結婚の壁―非婚・晩婚の構造

制作 : 佐藤 博樹  永井 暁子  三輪 哲 
  • 勁草書房
3.27
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本棚登録 : 59
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326602308

作品紹介・あらすじ

少子化の背景には未婚化が存在する。なぜ結婚しないのか、できないのか。これらは個々人の問題ではなく、社会構造の変化に原因がある。

感想・レビュー・書評

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  • 大学院の時に購入した本。婚活の論文を書くために改めて読み返していました。購入当時には気づかなかった・注目しなかったであろう点がたくさんありました。自分の中で問題意識が変ってきたことを実感します。
    
    具体的な内容についてです。メモ程度に。
    
    第1章では未婚者のタイプ分けと,結婚活動の成果が分析されます。独身でいる理由から未婚者をタイプ分けすると,「時期尚早」「交際中時期待ち」「結婚意欲なし」「経済的事情」「出会いなし」の5つに分かれます。このうち「出会いなし」に属する未婚者が最も多いので,婚活は結婚するための重要な要素になるのですが,婚活の「純粋な」効果はありません。ただし,婚活が無駄というわけでなくて,婚活することで結婚する可能性は高まります。たとえて言えば,婚活を結婚するための「必殺技」と捉えることはできないけれど,結婚するための「鍛錬」と捉えることはできる,ということです。
    
    第2章では,見合いと職縁(仕事での繋がり)の減少が未婚化に繋がっていることを示した上で,良縁を追求するだけでは満足のいく結婚はできず,結婚後の協調と周囲の理解が不可欠であると論じます。簡潔に言えば,「良い人と出会いたい」と思うだけでなく,「良い関係を築いていこう」とすることも結婚する上では大事ということです。
    
    第3章では経済的要因,異性と会うための時間的要因,異性との出会うための距離的要因,対人関係能力が恋人の有無に及ぼす影響を検討しています。その結果,男性の収入の高さ,職場に異性がいること,友人との付き合いの多さが恋人有と関連していました。
    
    第4章では,同棲の4つのタイプ(結婚代替型,結婚先駆け型,試行段階型,独身代替型)を紹介し,同棲経験の有無による結婚観,家族間,結婚意欲を比較することで,同棲経験の特徴を検討している。その結果,同棲の多くが交際の延長線上の同居である可能性が示された一方で,過去に同棲を経験した人は結婚意欲が低くなることも示されている。
    
    第5章では結婚願望が表面上衰えていないように見えても(結婚したいと答える人の割合が減っていないように見えても),「結婚したい」の意味が変ってきている可能性があり,その意味で結婚願望が弱くなっている可能性が示されている。
    
    第6章では結婚についての意識を,男女間での違い(ズレ)と未婚者と既婚者での違い(誤解)に焦点を当てて検討し,このようなズレと誤解が未婚化を生んでいる可能性を示している。
    
    第7章と第8章からは,収入に関する女性の意識(自分より収入は高い方がいいと考えるなど)と結婚市場(周囲の異性の数など)とが結婚に影響することが示されている。
    
    第9章では,20代半ばで結婚した人は結婚に対する友人の影響が確認できる一方,30代の未婚者では友人の影響が大きくないことが示され,20代と30代における未婚者の出会いの問題は異なる対策が必要であることを示唆した
    
    第10章では,再婚という現象を見つめることで,結婚による心理的メリットは男性にもたらされやすいことが指摘されている。

  • 367.4||Sa
    中村真由美(共著)「なぜ恋人にめぐりあえないのか? : 経済的要因・出会いの経路・対人関係能力の側面から」

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:367.4||K
    資料ID:51300422

    少子化の背景には未婚化が存在する。なぜ結婚しないのか、できないのかを分析している。
    (母性看護学領域 推薦)

  • 「時間差一夫多妻制」

  • 先の社研セミナーを主催した、不破麻紀子氏の著書で、図書館にあったものである。出版が比較的新しいので、チェックしてみようと思っている。

  • アソシエ 今、読むべき本から

  • 三葛館一般 367.4||SA
     
    東京大学社会科学研究所の社会調査・データアーカイブ研究センターの2次分析研究会の研究成果をまとめたもので、少子化の原因となる「結婚の壁」について学術的に分析執筆されています。
    結婚の「壁」はどこにあるのか、結婚の「壁」は個人の側にあるのか社会の側にあるのか、「婚活」は「壁」を乗り越える方法として有効かなどの興味深い疑問について、答えが見つかるでしょう。

    和医大OPAC →http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=58476

  • 結婚をキーワードにした社会学の学術書。
    分析方法に近年はやりのインタビューや参与観察ではなく、計量を用いているために、とっつきにくさはぬぐえない。

    ぱっと目次を見てみると、まとまっているように思える。
    しかし、各章の担当者ごとに多様なデータセットを用い、自由に議論を展開しているためか一冊の本としての主張はよくわからない。
    「結婚という事象に多様性を持った視点を」という点のみ通底してはいるが、それがこの本のオリジナリティとして成立するのだろうか。

    また、1章を除いた各章の論理的根拠や説明が薄弱ないしは非常に雑だといえる。あまりに、強力な仮定をおいて議論を進めているものや、主張と主張が剥離しているものなど、あげていくと枚挙にいとまがない。

    反面教師としてのテキストとしては役に立つかもしれない。

  •  現代人の大きな悩みの一つでもある「なぜ結婚しないのか、できないのか」を、グラフや表を用いて分かり易く解説しており、読んでみて興味深かったのでこの本を選びました。日本の同姓経験率が増加をしているということも知ることが出来ました。
    (外国語学部:匿名希望)

     「婚活」という言葉が当たり前のように使われるようになった現代において、どうして結婚相手と巡り会えないのか。結婚意識・願望の変化などをデータを用い論理的に説明しています。
    (教育学部・初等社会:匿名希望)

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