- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309617091
感想・レビュー・書評
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日本中が熱狂に包まれるWBC。
日米通算188勝・ダルビッシュ有。
若き三冠王・村上宗隆。
投げる哲学者・今永昇太。
青い目の侍・ラーズ・ヌートバー。
そして、世界の二刀流・大谷翔平。
その侍ジャパンの監督は、栗山英樹。
本書は、北海道日本ハムファイターズ監督時代の2017年に出版された。
長嶋茂雄と王貞治に憧れた少年時代。
小学校1年生の時、父が監督を務めるチームで野球をはじめた。
中学時代には、アメリカ代表のチームと親善試合をするまでになった。
高校時代は、4番でエース。
甲子園を目指したが、適わなかった。
一般受験で東京学芸大学へ入学。
活動費を稼ぐために、塾講師のアルバイトした。
教員免許も取得した。
だが、野球への夢を諦めきれなかった。
ある練習試合で、佐々木信也氏と出会う。
「キミなら、プロ野球でやっても面白いかもしれないね」
プロ野球ニュースの司会者で有名な氏の言葉と、高校時代の恩師のアドバイスを受け、プロテスト挑戦の道が開ける。
ドラフト外ながら、ヤクルトスワローズへの入団が決まった。
「夢がかなった、それは地獄のはじまりだった」
あまりのレベルの違いに、イップス(思いどうりのプレーができなくなる運動障害)に陥った。
当時の内藤博文二軍監督が、居残りで特訓をしてくれた。
「なあクリ、プロ野球ってのは競争社会だよな。一軍に上がらないと認められないよな。でも、オレはそんなことはどうでもいいんだよ。お前が人間としてどれだけ大きくなれるかどうかのほうが、オレにはよっぽど大事なんだ。だから、周りがどう思おうと関係ない。明日の練習で今日よりほんのちょっとでもうまくなっていてくれたら、オレはそれで満足なんだよ。他の選手と自分を比べるな」
そして、念願の一軍デビューを果たす。
やれることは何でもやった。
スイッチヒッターにも挑戦した。
そして、結果を出していった。
だが、試練が彼を襲う。
メニエール病。
原因不明の病と闘いながら、自身との葛藤を乗り越えながら、グラウンドを駆け抜けてった。
1試合4犠打のプロ野球タイ記録。
1989年にはゴールデングラブ賞を受賞。
小さな身体での全力プレーで、限界の先の先まで走り抜いた。
1990年のシーズン終了後に引退。
解説者、スポーツジャーナリスト、大学教授としても活躍した。
野球の素晴らしさを伝えていくために、学び続けた。
2011年オフに、北海道日本ハムファイターズの監督に就任。
本書では、2016年に日本一を達成するまでが記されている。
「人の心を揺さぶるためには、最終的には『熱さ』しかない。理論でもない。理屈でもない。この選手にはこうなってほしい、このチームにこうなってほしい、という精いっぱいの心の叫びでしか、人の心を動かすことはできません」
われ以外みなわが師 (吉川英治)。
学び続ける謙虚な心。
飽くなき好奇心。
生涯青年の心意気で戦い続ける「魂」に触れ、内奥から生命力が沸き上がってくる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
組織論9/10点(大谷翔平を育てた。大谷の父親も野球人。栗山の父親も野球人。家族は大事。)
惹き込まれ10/10点(WBC世界一!当たった栗山采配の基)
キャラクター10/10点(性格はまじめなんだろうと思う。野球人育成に携わってほしい。)
読みやすさ8/10点(読みやすいが、読み応えがあるかというと疑問符がつく。) -
とても、興味深い一冊でした。☆が5つでは足らないほど。栗山監督の人生からは、常に一生懸命に物事に向かい合う姿が伺えます。以前から、僕が監督の姿をテレビ画面越しに見て感じていたことと、この本で語られていたことが寸分違わず一緒だったことに感動を覚えました。やはり、印象通りの人で「人の為になら頑張れる」人なのです。監督の持論の一つである、「自分が信じることに一生懸命取り組んで頑張っていれば、手を差し伸べて協力してくれる人が現れる」ということには、強く共感するものがありました。この本は、若い人にも読んでもらいたいと思いますが、年齢をそれなりに重ねている人でも、栗山監督のことを知りたいと思っている人には、是非とも勧めたい一冊です。
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北海道に住んでいるので読んでみた。
とてつもなく強い意志の持ち主。
