2040年 自治体の未来はこう変わる!

著者 :
  • 学陽書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784313150928

作品紹介・あらすじ

プロローグ――もう一つの自治体の未来へ

PART1 地域社会の未来《空想からリアルへ》
〔人口問題〕「東京へ行くな」と言っても人口減少は止まらない!
〔大都市〕首都圏で地域再編が起きている!
〔地方都市〕増加する「都市のスポンジ化」をどう防ぐか?
〔農山漁村〕未来を描くために必要な備えを!
〔関係人口〕地域とつながる機会としくみをつくる
〔地域運営組織〕その可能性と自治体の「覚悟」

PART2 地域政策の未来《成長幻想から生活の質へ》
〔高齢化〕高齢者も減少し始める時代がやってくる!
〔少子化〕これから描くべき、包括的な子育ての未来
〔貧困〕「現代の貧困」を考える
〔防災〕被害を最小限に食い止める「減災」に取り組む
〔原発事故の教訓〕実効性のある業務継続計画を策定する

PART3 自治体行政の未来《公務活動から社会起業へ》
〔自治体職員〕増える業務量を誰が担うのか? 〔人事評価〕職員が活躍できるチャンスを見出す評価を!
〔執行体制〕自治体の仕事は、社会的分業が進む!
〔非正規職員〕会計年度任用職員制度で問題の本質は解決しない!
〔アウトソーシング〕「公務員」の範囲が小さくなる時代がやってくる⁉
〔窓口業務〕自治体職員以外が「公権力」を行使する時代へ!

PART4 自治体財政の未来《ビルドからメンテナンスへ》
〔財政〕縮小社会の財政見通し
〔連携・補完〕自治体を取り巻く3つのベクトル
〔自治体間連携〕上下関係を生む「統制」の要素に注意せよ!
〔ふるさと納税〕可能性・工夫の余地はまだまだある!

PART5 自治体の未来構想《行政から政治へ》
〔政策立案〕政策は、未来を予測することから始まる!
〔議会の未来〕議員のなり手不足をどう解消するか?
〔自治体政治の魅力〕まちづくりと議会をつなぐ
〔都道府県の未来〕補完機能の発揮こそが存在理由となる!

PART6 自治のゆくえ《標準化から多様性へ》
〔統治〕自治体の自立性・自律性
〔計画による統制〕国は「計画のインフレ」で自治体を振り回すな!
〔2040構想〕もう一つの未来構想を描く
〔AI〕人口知能は自治体に何をもたらすか?
〔標準化・共通化への誘惑〕多様であることが問題ではない!
〔圏域マネジメントの不可能性〕「勝者なき競争」に駆り立てたのは誰か?

エピローグ――楽観主義でも悲観主義でもなく

感想・レビュー・書評

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  • 『今日と同じように明日も暮らし続けられることを住民に保証すること』を自治体のミッションと捉え、地域社会や自治体行財政の未来についての展望を記している。
    本書を読んで、この『ミッション』の意味を個人的に考えてみた結果『社会情勢や環境の変化によって住民が新たな不安や不満を抱かないように、先を見通して柔軟に対応できるよう準備すること』なのかなと思った。先を見通す事は、現状を正確に捉える事から始まる。柔軟性を持つには変化を恐れない、前例踏襲、現状維持思考を捨てること。
    自治体職員だけでなく自治体職員を目指す人も読んでおくといいと思った。

  • 同じ著者の『地方自治講義』を先に読んでいた為、理解が深まった。

  • 自治体の将来について、現場の職員視点での問題点や業務レベルでの課題なども書かれてあり、参考になった。
    そもそも、国が市町村へ委ねる政策などが実態と乖離しており、施策が破綻していることが多いということを理解すること、国の施策が必ずしも正しいという先入観を持たずどうあるべきかを考えながら施策を見る必要があることが学びになった。実務でも行政と向き合うことが多いが、それぞれの立場から考えた上で向き合うようにしたい。

  • 本書は、2018年7月に総務省の自治体戦略2040構想研究会報告書の方向性に対して、批判的なスタンスである。
    本書の中で、特に注目するのが、「6章 自治のゆくえ」のうち「計画による統制」である。国が自治体に策定を求める計画が増加しており、法令上は「任意(できる規定)」や「努力義務」規定であっても、地方創生の地方版総合戦略のように、事実上全自治体での策定が求められているものがあることを、国と自治体は「対等・協力」の関係とした分権改革と遠い世界になってしまったと表現し、厳しく非難している。単に仕事を増やすだけでなく、計画策定を通して、国から自治体に責任が転化されることを問題視しており、著者の指摘は非常に納得するものである。

    また、また、現在の地方自治制度の問題点として、多様な地域社会を反映する多様な自治体に対して、全国一律、画一的な「標準化・共通化」を押し付けていることを挙げている。そもそも、国レベルで、標準化・共通化が必要な業務は自治体そのものの業務とは言えないとも指摘している。
    この点で、総務省の報告書が、自治体行政の標準化・共通化、行政のスタンダード化を志向していることと基本的な考え方を異にしている。

    個人的には、地方分権改革を経てもなお、現行の国の機関、自治制度上、地方自治体は国の政策のアウトプットを担う側面は大きく、その点総務省の報告書の言うように標準化や共通化は必要でないかと思う。また、報告書の趣旨としても、すべての業務を標準化、共通化できる業務と捉えておらず、できるものについて進めることで企画や住民サービスに人材を充てることを目的としているのではないか。

    著者の言うように標準化できるものはむしろ国がやるべきという主張は正しいように思われるが、国の機関で担うには新たな地方機関の新設や人の関係上難しいだろう。

  • 東2法経図・6F開架 318A/I43n//K

  • タイトルとは異なり、2040年の自治体の状況を予想したものではない。
    いろいろな分野での自治体の課題を説明した入門書として良いのではないか。

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著者プロフィール

自治総研主任研究員

「2021年 『原発事故 自治体からの証言』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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