自然主義入門: 知識・道徳・人間本性をめぐる現代哲学ツアー

著者 :
  • 勁草書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326154487

作品紹介・あらすじ

哲学と科学を緊密に結びつけ、科学をとおして人間の知の営みを捉えようとする哲学上の立場=「自然主義」。本書では人間の心には何が生まれつき備わっているのかをめぐる生得説と経験主義の対立を軸に、心理学や認知科学における新しい仮説や知見をふんだんに取り込み、領域の拡大と深化を続ける自然主義の大航海へと読者をいざなう。

感想・レビュー・書評

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  • クワイン以降の哲学において有力な立場となってきた、自然科学と哲学がシームレスなしかたでつながっていると考える「自然主義」の立場について説明している本です。

    哲学上のさまざまな問題に対して自然主義がどのように立ち向かっているのかということを幅広く紹介することが本書の目的であり、自然主義において「価値」や「規範」の問題がほんとうに解明できるのかという困難な問題そのものについて突っ込んだ考察をおこなうことがめざされているわけではありません。こうした問題は、本書の後半で触れられてはいますが、自然主義に懐疑的な読者を納得させるのに充分な議論がなされていないように思われます。また、クワインをはじめとする自然主義の立場の形成過程をたどるようなしかたで説明がなされているわけでもないので、学説史的な解説を求める読者にとっては、あるいは期待外れに思われるかもしれません。

    むしろ、生得説と経験論という二つの立場を対照的に解説しながら、両者を統合するような理論へと進んでいく道筋をえがきだすことが、本書の中心的なテーマであるように感じました。本書のサブタイトルは「知識・道徳・人間本性をめぐる現代哲学ツアー」となっていますが、まさにこのことばが本書の特徴をよく示しているように思います。

  • 電子ブックへのリンク:https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000044757(学外からのアクセス方法:1.画面に表示される[学認アカウントをお持ちの方はこちら]をクリック→2.[所属機関の選択]で 神戸大学 を選んで、[選択]をクリック→3.情報基盤センターのID/PWでログイン)【推薦コメント:最近、科学と哲学の距離が近くなっているのか、科学者と哲学者が合同開催するシンポジウムや「〜の科学と哲学」といった題目の共同研究が増えている。その斯界のキーワードとして、「自然主義」がある。推薦者自身はまだ未読だが、本書『自然主義入門』は、自然主義がどのようなものであり、その枠組みのなかで今どんな論点が取り上げられており、自然主義の魅力(あるいは必然性)がどこにあるのかについて、とことん易しく解説した一冊となっているそうだ。だから、科学哲学や科学論に興味のある推薦者としては、ぜひ読みたいし、同じような関心をもっている人にも推薦したい。】

  • 科学的な見地から、道徳や知識について考える本。
    思弁的な議論が苦手な人にオススメします。

  • 今の最新哲学ではないか?自然と人間を現代にマッチした感覚で理解できる気がする。

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著者プロフィール

植原 亮(うえはら りょう)
1978年埼玉県にうまれる。2008年東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術、2011年)。現在、関西大学総合情報学部教授。専門は科学哲学だが、理論的な考察だけでなく、それを応用した教育実践や著述活動にも積極的に取り組んでいる。
著書に『思考力改善ドリル』(勁草書房、2020年)『自然主義入門』(勁草書房、2017年)、『実在論と知識の自然化』(勁草書房、2013年)、『生命倫理と医療倫理 第3版』(共著、金芳堂、2014年)、『道徳の神経哲学』(共著、新曜社、2012年),『脳神経科学リテラシー』(共著、勁草書房、2010年)、『脳神経倫理学の展望』(共著、勁草書房、2008年)ほか。訳書:T・クレイン『心の哲学』(勁草書房、2010年)、P・S・チャーチランド『脳がつくる倫理』(共訳、化学同人、2013年)ほか。

「2022年 『遅考術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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