- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314010542
作品紹介・あらすじ
世の中すべて「直感」からはじまる!銀行の倒産、株価暴落、不動産市場の動向、大統領選挙、イラク戦争、医者の診断、裁判の判決、人事考課、性格診断、宝くじの当選…。えっ!こんなことも?豊富なエピソードで一気に読める「脳の罠」回避法。
感想・レビュー・書評
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アンカリング効果
商品の価格と商品の価値には大きな関連性はない。
定価が示されていると、アンカリング効果によって割引された時に安く思われてしまう。
また、相手は私が設定したアンカーを基準(たとえそれがどれほど乱雑に決められているとしても!)に物事を考える。
注意の焦点化
私たちは人生の大きなイベントに注目しやすい。(宝くじに当たる、大病にかかるなど)そのようなイベントはたとえ一時的な幸福度に影響があるとしても、ほとんど人生の幸福度に影響を与えない。
ハロー効果
あることが得意な人がいると、他の男の関連のないことに対してもその人がうまくやれるのではないかと思い込んでしまう。
商品に対してもそう。ある特定の商品を莫大な広告費を使って売り出し、その商品に人気が出ると、他のその会社が出している商品も良いものだと思い込まれて売り上げが伸びる!
自分に都合の良いことだけ覚えている!
特に自分の買った商品について自分がそれを買ったと言う決断を合理化するために、その商品の良いところだけを記憶してしまう。そしてさらにリピートをしてしまう。
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数々の例を示しながら、物語形式で進められていくので読みやすかった
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世の中すべて「直感」からはじまる!
銀行の倒産、株価暴落、不動産市場の動向、大統領選挙、イラク戦争、医者の診断、裁判の判決、人事考課、性格診断、宝くじの当選…。
えっ!こんなことも?豊富なエピソードで一気に読める「脳の罠」回避法。ーーー
好著「経済は感情で動く」の続編。
直観=ヒューリスティックを基軸に行動経済学で使われる用語を解説しながら、人間の行動原理について考察しています。
具体的には、コンコルドの誤謬(サンクコスト)、フレーミング効果(人は外見に騙される)、基準値の誤り(基準値を軽視することから起こる間違い)、アンカリング効果(最初の印象に左右される⇒中でも紙を100回折るとその厚さは天文学的数値となる事実は恐ろしい)、注意の焦点化効果(振り込め詐欺被害にみられる判断力の劣化)、バーナム効果(占いは万人に当てはまる曖昧な記述を駆使することで成立)、集団思考(属する集団の過大評価、内向きな意識、均一性への圧力のはらむ危険性)、集団規範(一致団結の原動力ともなるが、一歩間違えると組織ぐるみの不正や偽装などに加担する)など。
事程左様にある現象を説明するのに使われる法則がある一方、逆の現象を説明できる法則もあるわけで、要は不可思議な人間の行動は、すべからく説明可能だということ。よーく考えれば、学者たちがどんな行動も説明可能な原理に落とし込むわけだから(後知恵)当然の帰結なわけです。その結果、人間の不可思議な行動は、不可思議でもなんでもない当たり前な行動となり、難解な専門用語を駆使する優越感やこうした書籍で儲ける学者たちだけにとって意味あるものになっている、とは言いすぎでしょうか?
私のこの推論(暴論?)の傍証となる象徴的な記述が、「はじめに」に出てきます。
進化と脳についての考察で、人間の脳は節約を命じるように設計されている、例えば、視力として赤外線も見えた方が血管の浮き出た生体認識や、やけどの危険性のある物体認識などに有効だがあまりに脳の情報処理量が増えすぎて反応スピードが遅くなる、つまり現状はコストと利益の均衡が許容できる状態になっている(P15)と結論付ける。しかし、赤外線が見えることによる脳の負荷や反応速度がどのくらい違うのかという具体的な比較が無いため(基準値の誤り)、本書を読んだ読者なら、こうした結論は早計だと考えるべきでしょう。プロでさえこの体たらく、困ったものです。 -
『感想』
〇人は感情の生き物であり、自分を正当化することで自分を守るようで来ていることが確かめられた。
〇理論的に正しいとしても、それを受け入れられるかは別問題。決断の前に一息つけるかが鍵。
『フレーズ』
・ピーク・エンドの法則(p.33)
出来事のすべてを逐一記憶することは不可能なので、その経験のピーク時と最後のあたりの記憶が、その経験の快苦のすべてを決定してしまう。
・コンコルドの誤謬(p.45)
旅客機コンコルドは、開発中から、開発が終わっても採算が取れないことが分かっていたにもかかわらず、それまで投資した金額が膨大だったためそのまま開発が継続され、商用化後さらに赤字を膨らませた。
このように過去の投資が、将来の事業の成否を無視して、将来の投資を左右してしまうこと。
・フレーミング効果(p.50)
フレームが立派だとその絵の価値も高いと思ってしまうように、人がある選択をするとき、その絶対的評価ではなく、自分の基準に当てはめて別の判断をしてしまう可能性があること。
アンケートの内容が同じでも、質問の提示の仕方によって、全く異なった結果となってしまうケースもある。
ex)CMのよさから、その商品そのものが良く見えること。
・基準値の誤り(p.65)
本来ある出来事や事象が発生する頻度には「基準値」があるにも関わらず、個別の事象に与えられた確率を重視し、基準値を軽視してしまうこと。
