- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326450961
作品紹介・あらすじ
憲法学者10年+釜ヶ崎弁護士10年。「理論と実践の架橋」を体現する著者が見る「幻」は、社会の片隅に追いやられた生命の1つ1つから立ちのぼる。「日本に憲法があるんか」という問いに答え続ける著者、初の書き下ろし。
感想・レビュー・書評
-
人権とは何か、それは人間と人間の対話なのだなと思った。冒頭にミヒャエル・エンデの「はてしない物語」のファンタージェンと現実を行き来するバスチアンバルタザールブックスの姿から人権を例えた。現実と幻を自由に行き来する人間が、この世に全く新しい世界を作るのだ。僕はこの社会には断層のように切れ切れになった世界が横たわっていると思う。現実の苦しみから、言葉を見つけていかなくてはいけない。僕はこの本を読んでそう思う。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
憲法学、哲学の味わいのある内容だが、実際の裁判を例に取りながら多分分かりやすく説明している。多分というのは、私の能力ではスッキリ理解できたと言えないので分かったような気がしているから。
曖昧な法律と解釈の幅広さ、それがいかに国家の都合に合わせて利用されるか怖いようです。j -
憲法学の教員を経て弁護士となった著者の近著。
近代国家とは自明の善なる存在か。それは個人をすべて承認する主体ではなく、合法的に、かつ強制的に人の被承認主体性をはく奪し、モノとして扱うものであった。
国家に対するディスクールを問う憲法学を、射程範囲を広げることで批判する書。対個人の承認主体として独占性を喪失しつつも、その公的強制力を失わない国家の在り方を再考すべき時なのだろう。