有理型関数 (数学のかんどころ 37)

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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784320113909

作品紹介・あらすじ

有理型関数とは,複素平面上のある領域内で,「極」と呼ばれる特異点を除いて正則な関数のことであり,複素関数論に於いて非常に重要な役割を果たす関数の1つである。
 本書では,有理型関数の数ある話題の中から,「実変数関数の積分計算(留数の原理)」,「有理型関数の存在(ミッタク・レフラーの定理)」,「有理型関数の応用(z変換)」,「有理拡張(ガンマ関数・ゼータ関数)」の4項目に焦点を絞り解説している。
実平面上で定義された関数を複素平面の有理型関数に拡張することで,実数の範囲では得られなかった深い解析が可能になる。留数による実関数の積分計算も一例で,実平面上では処理が非常に困難な積分計算が,複素変数を導入することで比較的容易に進められるようにしていくことができる。このことを多数の実例と演習問題と共に確認していく。
 その他,デジタル信号処理の分野などで頻繁に用いられる「z変換」と有理型関数の関係,ガンマ関数・ゼータ関数と複素平面上での有理接続などについて取り上げている。
 いずれも他分野への応用や発展に非常に富む話題であり,数学を学習するうえでの強力な武器になり得るものばかりである。これら非常に有用な有理型関数のトピックについて,コンパクトかつ丁寧に解説した。複素関数分野の学習への第一歩として恰好の書である。
 なお,本著は同著者による同シリーズ36巻『正則関数』の続編を意識して書かれている。本著のみでも無理なく知識が習得できるように十二分の工夫が凝らされているが,両書を併用することで,複素関数論の更に広い知識を得ることができるだろう。

感想・レビュー・書評

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  • 正則関数と有理型関数に焦点を当てた上で,2冊合わせて複素関数論の要点を掴むことができる。複素関数論のスタンダードと見比べながら読むのが良いだろう。

  • 読んでる途中ですが、丁寧に書かれた良い本だと思います。

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著者プロフィール

新井 仁之 (あらい・ひとし) 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

「2023年 『ルベーグ積分講義[改訂版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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