子どもが育つ学級をつくる「仕掛け」の技術

著者 :
  • 学陽書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784313654334

作品紹介・あらすじ

子どもがやりたいことを決め、クラス全員で学級をまわしていけるようになるには、教師の「仕掛け」が大切だった!
子どもがどんどん動き出す仕掛けや、クラスの友達と協力しあえる仕掛けが満載!

子どもの「先生、これどうやるの?」「今何をしたらいいかわからない…」がなくなり、教師の指示なしで、子どもが自分で考えてどんどん動けるようになる!

たった3つのステップで、子どももクラスも成長していける!

感想・レビュー・書評

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  • 大事なことの確認ができた。

    ん?と立ち止まらせてくれたフレーズ
    『「教師の求める理想の像」として伝えないことが大切』

    大人が最上位の目的を持つことは大事で
    そのために何をしていくか整理していくことで
    大人としての一貫性が出ると思っていた。
    だからこそ、ん?と立ち止まった。

    これは結局理想像を強く描くすぎるあまりに
    目の前の子どもが見えなくなるからだと思う。
    こうなっていきたいよねということは
    子どもと一緒に考え、一緒に考えを分かち合ってないと意味がないのかな。

    目の前の子どもたちも教師の理想像が強すぎると
    「先生の理想に近づくための自分たち」と
    感じていく気がする。
    第一に目の前にいる子どもたちを見ることができているか。
    ここが最優先になってるかどうかって
    子どもたちもすごく感じるところだと思う。

    自分もそう感じさせていないか、考えさせられる。
    教師のこうしたい、よりも
    子どものこうなりたいを大切にすることができているか。

  • 若松先生のこれまでの主張をより具体化したものが本書である。本書を読むことを通して、若松先生の発せられた言葉の断片が、結合し合い、自分の中で、一つイメージとして膨らんでいった。以下は、読書中、引っ掛かりのあった部分。

    p.3 「『やっぱり教師がどんどん仕切っていかないと』と方針転換してしまう話も聞きます。私自身、何度もこうした道をたどってきました。」
    →これは自分自身にも当てはまる経験の一つ。具体的なビジョンがないことが原因の一つだと思う。問い実践と同じように、一度でも、「これはよかったかも。」という経験ができれば、次に次にとつなげていけそう。

    p.23「子どもたちに対して、理想的な自主性を求めていると、こうした小さな自主性をみつけることができなくなります。」
    →まさに引き算思考のそれ。本質のみを追い求めようとすると、その周りにある大切なものを見落としてしまう。その周りにある大切なものこそ、本質につながっていたりする。子どもを見取る目を磨いていく必要がある。→『一人ひとりを生かす評価』を読み直す。

    p.25「その子の今取り組んでいる行動を言語化するような声掛けをします。こうすることで、『自分の行動選択を受け止めてもらえているのだな』と感じることができます。また、その行動選択が教師によって協調されることで・・・」
    →子どもから質問があったとき、自分はまず「どうすればいいと思う?」と切り返していた。これは、一見すると、コーチング的手法を生かした関わりに思える。しかし、大切なことが欠如していた。
     子どもは、どんな思いで質問しに来たのか想像してみる。もしかすると、藁をもすがる思いで、自分のところまで来てくれたのかもしれない。
     自分がすべきだったことは、まず、「質問に来たという事実を認める=価値づけること」だった。若松先生は、「きちんと先生のところに質問に来られたね。」と、その行動選択を受け止めている。
     また、悩んでいる様子が見られる子がいれば、「悩んでいるね。」「じっくりと考えているなあ」と声をかけている。行動を選択しようと試行錯誤している子、その過程に価値を見出し、価値づけているのである。「~しようとしてる。」その姿にこそ、自立性の芽が芽生えようとしているのである。自分はこの芽をいくつ見落としてきただろうか。

  • ・「わからない」がでやすくするために
    わかった完璧な人。まだもう少しわからないことがある人。で聞き、その時にわからないことを伝えられていることを価値づける。どこがわからない?
    理解度合いを点数で
    理解度合いをペアやグループで話す「どこでわからないの?」
    わからないが出やすい環境
    道徳とかではっきり2択とかでなく、数直線書いて、その中で選ばせる。
    ・テスト後は答え渡さない。(グループで聞いたり)
    ・知らないふりをして、子ども同士を繋ぐ(教師を頼らせない)
    「誰かにきいてみた?」
    ・週に10分かかりで集まる時間を作る
    ・話し合いの中で、自然と生まれた声を拾って価値づける。(算数の人やっていた)
    「一覧作って書き加えてもいいかも」
    ・学級目標振り返りシート作る
    ・ペアトークに「今日頑張ること」加える
    ・九九できた子なにできる?
    「テストしてあげる
    「できている子励ます
    ・する目的や、どんなこと頑張るかを子供と考えて振り返るの大事
    ・毎日を楽しむ
    。基本叱らない