ビジネス本じゃないので精神論というか、まさに魂に溢れているんだけど、根本にある人間らしさが見え隠れする。この人魅力的なんだろうな、と思った。
野球見に行きたくなった。 -
北海道日本ハムファイターズの監督・栗山英樹自らの手になる半生記。中学生以上向けの叢書「14歳の世渡り術」の一冊。プロ野球選手に憧れつつも,高校入学時には東海大相模のセレクションに受かっていたのに逃げ,大学進学時も明大に受かったのに教職という堅い道に逃げたことを悔いつつも,諦めずにわずかなチャンスをつかんでプロ野球選手になる。体格的に恵まれず,足の速さとスイッチヒッター化に光明を見出すも,メニエール病に苦しめられた現役生活の物語は,やはりつらいものだ。そして,2016年のファイターズ日本一へ。「選手としての実績は平均以下で,監督しての能力も足りないことだらけですが,野球を愛する気持ちは誰にも負けません。それだけは自信があります」。同封されているステッカーの文言は「夢は正夢」。頑張れ栗山ファイターズ。今年も私はまだ諦めていません。
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昨日は札幌ドームで、日本ハムファイターズの栗山英樹監督を取材。
周知のとおり、日本ハムは大谷翔平、中田翔ら主力選手に故障続出で、昨日まで悪夢の6連敗。
しかも、「7連敗をどう免れるか」という大事な試合の前の練習の合間に、試合と関係のない内容のインタビューを行うという、タイミング的にかなりシビアなもの。
取材スタッフ一同、「監督がピリピリしていたらどうしよう」と緊張して臨んだ。
が、ドームの「インタビュールーム」(という部屋がある)にやってきた栗山監督は、終始ていねいに、にこやかに質問に答えてくださった。
監督就任以前に長くスポーツキャスターをされていたこともあり、取材陣への細やかな気配りもさすがであった。
栗山監督の近著『栗山魂』(河出書房新社/1404円)、『「最高のチーム」の作り方』(KKベストセラーズ/1458円)と、これまでの取材記事多数を読んで、取材に臨む。
このうち『栗山魂』は、「14歳の世渡り術」シリーズの一冊で、中学生くらいの子どもたちに向けて書かれた自伝。大人が読んでも十分感動的な内容である。
インタビューのあとには練習の様子も見させていただき、その臨場感に興奮。
そして、昨夜の試合ではやっと日ハムが連敗を脱出。私も、我がことのように胸をなでおろしたのであった。 -
北海道日本ハムファイターズ監督栗山英樹さんの自叙伝。
東海大相模に行きたかったけど創価高校へ
明治大に行きたかったけど学芸大学へ
そこまで親の忠告を守り進路を決めてきたけど、
初めて逆らってドラフト外でヤクルトスワローズに、
そこで生まれて初めての挫折を経験。
それを乗り越えたところで病魔との闘い。
そういった経験が栗山英樹さんを素晴らしい監督にしていったんだなあ。
そういえば広岡達朗さんの『巨人への遺言』に「高橋由伸を監督にするのは時期尚早。もう少しコーチなど経験させたほうがいいのでは」みたいなこと書かれてあった。
昨日の巨人、やっと勝って連敗は13でストップしたけど、この経験は高橋由伸さんを成長させるのでしょうか?
気に入った言葉をメモ。
「自分より上のレベルの選手と比べるから、自分にダメ出しばかりしてしまうんだ。
そうではなくて昨日の自分と今日の自分を比べればいいんだ」
「難しいことを難しいと言ったら、何もできないじゃないか。
簡単なことだったら努力なんて必要ないし、
難しいことにぶつかった場面でこそ、
人間は一番パワーを発揮する」
「王道だけがプロで生きる道ではありません。
誰も通らないような道も、実は一軍につながっているのです。」
「練習をすればするほどうまくなる、というわけではありません。
練習時間と選手の成長は、必ずしも比例しません。
それでも、成長を実感できない時間もまた、無駄ではないのです。
一歩も前へ踏み出すことができなくても、足元は固まっていきます。(略)
簡単にできないから面白いし、挫けそうになるから面白いのです。
挫けそうになるぐらい大変なことだから、やり甲斐があるのだと僕は考えています」
「本質的には感覚的な人間で、だから、足りない部分として理論を学んでいるのかもしれません」
「人生経験のある大人だって、実は不安に苛まれているのです。
僕だって例外ではありません。
好きなものを見つけることに、期限はありません。やり直しもできます。
そして、不安が大きいほど、悩みが深いほど、人は強くなっていきます。
不安は人を鍛え、やがて人を動かします。
試練を乗り越えるほどに、人は逞しくなっていくのです」
「進歩の大敵は言い訳です。
どうして進歩をしていないのかと考えると、
最初から言い訳を用意していることが多いのです」