グライス 理性の哲学: コミュニケーションから形而上学まで

著者 :
  • 勁草書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326103010

作品紹介・あらすじ

会話的推意の理論など、主に言語哲学の業績で知られるポール・グライス。その素顔と広範な射程を持つ哲学の全体像を初めて描き出す。

会話的推意の理論と非自然的意味の分析の哲学者として知られるグライスは、心の哲学、理性論、形而上学といった分野でも多くの業績を持つ。その哲学体系を貫くのは、理性というテーマである。グライスにとって、理性は推論の能力であるとともに、理由を与える能力でもあった。歴史的な背景とともに、その哲学体系を一望のもとに描く。

感想・レビュー・書評

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  • グライスといえば推意にかんする理論ということで,たんにそれ単体で取りあげられることが常であるけれど,この本では,それをグライスなりの行為論のフレームワークの一部として捉える,という試みをしていて,おそらくそれはけっこう成功しているようにみえる(ので,わたしには,グライスの試みが不十分であったということまで明らかになってしまっているように思われる.部分的には三木さんが別の本で明示的に批判しているところでもあるが).ビッグピクチャーというか,基本姿勢というか,グライスのそういうものを取り出そうとしているところがおもしろい.形而上学や幸福論に行き着くというのも含めて,通りいっぺんの「グライス」を壊してくれる.
    なんだかんだで,推意にかんする理論の解説も日本語でなされたもののなかではもっとも正確かつ詳細といっていい水準なんではないだろうか.

  • OPACへのリンク:https://op.lib.kobe-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2002313178【推薦コメント:言語学、特に語用論に大きな影響を与えたグライスの思想を綺麗にまとめている。】

  • 第一章 グライスの生涯
     1 父から受け継いだ異端性
     2 哲学との出会い
     3 論理実証主義の到来
     4 第二次世界大戦とグライスの初期哲学
     5 日常言語学派
     6 オースティン、そしてストローソンとの交流
     7 日常言語学派への不満とオックスフォード哲学の衰退
     8 論理学への関心と会話的推意の理論
     9 アメリカへ
     10 残された日々

    第二章 日常言語に目を向ける
     1 オースティンの言語採集
     2 意味と使用を区別する

    第三章 会話的推意の理論
     1 会話的推意の理論の果たす役割
     2 会話的推意の理論とはどのようなものか
     3 会話的推意を言われていることから区別する
     4 規約的推意
     5 グライスによる応用

    第四章 会話的推意の理論とは何なのか
     1 会話的推意の理論の内容的解釈
     2 内容的解釈の問題点
     3 行為論的解釈
     4 疑問への答えと内容的解釈との比較

    第五章 「言う」と「意味する」
     1 「言う」とは何なのか
     2 「意味する」の分類
     3 発話者の場面意味
     4 意図の無限後退問題とさらなる分析
     5 発話タイプの無時間的意味
     6 「言う」は結局どうなったのか

    第六章 心理と行為
     1 意図とは何か
     2 説明の架け橋
     3 意味の理論を接続する
     4 行為と出来事

    第七章 理性と幸福
     1 推論と理由
     2 目的と幸福
     3 理性の哲学

    第八章 形而上学と超越論的論証
     1 構成主義の形而上学
     2 超越論的論証
     3 哲学的終末論

    結 論

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著者プロフィール

1985年、神奈川県生まれ。2013年、京都大学大学院文学研究科博士課程指導認定退学。2015年、博士(文学)。現在、大阪大学大学院人文学研究科講師。著書に『話し手の意味の心理性と公共性』『グライス 理性の哲学』、共著に『シリーズ新・心の哲学1 認知篇』、共訳書にブランダム『プラグマティズムはどこから来て、どこへ行くのか』がある。

「2022年 『言葉の展望台』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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