数値にばかり注目してしまい、その背景にある基準に注意がいかなくなる。
ex)新薬でこの病気の人の8割は治ると言われたら、そもそも前提の病気にかかる確率を考えから外してしまう。
・大数の法則・小数の法則(p.72)
試行回数が大きければ大きいほど、ある結果が出る頻度が決まってきて、偶然とはいえなくなり、平均からそれる確率が減ること。
試行回数が少ないにもかかわず「台数の法則」が当てはまると錯誤し、「平均値へ回帰する」とみなすこと。
ex)確率50%で3回続けて外れたとき、そろそろ当たるはずだと続けること。
・アンカリング効果(p.129)
船が錨(アンカー)を降ろすと、錨と船を結ぶとも綱の範囲しか動けなくなることからくる比喩。
最初に印象に残った数字や言葉が、後の判断に影響を及ぼすこと。
ex)1万円が7,000円とお買い得だと衝動買い。本日限り、先着〇名。
・注意の焦点化効果(p.150)
特定の部分に対して注意を集中させると、その他の部分に注意が向かなくなる傾向をもつ。
ex)価格で決めようと思っていても、省エネ効果の話を聞くと、省エネに基準が移ること。
・帰属のエラー(p.167)
他者の行動に対しては性格・個性などの内面的要因を重視する。
自分の行動に対しては極めて普通の反応であり、普通と違ったとすれば外的要因が異なったと思い込むこと。
・バーナム効果(p.193)
だれにでも当てはまることがありそうな曖昧で一般的な性格に関する記述を、自分だけに当てはまるものとして受け止めること。
ex)占いや性格診断
・フォールス・コンセンサス効果
自分の考えが皆の考えと同じであると思い、自分と違う人は変わった人と思い込むこと。
・ハロー効果(p.237)
一つの長所で高く評価されると全体が良く見える。
・損失回避性(p.340)
ある額の利益から得る満足より、それと同額の損失から受ける苦痛のほうがはるかに大きい。 -
ヒューリスティックス…人が意思決定をするとき、理論ではなく直感で素早く答えを出す方法
予言の自己成就…自己の予測に沿った行動を取った結果、本当にその予測が実現すること(バイアスに基づく預金の引き出しによる倒産)
ピークエンドの法則…あらゆる経験の快苦は、ピーク時と終了時の快苦の度合いで決まる
コンコルド効果…今まで使った埋没費用(サンクコスト)を無駄にしないために更に金をつぎ込む
フレーミング効果…同一の選択肢でも、洗濯者の心理状態がことなると結果が変わる(水の半分入ったグラス)
確実性効果…人は、ある事象が、1か0かに近づくと、たとえ数%の変動をもたらすコストが膨大にかかったとしても、非常に敏感になる
利用可能性…ある事象の判断や評価の基準が、「思い浮かびやすい」ことに依存すること
アンカリング効果…最初に印象に残った数字や言葉が、後の判断に影響を及ぼすこと
注意の焦点化効果…ある特定部分に注意を向けるよう誘導されると、そのことだけで判断してしまう
自己奉仕的バイアス…ある行動や事象の意味を解釈するとき、成功しても失敗しても、自分の都合のいいように判断を歪めること。
フォールスコンセンサス効果…自分と他者のあいだに共有されている合意性を、過度に見積もること。(自分もこう考えるなら相手もこうだろう)
ハロー(光輪)効果…ある対象を評価する際に、その顕著な特徴に引きづられ、他の特徴をも歪んで評価してしまうこと
願望的思考…起こってほしいと願っている事象の生起確率を高く見積もること
後知恵...何かことが起こってから、後で必然だったかのように判断すること
順序効果...ひとは始め(初頭効果)と終わり(新近効果)に提示される情報に強く左右される
公表バイアス...実験や調査の結果を公表するにあたり、ポジティブな意見を多く公表し、ネガティヴなほうをあまり公表しないこと
損失回避の原則...ある額の利益から得る満足より、それと同額の損失から受ける苦痛のほうがはるかに大きい(市場の法則は、この原則の前では無力である) -
行動経済学の本。具体的にああしろこうしろというより、人間の脳は様々なことに影響されて合理的な判断を下すことができないことが非常に多い、ということを、いくつもの実例や学説を元に解説してくれています。
訳書の場合、当然ながらアメリカやヨーロッパの例を引かれることが多いので実感を伴わないことが多いんだけど、この本は行動心理学の各トピックを理解するための設問の人名を日本人名に置き換えてくれていて、それだけでもかなり「自分にも関係のあること」として読めるようになっています。
この本で書いてあることを心がける、というよりは、行動心理学の様々なトピックについて包括的に知るために、「実益」ではなく「教養」を身につけるために読む、というスタンスで手に取るのが正解の本だと思われます。 -
行動経済学入門用。
合理的な行動ばかりではないということを再認識。 -
少し長いですが、行動経済学の入門にピッタリ。
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「スタバではグランデを買え」のような釣りタイトルで分かりやすい文体を想定して買ったが非常に難読。
行動経済学は、人間が非合理的に行動する要因や、その行動をコントロールするための手法を研究する学問であり、その知見はビジネスや政策決定に応用されることがある。
人々の判断や決定は、合理的な思考プロセスに基づいて行われるわけではなく、感情や習慣、社会的影響など、非合理的な要素にも大きく影響される。 -
感情をどうコントロールするかを期待していたが、
いかに感情や思い込みで選択しているかが、難しい事例と共に証明されている論文集約集だった。
〜学と書かれた本は、参考書の傾向が強いため、自分には合わない。