- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784323072326
作品紹介・あらすじ
京の都で本朝三美人の一人と称され、歌人としての才にも恵まれた藤原道綱母。強引な求婚に応じ結婚をきめたが、多情な夫のために、満たされぬ結婚生活をおくる。あふれる知性と輝く美貌をうたわれた作者が、平安の世を生きる一人の女性の、人生の喜びと苦しみを綴る。
感想・レビュー・書評
-
「更科日記」に続いて、羽崎さんの本をゲット。
本当はこの蜻蛉日記もオリジナルのKADOKAWA版(1992年初版)を入手して読んだのだけど、ブクログには見当たらないので、こちらで登録しておく。
それにしても、更科日記との合冊もあり、この金の星社版もあり、となかなか息長く続いていたことを知り、驚きと同時に嬉しくもある。
古典作品の漫画化は、教材としての需要もあるので、けっこう生きながらえるジャンルなのだろう。
羽崎さんの更科、蜻蛉も、知名度がもっと上がれば良いなと思う。
さて、蜻蛉日記の漫画版も、非常に質が高くて、楽しく読めた。
更科日記に比べれば、鬱鬱とした結婚生活、という微妙な内容だけど、それを苦笑いで読ませるのが羽崎さんの手腕だ。
一夫多妻、一方的に待つしかない妻側から見た夫婦生活の苦しさが全体に漂うものの、それでもまあやっぱり、この夫のところに幸せがあるのかも、という妻の心がいじらしいし、気の毒になる。
この時代、出家以外、苦しさを紛らわす方法がないもんなー。
蜻蛉日記の作者にとって、男児が産まれ、無事に育ち、おっとりしてるが一応ひとかどの貴族になったことは、夫を繋ぎ止め、自分の能力を社会に見せる唯一の方法だった。
そこに苦しみがないはずはないのだけど、この漫画では、息子を愛しつつ、夫に耐えながら、それなりに自分の好きなようにもやっていて、読んでいて救いがあった。
全てにおいて、彼女の苦しみのもとが、「こういう時代だから仕方ないのだけど、女性に人権がないこと」に帰結するし、それが前作から何度も触れられるように、〇〇の母、や、○○の娘、という名前でしか女性は社会的に存在できなかった、という事実に重く裏打ちされている。
それでも、ひとりの女性の横顔がいきいきと浮かび上がるこの作品は、やはり傑作だったのだろうなあと思った。
夫の牛車が自宅前を素通りするシーン(待っていても通ってくれず、他の女のところにいくシーン)で、侍女があんまりです、と泣くが、古参の侍女は泣かない、と書かれていて爆笑。
こういうところ、大好きです。
恥ずかしながら、今回はじめて、道綱が、あの道長の異母弟だと知った。すごいな。
夫は、本当にものすごーく出世していたんだな!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
#光る君へ
#大河ドラマ
見てないんだけど、
トレンドに「兼家」とあって思い出した。
兼家の妻、藤原道綱母著『蜻蛉日記』
羽崎やすみさんのこの漫画、高校の時国語の先生が教えてくれて読んで、めちゃめちゃ面白かった!
小学校の図書館にもあるよ! -
うわー切なくてツラーい!
いやじゃー愛し合ったままでいたいよのう、、、
道綱ぐぐるとアホの子みたいな書かれかたされてますが、でも上に上がれなかったし、道長相手じゃとても無理よね~
入門としてイメージがわきやすくよいと思います。 -
はかない「蜻蛉」の名を冠した日記でありながら、パワフルな人生を生きた女性という印象が残る。これはこれで悪くない。