さかのぼり韓国現代史: いまの日韓関係の「どうして?」が解ける (KAWADE夢新書)

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309504025

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  • 2020年6月、北朝鮮は開城の南北連絡事務所を爆破した。それだけでなく、平和解決を模索する文大統領にも「厚かましい内容ばかりくどくど並べ立てた」と非難を浴びせる始末。これに対し、韓国側のトーンは極めて抑制的。直接のきっかけとなった脱北者団体のビラ散布を抑圧しようとし、世論もそれを支持している。

    どうしてこんなことになったのだろう。こんな満州事変も真っ青の展開を目の当たりにして、韓国民は怖くならないのだろうか。

    その答えの一端を、この本は教えてくれる。韓国文政権の進める「積弊清算」。保守派に親日のレッテルを張って攻撃し、この先立ち上がれないようにする政策だが、この親北反日路線は今に始まった話ではない。遡れば朴槿恵の父親否定も、李明博の竹島上陸も同じ流れの中にあり、その前には金大中の太陽政策と、彼らが若い頃に経験した民主化弾圧がある。また筆者はそこに、中国を親とし日本を東夷とする、朱子学的価値観を見る。

    韓国が北の側に行ってしまえば、次に矢面に立つのは日本だ。そうすると中国との間合いも難しくなる。THAAD問題に遭遇した韓国の苦境が日本のものになるのは悪夢だ。そもそも日中関係が今安定しているのは、中国の関心が今は南シナ海に向いているからに過ぎない。

    そういう意味では、本書は今後の解決策を展望するものではない。韓国現代史を遡れば、日本の敗戦でいきなり近代国家造りに直面した国の不幸を思うしかない。

  • 著者の内藤博文さんという方はどういう方なのだろう?いや、韓国のことをよくご存知で。
    いまの韓国がなぜこのようなのかを、歴史を逆に現在から建国(日本統治後の)へと遡って、時の政権の性格を歴史のエポックメイキングとなった出来事と絡めて解説している意欲作。
    もちろん、コンパクトな新書のボリュームに韓国の70年を収めているのでかなり単純化し過ぎなきらいはありますが、30年以上韓国をウォッチして来ている私が読んでも大筋は外していないと思います。最新・日本人のための韓国政権史入門。

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著者プロフィール

1961年生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て、現在はおもに歴史ライターとして活躍中。西洋史から東アジア史、芸術、宗教まで幅広い分野に通暁し、精力的な執筆活動を展開。同時に、オピニオン誌への寄稿など、さまざまな情報発信も積極的に行っている。おもな著書に、『「ヨーロッパ王室」から見た世界史』『世界史で深まるクラシックの名曲』『世界史で読み解く名画の秘密』(いずれも青春新書インテリジェンス)、『「半島」の地政学』(河出書房新社)などがある。

「2023年 『世界史を動かしたワイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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