- Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326154616
作品紹介・あらすじ
世界に在る=世界と混合し、世界をつくる――動物学的である西洋哲学の伝統を刷新し、植物を範型とした新しい存在論を提示する。
種が落ちた場所から動くことなく一生を過ごす植物は、光合成により酸素を作り出し、あらゆる生物が住まう環境を整える。つまり植物は世界と溶け合い、世界を作り出し、世界に存在している。動物の哲学も存在論的転回もやすやすと超えて、植物の在り方から存在論を問い直す哲学エッセイ。モナコ哲学祭賞受賞作。山内志朗解説。
感想・レビュー・書評
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新たな視点を手に入れたくて、全く知らない分野の本を読んでみる。振り返ってみると、哲学や人間学は「人間中心」であり、人間以外の動物の立場や存在を考慮して検討されているものはない。ましては植物においておや、である。一方、植物がないと動物の一切は生きてゆけない。食物としてだけでなく、酸素を排出し、私たちはその空気の中で生きているわけで、植物に依存している事になる。本書では、植物は動物を必要としないと言い切っているが、それは間違いだと思う。虫が花粉を媒介することだってあるし、鳥や動物が種を遠くまで運ぶこともあるだろう。内容は難しいけれど、植物に対する見方が少し変わり、新たな視点を得られる一冊。
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存在を浸りとしてとらえる論にはいわれてみればそうだなあと思いつつ、これまでの西洋哲学が人間中心主義としてあっさりと斥けられてあまりにも壮大な論が軽々と展開されてゆくのであれ?ほんとに?と立ちどまりたくもなるのだけれど、それはやっぱり西洋哲学的な見方になじんでしまっているからなのかもしれない。下部に註釈のありそうなデザインなのなんなんだと思っていたけど、終盤に書かれていたことを見るにこれはそういう遊び心なんだろうか。
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植物を起点とした存在論。
「動物学的である西洋哲学の伝統を刷新し」と帯にもあるのだが、逆に、そんなに引っかからずに読めてしまうのは、評者が(西洋のそれとは対比的であるとして)日本的な環境の認識を持っているからなのだろうか。 -
どんな本かはわからないのだけど、Amazonから、何度もおすすめされるので、読んでみた。タイトルもなんか不思議な感じで好奇心がわいた。
さて、ほとんど前提知識なしで読むが、そんなに難しいわけではなく、比較的スムースに読める。
印象としては、コアな哲学書というより、科学と哲学が合体したエッセイ集という感じ。昔、工作舎がよくだしていたような本のイメージ。
植物という入り口から、地球の話、宇宙の話に発展しつつ、形而上学的な存在論、認識論が展開されていく。
最初は、植物は一種の比喩として使われているのかなと思うのだけど、だんだん、これマジ?という気がしてくる。
唯神論的な一元論ぽくもあるけど、すべては一つのなかに存在するというのではなくて、すべてはすべてのなかに存在するみたいな話。仏教の空みたいな、相互依存的な一体感。
で、話はだんだん哲学のコアのところに進んでいって、これまでの哲学(というか西洋哲学)の真ん中に大きな穴をあけて、風通しがよくなるというか、スカスカになっちゃう感じ。
あれれ、これって哲学風エッセイじゃなくて、本当に哲学書だったんだね!
哲学は、いろいろなスタイル、書き方があっていいじゃん、という話しだったんだ。
なんか、おもしろかった。 -
ちょっと面白かった。やっぱり、植物が好きだ。図書館で借りたけど、手元に置いて置きたくなった。