アウトサイダー・アートの世界―東と西のアール・ブリュット

著者 :
  • 紀伊國屋書店
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本棚登録 : 128
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314010375

作品紹介・あらすじ

「アウトサイダー・アート」とは-正規の美術教育を受けていない作家の「表現したい衝動」による独自の芸術。フランス美術界の巨匠、ジャン・デュビュッフェが提唱した「アール・ブリュット(生の芸術)」は、とくに有名で美術界への影響も大きい。ボーダーレス・アートやアートセラピーなどとの関わりで、福祉・教育・医療関係者からも注目を集めている。カラー作品図版100点。

感想・レビュー・書評

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  • THE WORLD OF OUTSIDER ART 紀伊國屋書店

    滋賀・琵琶湖に小さな「ボーダレスミュージアムno-ma」がある
    障害者と健常者
    しいてはプロもアマもない全ての人間を対等に見なす
    表現の場ということなのだろう
    この末法の世の過渡期に在って輝いてしかるべきものだと
    深く賛同する一方で虚しさも募る

    こうした上から目線建前論による偽善的思想は
    慈善から始まり昔から延々とあった
    その片方で強い立場の多勢が弱い立場の無勢を侵略して
    利用するという本音の方が表街道を闊歩してきた
    それが今物質依存による資本主義環境で極限に達しようとしている

    そんな中でインサイダーの人々が自分の立場に則す中で
    暮らしそのものの個人を相手に
    組織の中から生活を別にする仕事としての動き掛けをすれば
    手弁当と弁当付きの格差の中で
    個人をもてあそぶことにならざるをえないのではないだろうか

    個人同士で向き合い侵略なく洗脳なく揺らぎながらも
    相手に感心を持ち友人になろうとすることで
    お互いの存在を擦り合わせてそれぞれを磨き出すことを
    可能にするだろう

    しかし公の組織なら資本主義の依存体質を
    引きずらずにいるわけにはいかなくなる
    営利目的が彼らの作品を投資の素材にして翻弄することになるか
    良かれと奔走する自分本位の人類学のように研究の対象とするか
    自己満足を得るためのあるいは建前を宣伝する素材とするか
    いずれにしても本人抜きの思惑が先走ることになる

    こうした運動が大きくなりすぎて
    戻るに戻れない暴力行為にならないことを願うのみである

  • これはすごい。
    驚いた。
    精神病患者や、引きこもりや、アウトサイダーが、凄まじくアートしてる。
    しかし、そもそも、アートっつうーのは、アウトサイダーのものであるべきだ。
    昔の王家に飼われて音楽や芸術をしたり、現在だと大企業や大学の庇護のもとでアートしてる連中に対して、アウトサイダーの芸術はなんて強いんだろう。
    洞窟の中に描かれた古代の絵のように強い。
    だって、それは、金のためでも名誉のためでもなく、ただ単に描きたくてしょうがなくて描いてるからだ。描かざるを得ない衝動から生み出されたものだから。

    斉藤環が文章を書いてる。

  • このエネルギーはすごいです!こんな純粋だったら…

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