古代ローマ人の24時間 ---よみがえる帝都ローマの民衆生活 (河出文庫)

  • 河出書房新社
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感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (552ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309463711

作品紹介・あらすじ

さあ、2000年前のローマ帝国の首都に住んでみよう。タイムスリップさながら、臨場感たっぷりに再現された古代ローマの驚きの"1日"を体験できる一冊。食事、服装、住宅、買い物、学校…公共浴場、闘技場、夜の饗宴など、庶民の暮らしを鮮やかに再現したベストセラー、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 著者が古代ローマの一員となり当時のリアルな1日を時間毎に伝えるという事で、臨場感たっぷり。
    コロッセウムや浴場の話はもちろん、中心地の高層マンション事情や、衣食住、奴隷、性の事など赤裸々に記されています。興味深いのは、富裕層ばかりでなく一般市民や奴隷の暮らしぶりが知れる事。
    現代と同じ、いやそれ以上に進んでいるのでは?という事もあれば、そもそも考え方の根幹が違うため理解しようとしても無駄な事もあると思える内容もあり、読み応えのある一冊でした。

  • 紀元115年、トラヤヌス帝治世下における古代ローマの1日を再現し、その社会構造や人々の生活について解説。
    まさに古代ローマの街中を見て回っている感じで、知的好奇心を満たしてくれる一冊だった。
    人々の間の格差や都市の過密など現代社会にも通じる問題があったことや、古代ローマの社会では奴隷の存在が基盤となっていたことなど、勉強になった。なお、古代ローマでは尿で洗濯していたというのが一番驚いた。

  • 史実を丹念に踏まえて古代ローマのとある1日をガイドする。著者がもともと映像関係の仕事をしていただけに、記述は単なる事実の羅列に終わらず、例えばコロッセオの情景なら、観客が見ている光景と合わせて、剣闘士が見ている世界も描くなど、あたかもドキュメンタリーを見ているかのよう。何気なく出てくる市井の人々の習慣や活動も、発掘によって明らかになった考古学的根拠に基づき、当時を活写する事に成功しており、興味が尽きなかった。最も印象に残ったのはやはり奴隷の存在。映画『テルマエ・ロマエ』で主人公が文明の利器を見て、その動力や仕組みを奴隷の働きだと自然に勘違いしていたが、まさに(ローマに限らないが)古代の社会を支えていたのは、貴族ではなく奴隷だった。だから本書が人々の生活を描くのを主眼とする以上、(剣闘士を含めた)奴隷の役割や生き様に焦点を当てるのは必然で、その非人道的な一面を紹介し「昔は良かった」的に安易さに流れていない。ローマ帝国史に関心ある人にとっては読んで損のない一冊。

  • 古代ローマにタイムスリップした感覚で当時の生活を窺い知ることができる一冊だった

    1900年近く前から現代にも通じる生活の知恵や技術が垣間見られたことにとても驚いた

  • 2022/6/4
    ローマは奴隷により支えられた社会だった。現代の文化的な生活は産業革命以後の動力という奴隷に支えられている。商品の運搬や移動、掃除洗濯、火起こしと料理は、自動車やエレベーター、掃除機、洗濯機、ガスコンロがなければ大変な重労働で人力のみで自身でやろうとすればそれ以外のことをする暇はなくなる。富裕層は混雑の中で人を押しのける役、化粧やヘアセットなどの身だしなみを担当する役、や人の名前を記憶する役、帰りを待って玄関で灯りを持って待つ役、門番役など快適さや威儀のために更に多くの奴隷を必要とした
    奴隷は社会的、法的な保護は全くなく、市場で説明文を首からかけられて売られるもの言う家畜であった。主人との関わりの中で感情的なつながりが生まれ人道的な扱いをうけられるものも一定数いて、主人が奴隷身分からの解放した上昇志向の強い解放奴隷は社会を活性化させていた。しかし、主人と奴隷の関係は性的関心も含めた主従関係があったため解放奴隷の社会的地位は一般に低かった。
    5階建てを超えるインスラは、現代のアパートレベルの規模でありローマ中に乱立していた。特に高層階には物資の運搬も困難でトイレからも遠かったため貧困層が相部屋をして暮らす劣悪な環境だった。低層階にはベランダを備えた部屋も多く、中流階級が住んだ
    トイレを自宅にもつ家は少なく、有料の公衆トイレがサロンとなっており、貧困層はまちなかにあるアンフォラで用を足した。トイレがないため夜は通常おまるにして、不届き者はインスラの窓からそれを通りに捨てていた
    下水道は湿地帯を灌漑し市街地を広げるために当初行われた。大きなトンネルもほられ雨水や汚水がテヴェレ川に流されたが、高低差を利用したもののため洪水時には逆流した
    アンフォラに貯められた尿はクリーニングに使われた。そのため公衆トイレから尿を回収する業者への課税が行われ、金は臭わないという箴言が生まれた
    家事の外部化も進んでおり、パン屋、バール、クリーニング店、水売りがいた。特に火を炊くのは大変で外食需要は大きかった
    元老院議事の公開、役職の選挙、裁判と政治の可視化が進んでいた。裁判の傍聴やコロッセウムでの見世物としての死は当時のエンターテインメントだった
    公衆浴場は衛生政策であるとともに、プール、温浴、ジム、公園、図書館、マッサージ、サウナ、社交場のすべてを兼ね備えた一大テーマパークだった
    夜明けとともに仕事を始め、昼頃にご飯を食べたあとは風呂を浴びて休息時間をとるのが当時の社会習慣だった。昼と夜を12時間ずつにわけるのが当時の時間の数え方だった。また年は執政官の名前でよんだ
    水は水道というローマ建築の傑作が安定供給を実現したが、薪も大量に消費されかなり煙の多い街であった。日用品や食品は人々の活動が緩慢になり人通りが少なくなる夜間帯を中心に市内に搬入された

  • 当時の世界
    日の出の数時間前
    午前6時―裕福な人が住む邸宅
    午前6時15分―室内装飾にみる古代ローマの趣味
    午前6時30分―主人の目覚め
    午前7時―ローマ式の服装
    午前7時10分―女性のファッション
    午前7時15分―古代ローマ時代の男性の身だしなみ
    午前7時30分―二〇〇〇年前の美しさの秘訣
    午前8時―古代ローマ風の朝食〔ほか〕

  • トラヤヌス帝治世下の紀元115年のローマの一日を、考古学の成果や史料を駆使して再現する内容。実際に当時のローマを見て回っているかのような臨場感が凄い。

  • 面白かった。古代ローマに関する資料や遺跡からわかってきたその当時の生活を著者がその時代にタイムスリップしたという設定で解説してくれる本。史実に基づいた本当の古代ローマを知ることができる。歴史的建物の詳しい描写や奴隷の過酷な生活、コロッセウムでの闘いや処刑などがわかりやすい言葉、文章で書かれていて時々、その場面に自分もいるような錯覚に陥った。古代ローマ人の生活は現代人と変わらない部分もあれば「あり得ない」と驚く部分もあり。上流社会の人たちの宴会では寝そべって食べる、ゲップは喜ばれるものという文化には驚いた。

  • ウェルスの賜物

  • テレビのドキュメンタリーみたいで面白かった。興味深い

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著者プロフィール

1962年、パリ生まれのイタリア人。自然科学が専門。テレビの人気サイエンス番組や教育番組の監修やキャスターを務める。科学ライターとしても活躍、前著『古代ローマ人の24時間』は大ベストセラーに。

「2014年 『古代ローマ人の愛と性』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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