  • 私にもこんな学級経営できるかな。
    改めて自分のテーマも「自律」と「協働」だなと感じた。

  • 同著書の「教師のいらないシリーズ」と比べ、よりスキル的なところに目を向けた本書。しかし、根っことなる考え方は「子ども一人ひとりをしっかりと観る」ことと感じた。自律と協働が子どもたちの中で育っていくための「問いかけ」「チャレンジ」「グルーピング」「わからないを言葉にする」「聴き合う」などの仕掛けは、自身の教室で是非とも参考にしたい。
    「自律」と「協働」をテーマに「学級経営での仕掛け」と「授業での仕掛け」と整理されていたが、どの内容も他の内容と繋がっていくことが面白い。ここから、著書の中にブレない軸があることを感じる。題名は「仕掛けの技術」となっているが、この軸を感じとっていくことが僕自身の学びとしては大きかった。中でも印象的だったこと2点についてまとめたい。
    1.「うまくいかない」場をつくる。
    2.子どもたちを「変えよう」としない。

    1.「うまくいかない」場をつくる。
    その一時の「うまくいく」を目指すのであれば、教師がすぐに声することが必要です。でも、子どもたちをが本当に「うまくいく」ようになることを目指すのであれば、「うまくいかない」ことをきちんと経験できるようにすることが大切になります。【引用】
    先生の仕事は、何事もなく1年間過ごすことではない。目に見えるところを指導して見栄え良くすることでもない。子どもたちの「心の成長」を支えることだと考える。その指導や声かけは誰のためにしているのか。何を目指してしているのか。このことを考えさせられる。目に見えるところを指導して、子どもたちの行動に変化があった。それは果たして成長といえるのか。子どもたち一人ひとりを丁寧に観ることで、その子の「心の成長」まで見取っていきたい。

    2.子どもたちを「変えよう」としない。
    大人の理想の押し付けにはなっていないかを考えさせられた。理想を求めるから大事なことを見失ってしまう。たしかにそうだ。「自律」というキーワードにしても、それぞれに理想がある。その理想の姿を求めてしまうから、目の前の子どもたちの小さな自律の姿を見失ってしまう。そして、「できてない」と思う。この「できてない」はあくまで、教師の勝手な理想に対する「できてない」である。そこに子どもたちの想いはない。「心の成長」のためには、やはり、子どもたちが自ら「変わる」ことが必要である。教師はあくまでそのきっかけをつくるに過ぎない。そして、そこには子どもの想いが必要であり、時間がかかるものである。長い目で見て、小さな成長を喜び、成長を支える先生でありたい。

    おわりににはこんな一節があった。「今を大切にして子どもたちと毎日を過ごしていきたいです。そんな中で、読者のみなさまとも、よりよい教育を共に追究していければいいなと思います。」本書は、こうすれば上手くいきますということを伝えたいわけではない。教室でも、社会でも、答えのない問いに対して、対等な立場で他者と共に考えていこうとするあり方を感じる。人として成長していこう、もっと教室を楽しもうと思える一冊だった。

  • 子どもたちの成長につながる「仕掛け」を考えていこう。
    これが本書のテーマですが、そこに込められている想いは深いです。

    本書で「仕掛け」と書いているのは、「教師が目立たない支援や指導」を意識できるようにするためです。
    なぜ、そのような意識が必要かと言うと、子どもたちの日々の生活や社会をより良くするのは子どもたち自身であるからこそ、当事者意識を持ち、クラスや社会と関わってほしいという願いがあるから。だからこそ、子どもたちの自律と協働を若松先生は求めているのだと思います。

    若松先生の本をいくつか読んでいて思うのは、
    「僕はこう考えて、取り組んでいるけど、これが絶対ではないよ。」
    という考え方のスタンスです。
    教育書を読むと勇気をもらいます。自分のクラスでも取り入れようと意気込み、やってみるとけど、中々うまくいかない。自分もよくそういったことがあります。
    この本で紹介されていることもすぐに取り入れやすいものもあると思いますが、それらを取り入れてすぐにうまくいくかと言われると、そうではないと思います。

    それはなぜかというと、自分自身がどんなクラスを作りたいか?どんな子どもたちを育てたいか?そのために自分のクラスではどのような「仕組み」を築き上げていくかという自分のフィルターを通した内省がなされていないからだと思っています。

    この本でも要所で振り返りの話が出てきます。
    子どもたちが振り返りをすることも大事ですが、まず何より教師自身が振り返りをしない限りは子どもたちの自律と協働を促す振り返りは生まれてこないと個人的には思っています。

    この本は読んだ人が自身に置き換えて内省を始める思考の土台を提案してくれているように思います。

    まずは僕自身も自分のフィルターを通して二学期どうするか考えたいです。

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著者プロフィール

大阪教育大学小学校教員養成課程教育学コース卒業。大阪府の公立小学校で5年間勤務。現在,京都教育大学附属桃山小学校教諭。「国語教師竹の会」事務局。「授業力&学級づくり研究会」会員。「子どもが生きる」をテーマに研究,実践を積み重ねている。『教師のいらない授業のつくり方』(明治図書)、『教師のいらない学級のつくり方』(明治図書)などの著書がある。

「2023年 『子どもの見方が変わる! 「見取り」の技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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