- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326301744
作品紹介・あらすじ
利益集団間の妥協や多数派による支配に、ではなく、人びとが対話や討議のなかで、みずからの見解や判断を変化させていくこと=熟議に、「民主主義の核心」をみる。
感想・レビュー・書評
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民主主義における「熟議」の重要性を理論的に(一方で経験的にも)考察を加え、民主主義の今後の可能性について考察を加える一書。
個人的には、政治学では「自己利益を追求するアクター」に対して疑義が提示されている、という点が非常に興味深かった。政治的行為は私利に尽きるわけではなく、公益を意識して行動しうることがありうる、という考え方には非常に共感を覚える。
日本近代史、とくに地方政治史研究においては「地方利益論」が依然として強力な説得性を持って存在しているわけだが(それは非常に実証的な研究に基いているからなんだけど)、そうじゃない方向性も理論的にはありうる、ということを知って非常に力を得た次第。ま、問題はそれがいかに歴史的に実証可能か、ということなんだけど。
あと政治に魅力がないのは「政治が諸個人に「彼らが自然に回避したがるような責任とリスクを負うこと」を求めるから」(p66)というのもツボでした。まあ、これは実感的にツボ、という部分が大きいのだけど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文章がやや生硬な印象で少々読みにくい。
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う~ん、なかなかに抽象的に書いているので、読解はかなり難解。
ただ、どんな好みが熟議で変わることが正しいのか、どんな風に変わると正しいのか、という選好の変容の部分など、熟議デモクラシーだと結構論点になりがちな部分を取り上げてくれているのが嬉しい。