自治体の予算編成改革―新たな潮流と手法の効果―

著者 :
制作 : 日本都市センター 
  • ぎょうせい
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784324094877

感想・レビュー・書評

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  • 今年1冊目。年間50冊とか目標にしたけど、無理じゃね?しかも1冊目から仕事絡みとかね。参考になったのは行政評価を予算に活かしてる秩父市の予算編成でしょうか。やってること自体はうちと大差ないのだけど、シートの作り方が工夫されてる。施策別枠配分予算を取らなくても行政評価をうまく取り入れてる。うちももっと記入しやすいシートを作成する必要があるのかも。

  • 地方自治体の予算編成改革について記した本です。大きく分けて予算編成改革には5つの視点があると言います。それは、(1)規律性(単年度の予算執行を効率的に行う点と中長期の財政規律の堅持)、(2)戦略性(重要施策に重点的予算配分を行う資源配分の効率化)、(3)合理性(予算編成の成果志向化)、(4)参画性(議会と住民という主体を積極的に予算編成に参画)、(5)透明性(参画性を醸成するための基礎)、です。

    これらの視点に基づいて(1)埼玉県秩父市((2)戦略性・(3)合理性)、(2)北九州市((3)合理性・(4)参画性・(5)透明性)、(3)大阪府大阪狭山市((4)参画性)、(4)徳島県小松島市((4)参画性)、(5)島根県浜田市((5)透明性)の事例を整理しています。

    (5)透明性の確保は基本的に予算編成過程を公開することで担保されるため、一番ハードルが低いと考えられます。その上で、(4)参画性(議会・市民)をどのように設計するかがポイントになります。議会による決算等を踏まえた事務事業評価・予算編成への意見提出などが手法となります。市民の参画性では、予算編成時の途中経過を公開し意見を求める手法や会議対を組成して事務事業単位の提案を求めること等が想定されます。

    やはり難しいのは(2)戦略性や(3)合理性の部分です。それに対しては行政評価を活用した予算編成手法や財源の枠配分方式等が事例としてあげられています。

    若生も事務事業評価導入を某自治体で支援したことがあるので分かるのですが、予算編成に活用するとなれば基本的に総合計画の実施計画事業と予算事業、事務事業評価事業の事業の粒度(単位)をそろえる必要があります。これにより、計画から予算、評価に流れる一連のサイクルを一気通貫で見ることができます。秩父市はまさにこの点を意識した取組みを行っており、この事例の中では最も進んだ取組みがなされていると感じました。

    行政評価と予算編成をリンクさせるのにもうひとつ課題となるのは、評価タイミングと編成時期のズレの問題です。この点は事業途中での「事中評価」を取り入れることでその問題を解決しています。

    地方自治体における予算編成改革や事務事業評価等に関心のあるかたにはオススメの一冊です。

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著者プロフィール

関西学院大学専門職大学院教授

「2019年 『第3版 行政評価の導入と活用』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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