと、個体の同一性について、深く考えさせられる。
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小説
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1980年英語圏SF短編集
後にサイバーパンクと呼ばれるようになったのが出てきた時代だそうだが、パンクか否かの分類はよう判らん…
バイテクな研究者を志していた80年代だが、「系統発生」で種の存続を目指すより、「やさしき誘惑」のナノテクや、電脳世界でハッピーになりたい -
このアンソロジーシリーズを読んでいると、1980年代なんて最近のことのように感じるが、もう30年以上前のことだ。新しいようで古い作品が収録されている。時代はサイバーパンクの終焉が告げられ、新しいSFが誕生しようとしている時だ。そのためか、古い感じはせず、現代につながるSFがこの時代に生まれたことを感じさせる。気に入った作品は、「宇宙の恍惚」「肥育園」「ほうれん草の最期」「リアルト・ホテルで」といったところ。なんだ、笑える作品ばかりじゃないか!
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20世紀SFの中で一番好き。
「姉妹たち」が最高傑作。
ジーンリッチ物はいくつか目にしているけど、これだけきっちりとまとめているものは見たことがないし、ファイナルアンサーな気がする。
彼女が見た光景も美しいし、リメイキングエデンの見た先の世の中である本作が実現するかしないかはわからないけれど、
似たような時代は来るのかもしれないと思った。
そして「優しき誘惑」もじわじわくる。
一言残した愛が終盤に効いてくる感じがたまらない。
そして自分も最終的にこんな存在になれたらいいのにとさえ思う。
「征たれざる国」には心打たれた。
橋の上のシーンが忘れられない。
コニー・ウィリスは好きだが複雑すぎてうまくコメディとして理解できなかったし、
ギブスンは初めから理解不能だった。
そこだけ残念。
後は全部好き。
私史上最高のSF短篇集。 -
「征たれざる国」には衝撃を受けました。内戦に巻き込まれ夫を無くし放浪する妻の物語がなぜこれ程心に訴えかけてくるんだろうか。
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ギブスンはギブスン、スターリングはスターリング、ラッカーは相変わらずバカだ ヽ(゚∀゚)
ベアとライマンのが正当的な物語でわかりやすかった。