- Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314010177
作品紹介・あらすじ
脳科学や心理学がいくら進歩したといっても、「視覚のクオリア」という用語が示すように、「私たちはいったい何を見ているのか」を記述しようとすれば、たちまち言葉に詰まり、立ち往生してしまうだろう。本書は、才気あふれる進化心理学者が、「赤を見る」というただひとつの経験にしぼり、この難題に挑んだ野心作である。「赤を見ている心」をどう記述すればよいのか。あなたの見ている赤と私の見ている赤は同じものか。赤の感覚と、感情や知覚との関係とは?相手と分かりあえる共感は最近注目のミラーニューロンの仕事?さらには、感覚と心の進化の物語をたどり、「意識の迷宮」へと問いを進めていく。問いを詰めていった先に著者が見出した意識の存在理由をめぐる結論は、「コロンブスの卵」的なものであった。意識は、この人生を生きることが大切で有意義なものであると思わせるべく存在し(だからこそ「他者の自己」を尊重する気持ちも生じ)、そのために不可解な性質を持たねばならなかった、と。スリリングで示唆に富む心の哲学・心理学の一冊。
感想・レビュー・書評
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『喪失と獲得』はそれなりに難解だったものの、こちらは講演を基にしている点と、『喪失と獲得』以上に回りくどさがないためかなり読みやすい。
「痛みや気分や願いが、それを抱く人間なしに、勝手に世界をうろつくなどというのは、不条理に思える。経験は経験者無くしてはありえない」といった感じで理解もしやすい。
『赤を見る』なんてタイトルだけだと80年代っぽくてちょいダメ本な感じがするんだけど、(フッサールの)現象学のおさらいとして、または予習として読むのにいいかも。 -
2004年にハーバード大学で行った「赤を見る」という講義が本になった。内容自体は「感覚」の正体についてというなかなか難しいテーマを本題にしているが、実際の内容もやっぱり哲学的で難しい。でも講義では話し上手なのか、絵や文に引き込まれてわくわくしながら一気に読んでしまう本である。(第2閲覧室 141.21/H)
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難しくてよくわからない。認知心理学の本?
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先に読んだ『ソウルダスト』の意味が今ひとつ分からないので、先行するこちらを読んでみた。ソウルダストに引き続き、よくわからない。あとがきでみると、講演をまとめたとある。そのせいかもしれないが、話が冗長で知識が後半にわたるため、どうも全体像が捉えられない。続きはブログ→http://hiderot.blogspot.jp/2012/07/blog-post_08.html
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ときどき著者の言い回しに外国人臭さを感じる違和感(翻訳のせいか?)を除けば、内容そのものはとにかく面白い。
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もう、4回くらい読み返さないといけない。
や、それじゃ足りません。
生きながら、実感を得ていきたいです。 -
良書。
一冊推薦せよ、と言われたら候補の一冊として検討リストに入れたい。
認識するということを、文字のみならず、配色など5感で味あわせてくれる。 -
むかーし思った。「自分の見てるこの世界の色は、みんなが見てる色と、果たしてホントに同じ色なのだろうか」きっと同じような事考えてる人結構いるんだろうな、と再確認。内容は認知心理学のカタい感じだけど、じっくりと、面白い。装丁もとてもよい。