コミカライズ魂: 『仮面ライダー』に始まる児童マンガ史 (河出新書 056)
- 河出書房新社 (2022年10月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309631578
感想・レビュー・書評
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『ゲームセンターあらし』で知られるすがや氏は、石ノ森章太郎原作の特撮・アニメ作品を中心に、数多くのコミカライズ(マンガ化)を手がけた。
その分野を中心に、マンガ家としての歩みを文章で振り返る本である。
本のテーマから外れるオリジナル作品『ゲームセンターあらし』の話は、少ししか出てこない。
逆に、自らが読者として接した先駆者たちのコミカライズの歴史にも、一章を割いている。
従来、テレビ番組を中心とした子ども向けコミカライズは、マンガ史本の中では軽視されがちだった。その歴史をまとめて詳細に辿った、貴重な本だ。
もちろん、すがやみつるさんの自伝エッセイとして読んでも面白い。
また、師匠である石ノ森章太郎は、本書のもう一人の主人公と言ってよいほどのウェートで登場する。その超人的仕事ぶりに圧倒される。
石ノ森ファンなら必読の一冊だ。
マンガ史の貴重な証言もてんこ盛りで、資料的価値も高い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何やら大上段に振りかぶったようなタイトルだが、内容は誠実な自伝(なぜこのタイトルになったかは最後まで読むとわかる仕掛けだ)。仮面ライダーなどのテレビ番組の漫画化やゲームセンターあらしで有名なすがやみつるが自らの半生を「コミカライズ」に焦点を当てながら書いた本だ。作画にとどまらず原作を書いたり小説を出したり、大学で教壇に上ったりするほどの氏なので、この本もとても上手く書かれており楽しく読むことができた。師匠である石ノ森章太郎や当時の仲間内だけでなく、石川賢の変身忍者嵐や村枝賢一の仮面ライダーにも筆が及ぶし、ゲームセンターあらしは初回のブロック崩しをリアルタイムで読んだ身なので、懐かしさも相まって全篇満喫いたしました。
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個人的には中学までマンガ読ませない家庭で育ったので、ほんとはドンピシャな世代のはずなんだけど、歴史っぽく読んだ。
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すがやみつるのコミカライズ漫画家時代を振り返る回顧録。
すがやみつるというと「ゲームセンターあらし」の印象が強いだろうが、個人的には「冒険王」で連載していた「仮面ライダー」シリーズのコミカライズの印象が強い。当時は石森版の「仮面ライダー」は読んでおらずというか存在自体知らず、「仮面ライダー」の漫画=すがやみつるという印象だった。
しきりに絵が下手と出てくるけれど、絵が下手という印象はまったくなくてむしろ巧い漫画家という印象だったなぁ、少なくとも同時期に冒険王で永井豪作品のコミカライズをよくやっていた桜多吾作も当然読んでいたけど名前を意識したのはもっと後になってからだったけど、すがやみつるという名前と絵は子供心に固有のものとして意識していた。(まぁ、「マジンガーZ」は当時永井豪の方を読んでいたという所為かもしれんが) -
子供の頃読んでいた「テレビランド」「テレビマガジン」などはコミカライズ作品が多かったのでその舞台裏を知ることが出来てとても面白かった。
ちなみにすがやみつる先生のコミカライズではなくオリジナル作品「ゲームセンターあらし」は子供の頃、夢中で読んでました。